プレスリリースプレスリリースPress Releases

  • HOME
  • プレスリリース
  • 『2013 クラウドコンピューティングサービスの現状と将来展望』まとまる(2013/4/26発表 第13032号)

『2013 クラウドコンピューティングサービスの現状と将来展望』まとまる(2013/4/26発表 第13032号)

ICT業界に革命を呼ぶ?PaaS/IaaSに注目しクラウドコンピューティングサービスの市場を調査

2017年度予測
PaaS/IaaS:12年度比2.3倍、1,435億円〜外資ベンダー主導、通信キャリアが健闘
DaaS:同年度比4.0倍、170億円〜IaaSの付加サービスとして急増
SaaS:同年度比4.0倍、3,450億円〜特定系サービスに期待
共同利用:同年度比1.2倍、3,080億円〜国、自治体、医療・教育分野に新市場展開も

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、12年12月〜13年3月にかけて、ICT(情報通信技術)の発展によって成長期を迎え、12年度は高成長を見せたクラウドコンピューティングサービスの市場動向と参入企業の戦略分析を行い、その5年後の市場を予測する調査を行った。
 その結果を報告書「2013 クラウドコンピューティングサービスの現状と将来展望」にまとめた。

 調査は、クラウドコンピューティングサービスをパブリック(汎用型)、プライベート(専用型)、共同利用の3つに分けて、PaaS/IaaSの2タイプ、DaaS、SaaS、そしてプライベートクラウドの合計6分野の市場と、クラウド事業23社(コンピュータベンダー4社、SIベンダー8社、通信キャリア5社、インターネットシステム(以下ISP)プロバイダー2社、外資クラウドベンダー4社)を対象に個別の分析を行った。
 国内外からICT(情報通信技術)業界に多彩な企業が参入して、コンピュータ(以下PC)ベンダー、SIベンダーはユーザーの要求を叶える可用性と信頼性を追及した自社独自のシステムのプライベートクラウドサービスに力を注いでいる。通信キャリアと外資系ベンダーは利便性と低価格サービスを追及した多種多様のパブリッククラウドサービスを積極展開している。
 ICTサービス事業者にとってクラウドコンピューティングは、新たなビッグビジネスのチャンスである。しかしユーザーは、クラウドコンピューティングの経営コスト削減効果を重視して自社システムを最適化するシステムツールと活用することを重視している。事業者は、そのユーザーの多様な要求と技術の進化に対応するより斬新な提案が期待される。一方、国や自治体などの社会インフラ、医療、農業分野、ビッグデータ、スマートデバイスなど新たな分野へのICT事業の拡大は大いに期待できる。

調査結果の概要
 クラウドコンピューティングサービスの市場のうち、「PaaS/IaaS(オートセルフ型)」「PaaS/IaaS(オーダーメイド型)」「DaaS」「SaaS」「共同利用」のサービスを紹介する。
 12年度(見込)前年度比2017年度予測12年度比
PaaS/IaaS(オートセルフ型)260億円140.5%685億円263.5%
PaaS/IaaS(オーダーメイド型)375億円148.2%750億円200.0%
DaaS43億円179.2%170億円395.3%
SaaS2,226億円111.2%3,450億円154.5%
共同利用2,623億円103.5%3,080億円117.4%
 パブリッククラウドサービスには外資系ベンダーに加え、国内のPCベンダーを始め、SIベンダー、通信キャリア、専業系などが参入して多種多様なサービスを展開している。これまでの利用範囲はWeb系システム、ソーシャルメディア系(コンテンツ配信、SNSなど)が主であったが、最近では企業の基幹系システムや基幹系システムを補完する位置付けでパブリッククラウドサービスが利用されている。
PaaS/IaaS (Platform as a Service/Infrastructure as a Service)
 市場が急拡大しているPaaS/IaaSのサービス市場は、12年度635億円から17年度1,435億円まで成長が予測される。
 このサービスは、オーダーメイド型とオートセルフ型に分けられ、国内外合わせて60社程度のベンダーが国内市場に参入している。オーダーメイド型を最も早く開始したのはインターネットイニシアティブ「Integration & Business Platform Service(IBPS)」である。一方オートセルフ型では米Amazon Web Servicesが06年から「EC2/S3」などのサービスを始めており、オートセルフ型を生かつつ柔軟かつ信頼性を高めるサービスを展開しつつある。
国内ベンダー
 国内ベンダーではPCタベンダー、SIベンダー、通信キャリア、専業ベンダー、の各業界ベンダーがPaaS/IaaSのサービスを行っている。外資系ベンダーが世界規模展開の経済性を生かしたオートセルフ型のサービスに注力しているのに対して、国内のPCベンダー、SIベンダーはユーザーの個別要求にきめ細かく応えるオーダーメイド型のサービスに注力している。個別対応のニーズが強いため、個別企業専用型の開発が多く、現時点では、オートセルフ型ではユーザーの求めるスペックを提供できないケースもあり、オーダーメイド型を採用している。しかし、これらのシステムも標準化を目指して拡張性を持たせて4〜5年後にはオートセルフ型への移行も可能であり、経営の基幹領域にもオートセルフ型システムが徐々に採用されていくと予想される。
 PCベンダー、SIベンダーはこれまでのSIビジネスを補完するサービスとして、既存システムとのハイブリッド利用を進めるベンダーが多い。通信キャリアはインフラサービスの付加価値と位置付けている。
 また価格面では、大手企業から、中小企業にも全方位ビジネスを展開している通信キャリア、および専業ベンダーが、より安価なサービスを提供すると推測される。
外資ベンダー
 外資系ベンダーの多くはオートセルフ型のサービスを展開して、海外データセンターを活用してきたが、サービスの遅延など信頼性、セキュリティ環境の問題が表面化したこともあり、相次いで国内のデータセンターを利用したサービスを加えて急成長している。
 外資系ベンダーの市場規模は12年度で197億円、PaaS/IaaS国内市場の31%を占めている。日本IBM、アマゾンデータサービスジャパン、Google、セールスフォース・ドットコム、日本マイクロソフトの5社であり、この内の4社で外資ベンダー市場の95%以上を占めている。外資系ベンダーは世界中で同じサービスを展開できる強みを持っており、規模の経済を最大限活かした戦略でその経済性を訴求している。
DaaS(Desktop-as-a-Service)
 端末のデスクトップ環境をネットワーク経由でサーバーに集約し必要に応じて端末に提供するサービスである。近年、在宅勤務の導入も一般化に近づき、全社的なセキュリティ対策として「DaaS」を導入する企業も増加するなど市場は拡大している。また、大震災を背景としてワークスタイルとして在宅勤務が増加するなど勤務形態の多様化が進み需要が拡大してゆく。10年頃から市場が立ち上がり、11年には大手通信事業者の大規模導入や製造業における導入が多くみられ、成長期へと移行しつつある。
 各サービスベンダーはスマートフォン、タブレッドなどの急速な普及もあり、スマートデバイス対応、BYOD(私有IT機器の業務利用)に対応した新サービスをランアップしている。またこのサービスをPaaS/IaaSの付加価値サービスとして展開しているベンダーも多く、PaaS/IaaSとの連携をシームレスに行うなどのメリットを訴求ポイントとしている。
 ソフトバンクテレコムが自社グループ企業への大規模導入を図り市場をけん引しているほか、富士通、新日鉄住金ソリューションズなども大手製造業に対して自社のデータセンターと合わせた展開に力を入れた結果、高実績を上げている。また、NTTコミュニケーションズやKDDIなどの通信事業者なども自社通信事業との連携を訴求して実績を上げている。
内容の詳細につきましては『2013 クラウドコンピューティングサービスの現状と将来展望』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

ページトップ