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『2016 LED関連市場総調査』まとまる(2016/3/28発表 第16028号)

紫外光LEDパッケージの量産が開始、さまざまな用途への展開が期待されるLED関連の世界市場を調査

2020年市場予測(2015年比)
LEDパッケージの世界市場 4,436億個(45.7%増)、1兆8,097億円(0.4%増)
   数量ベースでは拡大も、安価な製品の攻勢で金額ベースでは横ばいに

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、バックライトや照明に代わる新たな用途に注目が集まっているLED(発光ダイオード)と、その関連の世界市場を調査した。その結果を報告書「2016 LED関連市場総調査」にまとめた。

 この報告書ではLEDパッケージ・関連部材(LEDパッケージ、LEDチップ、LEDチップ用材料、LEDパッケージ用材料、LEDアプリケーション用部品・材料)26品目、アプリケーション(LEDバックライト、照明ランプ・器具、自動車用LEDアプリケーション、紫外光LEDアプリケーション、その他アプリケーション)19品目の市場を調査・分析した。また、LED関連の有力企業の動向、さらにLED照明競合製品(半導体レーザー、有機EL照明)2品目についても取り上げた。

調査結果の概要
LEDパッケージ世界市場
 2015年2020年(予測)2015年比
LEDパッケージ3,045億個4,436億個145.7%
1兆8,020億円1兆8,097億円100.4%
 白色1,656億個2,820億個170.3%
1兆4,414億円1兆3,374億円92.8%
紫外光0.07億個0.92億個13.1倍
60億円830億円13.8倍
白色・紫外光(LEDパッケージ)はLEDパッケージの内数。
 LEDパッケージ市場はアプリケーション自体の市場成長著しいLED照明向けで白色LEDパッケージが伸びていることから、数量ベースでは好調である。一方、LED照明向けに特に出荷数量を急増させている中国メーカーが、非常に安価な製品で攻勢を強めていることから単価の大幅な下落を招いており、金額ベースではほぼ横ばいにとどまるとみられる。
 国内では、LED照明向けは高品質な白色LEDパッケージが求められることから、当面中国メーカーの安価な製品が市場に与える影響は少ない。
 今後拡大が期待される製品は、現在は市場規模が小さいが紫外光LEDパッケージである。また、バックライトや照明に代わる有望な用途として、自動車向けに注目が集まっている。
白色LEDパッケージ
 2014年にLED照明向けが液晶のバックライト向けを数量ベースで上回ったが、2015年はその差がさらに広がっている。バックライト向けはTVなどの大型アプリケーションの市場が不調であり、またスマートフォンやタブレットなどの中小型アプリケーションも市場成長が少しずつ鈍化している。搭載個数の減少もあり、バックライト向けの市場におけるウェイトは今後も縮小するとみられる。ただし、2017年以降、4K-TV市場の拡大により、同用途向けは堅調な推移が予想される。
 照明向けは中国メーカーが大規模な増産で、安価な製品を市場に投入し続けており、一部製品では1年間で最大40%下落するなど、価格競争が激化している。
紫外光LEDパッケージ
 紫外光においてLEDの実用化が進められているのは380〜200nm帯の近紫外領域である。近紫外領域はさらにUV-A(380〜310nm近傍)、UV-B(310〜280nm近傍)、UV-C(280〜200nm近傍)に分類される。
 市場は樹脂硬化、紙幣識別向けのUV-Aを中心に拡大してきた。2015年はほぼ全量がUV-Aであった。樹脂硬化は産業用硬化装置におけるカメラモジュール、スマートフォンなどのタッチパネルの貼り付け用途で需要が増加した。特にマルチチップ(1パッケージに複数のチップ)パッケージを用いた1Wを超す大出力タイプの製品が市場を押し上げた。マルチチップパッケージでは5Wクラスのものも登場した。しかし、それでもまだ出力が弱く、他の光源との置き換えも進まず、市場規模は小さい。
 その他のLEDパッケージでは、有色LEDパッケージは装飾やイルミネーション、LEDディスプレイ、表示器などに使用されている。また、赤外光LEDパッケージは主にフォトインタラプタやIrDA・リモコン向けのウェイトが高く、市場はOA機器や産業機器といった最終製品の動向に左右される。一方、昨今は中国における水道や電力量の各種メーター向けや、監視カメラ向けで需要が増加している。
注目市場
自動車用ヘッドライトシステム向け白色LEDパッケージ世界市場
2015年2020年(予測)2015年比
720万個2,080万個2.9倍
 ヘッドライトシステムには、ハイビームとロービームがあるが、白色LEDパッケージはロービームの光源として使用されるケースが多い。ハイビームは主にHIDランプが使われているが、近年はハイビームのLED光源化が進んでいる。
 ロービームに使用されるLEDパッケージは、ヘッドライトシステム専用で光束が2,000lmに近い。LEDパッケージには、高出力化、低価格化が求められており、高演色性は求められていない。
自動車用リアランプシステム向けLEDパッケージ世界市場
 2015年2020年(予測)2015年比
白色5,300万個1億2,000万個2.3倍
有色20億7,550万個32億3,250万個155.7%
 リアランプシステムにはテールランプ、ターンランプ、ストップランプ、バックランプ、ハイマウントストップランプなどがある。この内、テールランプ、ターンランプ、ストップランプ、バックランプはリアコンビネーションランプとして一体化されているケースが多い。
 白色LEDパッケージは日本ではあまり普及が進んでいないが欧州、韓国ではバックランプに使用されている。バックランプの白色LEDパッケージの平均搭載個数は約10個である。テール、ターン、ストップ、バックの各ランプから構成される4ユニットのフルLED製品ははまだ発売されていない。4ユニットのフルLED製品の市場投入により2017年頃から白色LEDパッケージの出荷数量も伸びると期待される。
 有色LEDパッケージの平均搭載個数は、ハイマウントストップランプで赤色LEDパッケージが3〜4個使用されるのが一般的である。LEDリアコンビネーションランプでは、ストップランプとテールランプの2ユニットでLEDパッケージ赤色タイプが20〜30個、ストップランプとテールランプ、ターンランプの3ユニットでLEDパッケージ赤色タイプとアンバータイプ(ターンランプに使用)が50〜60個使用される。
LED用蛍光体世界市場
2015年2020年(予測)2015年比
97t194t2.0倍
365億円627億円171.8%
 白色LEDパッケージに採用される蛍光体を対象とした。高効率・低価格が要求される製品には黄色の蛍光体が単体で使用されるケースが多いが、色温度や演色性が要求される場合には黄色と赤色の組み合わせや、赤色と緑色の組み合わせが使用される。
 色別では、照明向けを中心に高演色ニーズの高まりから赤色と緑色が特に伸長している。また、バックライト向けではパッケージ当たりの使用量が多いKSF蛍光体の使用増加も影響している。
 中国メーカーが増えており、YAGやCASNにおいて安価な製品の出荷数量が伸びている。
内容の詳細につきましては『2016 LED関連市場総調査』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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