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『2017年版 高機能コーティングの現状と将来展望』まとまる(2017/2/1発表 第17008号)

耐擦傷性、耐候性、離型性、光学特性改善などの高機能コーティングを実現するコート剤と応用製品の市場を調査

2020年市場予測
コート剤20品目の世界市場 1兆6,915億円 OLEDや自動車用LiB、3Dプリンター用材料などで需要が拡大
3Dプリンター用樹脂材料の世界市場 1,199億円 米国やドイツなどで溶融樹脂積層法向けを中心に大きく伸びる

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、ディスプレイ、エレクトロニクス、自動車、エネルギー・蓄電、メディカル、食品・パッケージ、建材・農業などの用途分野で高まる、耐擦傷性、耐候性、離型性、撥水撥油・親水親油、導電性、絶縁性、ガスバリア性、光学特性改善、生体適合性などの機能により今後の需要増加が期待されるコート剤とその応用製品の市場を調査した。
 その結果を報告書「2017年版 高機能コーティングの現状と将来展望」にまとめた。
 この報告書ではコート剤20品目、応用製品11品目の世界市場について現状を調査し、将来を予測した。また、採用素材やコーティング技術の変化の有無、ニーズ・課題、注目用途などをまとめた。なお、コート剤29品目、応用製品15品目の国内市場についても同様にまとめている。

調査結果の概要
コート剤20品目の世界市場:市場規模推移グラフ
 市場は拡大を続けており2016年は1兆2,138億円が見込まれる。表面改質ではカーペットなどの繊維用途で使用される撥水撥油コート剤や、水回り家電や自動車のエンジンルーム、ヘッドランプ基板などで使われる防水防湿コート剤の構成比が大きい。光学特性ではカラーレジスト・ブラックレジストが1,127億円で60%以上の構成比を占めている。また、偏光板や光学用プロテクトフィルムで使用される光学用粘着剤も400億円を超える規模となっている。その他はLiB用正極材料が70%弱の構成比を占める。他にもLiB用負極材料や3Dプリンター用樹脂材料などの構成比が大きい。
 今後も市場は拡大し2020年は2015年比50.2%増の1兆6,915億円が予測される。特にLiB用正極材料やLiB用負極材料の車載電池用途を中心とした伸びが拡大をけん引するとみられる。表面改質は2015年の市場と比べて微減するが、基板の高電圧化・高密度実装化に伴う高機能防水・防湿製品へのニーズに対応する防水防湿コート剤や、中国を中心としたアジアの繊維向けが好調な撥水撥油コート剤などは伸びが期待される。また、OLED用途のポリイミドワニス、自動車の高輝度放電ヘッドランプやLEDヘッドランプで使用される自動車用防雲コート剤も大幅な伸びが予想される。光学特性は実績の大きいカラーレジスト・ブラックレジストが数量ベースでは伸びるものの価格低下による縮小が予想されるため、市場は2015年と比べて小さくなるとみられる。
 用途別では、LiB用正極材料やLiB用負極材料などが使用されるエネルギー・蓄電向け、光学用粘着剤やカラーレジスト・ブラックレジストが使用されるディスプレイ向けの市場が大きい。また、自動車向けは今後の市場拡大が期待されており、ヘッドランプやグレージングで使用されるハードコート剤(自動車用)、ヘッドランプで使用される自動車用防曇コート剤、車載カメラで使用される光学レンズ用コート剤などの伸びが予想される。
応用製品11品目の世界市場
2016年見込2020年予測2015年比
7,014億円8,652億円115.9%
 2016年の市場は7,014億円が見込まれる。2017年以降は年平均5%程度の拡大が期待され2020年の市場は8,652億円が予測される。特に燃料電池用電解質膜(PEFC用)やLiB用セパレーターなどの大幅な伸びが予想される。また、フレキシブルOLEDディスプレイやフレキシブル太陽電池での採用が期待されるハイバリアフィルムやLCD−TV向けで採用されるQDシートも伸びるとみられる。
注目市場
3Dプリンター用樹脂材料(コート剤・世界市場)
2016年見込2020年予測2015年比
725億円1,199億円181.7%
 認知度の向上や低価格装置の普及を背景とした産業分野での3Dプリンターの市場が拡大しており、それに伴い樹脂材料の需要も急増しており2016年の市場は725億円が見込まれる。北米や欧州などで50〜100万円台の安価なデスクトップ型FFF(溶融樹脂積層法)式の3Dプリンターが、モデル作成やプロトタイピング、および教育機関向けに販売を伸ばしており、それに伴いFFF式向け樹脂の需要が急増している。SLA(光造形法)式やSLS(粉末積層造形法)式の製品も販売が伸びており、FFF式よりも高価格な樹脂を材料とするため市場規模を押し上げている。
 製造業に注力する米国やドイツなどでは、政府主導で3Dプリンターへの取り組みが活発化している。中でも3Dプリンターの導入数で世界最大の米国が樹脂材料についても最大の需要地である。欧州では製造業が集積するドイツを中心に安定した需要がみられる。日本では製造現場の試作用で導入が進んでいる。
 現状3Dプリンターの需要は試作・プロトタイピング向けが中心であるが、将来的な市場拡大のためには最終製品への応用が不可欠なため、参入メーカーは耐熱性と強度で共に要求水準を満たす材料開発に注力している。
ポリイミドワニス(コート剤・世界市場)
2016年見込2020年予測2015年比
3億円13億円6.5倍
 今後拡大が期待されるディスプレイやエレクトロニクス、エネルギー関連で使用される高機能ワニスを対象とした。OLEDディスプレイ基材向けを中心に2016年の市場は3億円が見込まれる。
 現状は「Galaxy 7 edge」(Samsung Electronics)や「Apple Watch」(Apple)などのOLEDディスプレイ基材用で多く使用されている。OLEDへの投資は2017年以降継続的に進むとみられる。Samsung DisplayやLG Displayが増産を行っており、2018年以降はAppleのスマートフォン向けをターゲットとした市場の急拡大が予想される。また中国企業も2017年以降に新規にOLEDのラインを立ち上げるとみられ、OLEDの市場拡大に伴いポリイミドワニスの需要増加が期待される。
 湾曲形成可能なOLEDディスプレイの市場拡大に伴い、2020年の市場は13億円が予測される。新たな用途として、燃料電池用耐熱フィルムやLiB用バインダー、炭素繊維複合材料なども注目される。
ハイバリアフィルム(応用製品・世界市場)
2016年見込2020年予測2015年比
71億円147億円154.7%
 QDシートやフレキシブルOLEDディスプレイなどのディスプレイ向け、フレキシブルCI(G)S太陽電池や有機系太陽電池などのエネルギー・蓄電向けのハイバリアフィルムを対象とした。現状はQDシートの需要が大半である。QDシートはLCDのバックライトユニットに組み込まれて使用される部材であるが、量子ドット(QD)を分散させた層をハイバリアフィルムで挟む構造となっている。
 当初はCI(G)Sフレキシブル太陽電池向けが大部分であった。2015年にQDシート市場が拡大したことに伴いハイバリアフィルムの需要も急増した。QDシートは韓国メーカーのシェアが高いため、ハイバリアフィルムも韓国の需要が大きいとみられる。
 2016年はQDシート向けの増加による数量ベースの伸びがみられるものの、価格の下落により市場は縮小が見込まれる。しかし、2017年以降はQDシートやフレキシブル太陽電池向けに加え、OLEDディスプレイ向けの増加も期待され、2020年の市場は147億円が予測される。また、2020年頃からはフレキシブルOLED照明や有機系太陽電池の市場が本格的に立ち上がるとみられ、それに伴う需要増加も期待される。
内容の詳細につきましては『2017年版 高機能コーティングの現状と将来展望』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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