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『2016 クラウドコンピューティングの現状と将来展望』まとまる(2016/3/11発表 第16021号)

コスト削減の解決策として注目度が増すクラウドビジネス関連国内市場を調査

2020年度市場予測(2014年度比)
クラウドサービスの国内市場 2兆1,452億円(77.2%増) パブリッククラウドが基幹系システムの移行需要を取り込み、市場拡大に貢献

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、企業の業務システムのコスト削減策として、注目されているクラウドサービスの国内市場について調査した。その結果を報告書「2016 クラウドコンピューティングの現状と将来展望」にまとめた。

 この報告書ではクラウドサービスを不特定多数の企業に提供されるパブリッククラウド、特定業種または複数の企業が共同で利用出来るよう提供させる業界クラウド、特定企業に提供されるプライベートクラウド、クラウド上で提供されるコンサルティング、インフラ設計/構築、運用サービスなどの内、単独サービスを除いたハイブリッドクラウドインテグレーション(単独サービスは各サービスに含めた)の4つに分け、市場を分析した。また、クラウドサービスに携わる企業の動向も併せてまとめた。

調査結果の概要
クラウドサービスの国内市場 ※1
 2015年度見込2020年度予測2014年度比
パブリッククラウド 6,220億円 1兆5,204億円 2.8倍
業界クラウド4,805億円5,430億円118.7%
プライベートクラウド1兆140億円1兆3,615億円141.9%
ハイブリッドクラウドインテグレーション287億円840億円4.0倍
合計 2兆1,452億円 3兆5,089億円 177.2%
※1 アプリケーションレイヤー(パッケージソフト、システム開発、運用サービス)とプラットフォームレイヤー(ハードウェア、ソフトウェア、ITリソース提供、コンサルティング、運用サービス)の合計。
 パブリッククラウドには外資系ベンダーをはじめ、国内のコンピューターベンダー、SIベンダーのほか、キャリア、ISP事業者など多数がクラウドベンダーとして参入している。2016年度の市場はOracleが国内データセンターでのサービスを開始するとみられるなど、グローバルを商圏と考えているメガクラウドベンダーが台頭している。
 業界クラウドの市場は2015年度に4,805億円(見込)で、そのうち共同利用サービスが72.9%を占める。共同利用サービスを利用している主な業種は金融業、自治体である。利用目的はシステム開発・運用コストを抑えることで、その分を他の業務システムや設備などに投資することができる。特に金融業は、顧客のビッグデータを活用するなどの戦略的システムへの投資を強めている。特化型SaaSは、小売、宿泊業や飲食業など中小規模の事業者が多数を占める業界において、低コストで利用できる点が評価されている。
 プライベートクラウドはオンプレミス型とホスティング型に分けられる。オンプレミス型は、これまでシステムの仕様上やセキュリティポリシー上の理由から、パブリッククラウドへの移行が難しい企業が、構築するケースが多かったが、パブリッククラウドが一般化する中、これまで導入に対して消極的であった大手企業も積極的にパブリッククラウドの導入を進めており、オンプレミス型とのハイブリッドクラウドの構築が増えている。パブリッククラウドの需要が増えたため、各クラウドベンダーは企業が自社で保有するシステムとパブリッククラウドをシームレスに連携する自動運用管理ツールなどのラインアップを強化している。ホスティング型は、台頭してきたIaaS/PaaS(特にオーダーメイド型)との差別化が難しくなっており一部の企業は既にIaaS/PaaSへ移行している。既存システムからのホスティング型への移行が期待できる一方、今後はIaaS/PaaSへの流出も危惧される。
 ハイブリッドクラウドインテグレーションは高い伸びが予想される。複数のクラウドサービスの利用やクラウド環境から企業の自社保有システム環境を含めた統合運用管理ニーズなど、クラウドに対するニーズは多様化しており、ハイブリッドクラウド環境構築の機運が高まっている。また、ハイブリッドクラウドインテグレーションはオーダーメイドが中心であるが、共通化やサービス化に向け、各ベンダーが連携を実現するツールやサービスを提供し始めており、今後のさらなる市場拡大が期待される。
注目市場
パブリッククラウドサービスの国内市場
 2015年度見込2020年度予測
オートセルフ型IaaS/PaaS2,236億円8,079億円
オーダーメイド型IaaS/PaaS1,695億円3,475億円
パブリッククラウド型DaaS89億円150億円
汎用型SaaS2,200億円3,500億円
合計6,220億円1兆5,204億円
 IaaS/PaaS市場はこれまで、ソーシャルゲームなど娯楽開発企業が拡大をけん引してきたが、ソーシャルゲーム市場自体の成長鈍化により、ベンダーの積極的な拡販によりその他企業の実績も拡大している。その他企業は、コスト削減や運用負担軽減を目的に、今まで自社保有システムやASP(ハウジング)で運用していたSoR(Systems of Record)※2のクラウド移行が中心となっている。SoRの中でも情報系システムが中心であったが、近年はERPをはじめとした基幹系システムにおいてもクラウド上で運用する事例が増加している。また、これらの事例が公開されたことで、今までセキュリティ面から基幹系システムのクラウド移行を見送っていた企業の導入に対するハードル低下が期待される。
 汎用型SaaSは、メールやグループウェア、CRM、Web会議といった情報系システムの実績が高い。いずれも新規導入に加え、企業の自社保有情報系システム(パッケージ/スクラッチ)からの移行が好調で、今後市場は拡大するとみられる。メールやグループウェアが引き続き伸びることに加え、マーケティング支援やサービス支援などの業務での利用が進むとみられる。
 パブリッククラウド型DaaSは、DaaS環境を構築することによる運用コストの軽減、情報漏えい対策サービスとして認知が進み、市場が拡大している。近年は、これまで試験的に一部の部門で導入していた企業が全社的導入を進めるなど本格導入が進んでいる。主要企業は大手企業が中心であるものの、導入コストが低下しており徐々にではあるが中堅・中小企業での導入も増えている。
※2 記録を重視した従来型のシステム(構造化データ、一定規模データなどのデータ特性があげられる)。
PaaS国内市場 ※3
 2015年度見込2020年度予測2014年度比
アプリケーション開発223億円557億円3.6倍
データベース関連131億円511億円6.0倍
ビッグデータ/IoT48億円500億円33.3倍
セキュリティ23億円81億円4.5倍
その他4億円231億円115.5倍
合計429億円1,880億円6.8倍
※3 アプリケーション開発、データベース関連、ビッグデータ/IoT、セキュリティ、その他のサービスをPaaSで利用した際の手数料を対象とし、サービス利用時のコンサルティング/インプリメンテーション、運用サービスの売上は対象外とした。
 アプリケーション開発は、セールスフォース・ドットコムの「App Cloud」が市場拡大をけん引している。クラウドサービスやシステム設計、開発に際し、モバイル環境整備を中心に需要は急速に増加している。
 データベース関連市場は、従来、アプライアンスやパッケージを中心に構成されていたが、「Amazon Relational Database Service」「Amazon Redshift」(アマゾンウェブサービスジャパン)、「Microsoft SQL Database」(日本マイクロソフト)などのサービスが開始され、急速に拡大している。
 ビッグデータ/IoTのサービスを活用するメリットは、高額な初期投資を必要とせず、ビッグデータやIoT基盤を構築できる点にある。近年、ビッグデータやIoTの注目度は高まっており、今までコスト面で導入を見送っていた企業や小規模基盤でのスタートを検討している企業の需要を中心に取り込み大幅な市場拡大が期待される。
 セキュリティはIaaS利用に伴うID管理やアクセス認証などのサービスが中心となっているが、アマゾンウェブサービスジャパンがWebアプリケーションファイアーウォール「AWS WAF」を発売したことで、クラウドベンダーが提供するセキュリティサービスの市場拡大が期待される。今後、利用する企業の増加が期待されるIoTなどはデバイスセキュリティが必須であり、IoTプラットフォームと合わせて、同サービスを利用する企業の増加が予想される。
 その他は、PaaS関連市場に占める割合は低いものの、近年、注目度が高まっているFinTechやオムニチャネル、スマートグリッド/スマートハウス、農業ICTといったSoE(Systems of Engagement)※4領域での新たなプラットフォームサービスの投入が今後期待され、大幅な市場拡大が予想される。
※4 Engagement(つながり)を重視し、複数のチャネルから提供される情報を収集し、それを分析、予測することで創造的な価値を引き出すシステム(構造化および非構造化データ、膨大なデータ、拡張性のあるデータなどのデータ特性があげられる)。
内容の詳細につきましては『2016 クラウドコンピューティングの現状と将来展望』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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