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『2016 人工知能ビジネス総調査』まとまる(2016/11/28発表 第16095号)

AIを活用した分析サービス、AI環境を構築するためのシステムインテグレーション(SI)、プロダクトなどAI(人工知能)ビジネスの国内市場を調査

2030年度の市場は2兆1,200億円(2015年度比14.1倍)

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、ICTの進化、ディープラーニングという新技術の研究が進んだことで、今、また注目を集めるAIの関連ビジネス市場を調査した。その結果を報告書「2016 人工知能ビジネス総調査」にまとめた。
 この報告書では、AIを活用した分析サービスや、AI環境を構築するためのコンサルティング、SI、AI環境を支えるプロダクト(ハードウェア、ソフトウェア)やクラウドサービス(SaaS、IaaS/PaaS)などをAIビジネス市場とし、その市場を需要業種別に分析した。また、同時にAIを活用した今後拡大が期待される注目(製品/システム/サービス)市場、AI関連インフラ市場についても調査・分析するとともに、AI関連ビジネス業界主要企業の事例研究も行った。

調査結果の概要
AI(人工知能)ビジネスの国内市場
1. ビジネスカテゴリー別市場
ビジネスカテゴリー別市場別:市場規模推移グラフ
 2015年度のAIビジネスの国内市場は1,500億円となった。製造や金融、情報通信業の大手企業における個別開発が中心であったことから、SIやハードウェアの市場規模が大きくなっている。個人情報や顧客情報を学習データとして取り扱うユーザーでは、セキュリティを重視してオンプレミスでAI環境を構築しようとする傾向が今後も続くとみられる。
 単なる数値データであるセンサーデータやPOSデータ、インターネット上で公開されている口コミなどのソーシャルデータの分析に関しては、クラウドサービスのIaaS/PaaSをインフラとしたAI環境も構築されていくとみられる。また、オンプレミス/クラウドサービス上で稼働するアプリケーションに関しても、現状個別開発が中心であるが、今後はAIを標準で搭載したソフトウェアやSaaSが拡大していくとみられる。
2. 需要業種カテゴリー別市場
 2015年度2020年度予測2030年度予測
製造315億円1,680億円3,340億円
流通/サービス150億円985億円2,120億円
金融495億円2,820億円5,860億円
情報通信270億円1,720億円3,680億円
医療/ライフサイエンス100億円500億円1,030億円
公共/社会インフラ155億円2,015億円4,520億円
その他業種15億円300億円650億円
合計1,500億円1兆20億円2兆1,200億円
 2015年度の市場は三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行といったメガバンクのコールセンター導入で先行している金融が495億円と最大規模となっている。2020年度時点でも保険、FinTechへと導入が広がる金融が最大規模とみられる。
 2015年度から2020年度までの市場の年平均成長率は46.2%と高く、それを上回る業種は、その他業種を除くと、公共/社会インフラの67.0%である。公共/社会インフラは防災/防犯、スマートシティやスマートグリッドなどでIoTやビッグデータ分析とAI関連技術を組み合わせた活用が進んでいくとみられる。
注目(AI活用製品/システム/サービス)市場
 2015年度2020年度予測2030年度予測
需要予測370億円825億円2,015億円
コールセンター104億円730億円1,870億円
映像監視13億円98億円1,600億円
コミュニケーションロボット5億円160億円600億円
ネットワークセキュリティ40億円265億円390億円
市場は製品/システム/サービスごとに活用されるキーデバイスなども含んでいるためAIビジネス市場とは一致しない
 需要予測はAIと組み合わせて提供されるBIツール、データマイニングツール、統計解析ツールを対象とした。すでにAIを活用した製品が提供されており、AI関連技術の発展が直接的に波及するソリューションといえる。ツール自体の性能向上に加え、企業内で生成される各種データを蓄積するためのシステムに需要予測機能が搭載されるなどの動きも今後広がっていくとみられる。
 コールセンターはコールセンター向けに提供されているAIを活用した各種システム、サービスを対象とした。以前よりAI関連技術を活用した業務効率化が期待されてきた市場であり、すでに活用されているケースもみられるなど、現時点での市場規模が大きいところが特徴である。オペレーターの業務支援やVOC分析などでのAI活用が今後進んでいくとみられる。
 映像監視は監視カメラで撮影された映像を分析する目的でAIを解析ソフトに組み込んだソリューションを対象とした。撮影された映像データの分析/解析においてAIを活用する研究/実験が進んでいる。従来は自動化に向けたアルゴリズム開発などが進められてきたが、AIを活用することでさらなる精度向上が期待される。
 コミュニケーションロボットはAIを活用したビジネスユースのロボットを対象とした。企業や施設における受付業務や店舗における接客業務向けでの導入が進んでいる。現在はソフトバンクロボティクス(「Pepper」)が先行しているが、実用化に向けて試作機を開発している企業も多く、それらの企業が製品を市場に投入する2018年以降市場がさらに拡大すると期待される。
 ネットワークセキュリティはAIを活用したネットワークセキュリティ製品、サービスを対象とした。標的型攻撃対策においてAI活用が先行していくとみられる。従来のパターンマッチングやブラックリスト方式での対応から機械学習などのAI関連技術を活用することにより未知の脅威への対応が可能となってくる。特に2020年のスポーツイベントを控え、サイバー攻撃の増加や高度化が予想されることからAIへの期待は大きい。
内容の詳細につきましては『2016 人工知能ビジネス総調査』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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