プレスリリースプレスリリースPress Releases

  • HOME
  • プレスリリース
  • 『車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2018(上巻)』まとまる(2018/3/15発表 第18026号)

『車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2018(上巻)』まとまる(2018/3/15発表 第18026号)

車載電装システムの世界市場を調査

ADASは2017年に1兆円突破の見込、2025年は2兆3,426億円へさらに拡大の予測
自動運転システムは2017年に発売され緩やかに拡大、2025年に6,157億円の予測

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、EVシフトをキーワードに環境対策強化による電装システムの普及、システムにおけるセンサーなどデバイス搭載数の増加で拡大が予想される車載電装システムの世界市場を調査した。その結果を「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2018 《上巻:システム/デバイス編》」にまとめた。
 この調査では、パワートレイン系、HV/PHV/EV/FCV系、走行安全系、ボディ系、情報通信系の車載電装システム20品目と情報機器3品目の世界市場を地域別に調査・分析した。加えて、それらを構成するデバイス&コンポーネンツ27品目の市場についても、車載電装システムでの搭載数の変化を加味し、今後を予測した。
 なお、システムの制御を司るECUとその構成デバイス市場についての調査・分析結果は「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2018 《下巻:ECU関連デバイス編》」でまとめており、今後発表する。

注目車載電装システム市場
ADAS/自動運転システムの世界市場
 ADAS(Advanced Driving Assistant System)は、カメラやレーダーからのセンシング情報をドライバーに警告、または自動で制御を行う安全支援システムで、AEB(衝突被害軽減ブレーキ)やACC(定速走行・車間距離制御装置)などの各機能の総称である。一方、自動運転システムは、センシングデバイスを用いて周辺環境の検知・認識を行い、自動制御を可能とする技術で、ADASの延長線上に位置する。
 自動化レベルをベースに、“運転支援なし(レベル0)”“安全運転支援(同1)”“部分的な自動化(同2)”をADAS、“条件付き自動化(同3)”“高度な自動化(同4)”“完全自動化(同5)”を自動運転システムとした。
車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2018(上巻):ADAS/自動運転システムの世界市場グラフ
 ADASは自動車メーカーが大衆車での搭載を進めており、軽自動車などでも安全運転支援が可能となるレベル1のシステムの採用が増えている。また、2017年より部分的な自動化を可能とするレベル2のシステムを搭載する車両が続々と登場しており、オプションながらユーザーの選択率も高い。市場は2017年に1兆円の大台を突破すると見込まれ、今後も低価格化や機能の向上、ユーザーの認知度アップにより安定して拡大し、2025年には2016年比2.8倍の2兆3,426億円が予測される。
 自動運転システムは2017年に条件付き自動化を可能とするレベル3のシステムが量産車両へ搭載された。しかし、自動運転車の走行を前提とした法整備が進んでおらず、現状ではハンドルやブレーキ、アクセルから手足を離して走行することはできない。そのため当面は各自動車メーカーが自社技術の象徴としてレベル3以上のシステムをフラグシップ車両にオプション搭載するかたちで市場が構築されるとみられる。
 法整備が進むことで搭載車両の増加が期待され、自動運転システムの構成比が2020年以降徐々に上昇するとみられるが、高価格であるため多くのユーザーが選択できる環境になるのは2025年より先になると予想される。そのため比較的安価に安全性向上を図ることができるADASが2025年時点でも80%近くを、数量ベースでも97%の大多数を占めるとみられる。
ドライバーモニタリングシステムの世界市場
車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2018(上巻):ドライバーモニタリングシステムの世界市場グラフ
 車載カメラやセンサーなどを使用して、ドライバーの状態を検知するシステムである。欧州の自動車メーカーが中心となって操舵角センサーを用いた居眠り検知システムの搭載を進めており、日本では赤外線カメラを用いたシステムが高級車や大型トラック・バスで搭載されている。
 Euro−NCAP(欧州新車アセスメントプログラム)において、居眠り運転対策や車内での子供放置対策が近々アセスメント対象となる見通しであり、ドライバーモニタリングシステムは高級車での搭載から徐々に大衆車へ普及していくとみられる。また、自動運転の中でも条件付き自動化が可能となるレベル3の段階では、自動運転から緊急時のドライバー運転への切り替えが必要となるためドライバーのモニタリングが欠かせない。そのため、自動運転システムと共にドライバーモニタリングシステムの搭載が先進国を中心に進むとみられ、2025年には2016年比6.1倍の1,014億円が予測される。
調査結果の概要
車載電装システムの世界市場
2017年見込2016年比2025年予測2016年比
21兆863億円108.1%35兆404億円179.6%
 2017年の市場は、21兆863億円が見込まれる。パワートレイン系システムの比率が大きく7兆6,129億円、走行安全系システムが4兆7,767億円、HV/PHV/EV/FCV系システムが1兆9,154億円となり、環境や安全に関わるシステムが市場の68%を占める。
 2025年の市場は2016年比79.6%増の35兆404億円が予測される。年平均成長率(2016-2025)が10%を上回るのは、アイドリングストップ/回生システム、HV/PHVシステム、EV/FCVシステム、ADAS/自動運転システム、ドライバーモニタリングシステム、ヘッドアップディスプレイ、車外通信システムなどであり、特にHV/PHV/EV/FCV系システムが大幅に伸びることから、環境や安全に関わるシステムの構成比は72%に上昇するとみられる。
 エリア別には、自動車生産台数の多いEUやNAFTAの市場が大きいが、今後は中国やその他の地域の市場が自動車生産台数増加にともない拡大していく。
 日本市場はパワートレイン系システムが1兆円を超えており、高い構成比を占める。今後HV/PHV/EV/FCV系システムの搭載が進み2022年にはパワートレイン系システムを上回る規模になると予想される。
 中国市場はEVの普及が他のエリアより進んでいるため、HV/PHV/EV/FCV系システムの構成比が高い。2018年にもHV/PHV/EV/FCV系システムの規模が1兆円を超えると予想されるが、環境対応車以外の自動車需要も旺盛なことから、パワートレイン系システムの規模を上回るのは2025年以降とみられる。
デバイス&コンポーネンツの世界市場
 2017年見込2016年比2025年予測2016年比
センサーモジュール/アクチュエーター4兆7,943億円106.4%7兆3,599億円163.3%
表示/入力系デバイス1兆3,735億円109.3%2兆1,134億円168.2%
HV/PHV/EV/FCV/環境対策関連デバイス2兆5,116億円122.3%6兆9,803億円3.4倍
合計8兆6,795億円111.0%16兆4,536億円2.1倍
市場データは四捨五入している
 最も規模が大きいセンサーモジュール/アクチュエーターは、さまざまなシステムでの需要が期待されることから2025年に2016年比63.3%増の7兆3,599億円が予測される。
 パワートレイン系システムでは燃費向上の観点からエンジンの熱効率を向上させる開発が継続的に行われており、電子制御システムや電動システムの搭載が進むことで小型モーターやセンサーの採用が増えている。また、走行安全系システムではレーダーセンサーなどの周辺監視センサーや慣性センサーが搭載されており、自動運転システムの開発により多種多様なセンサーの搭載が進むとみられる。
 ボディ系システムでは従来の手動操作からスイッチによる電動制御に置き換わることで、小型モーターの搭載が増加しており、さらに電動化から自動制御が進むことで、小型モーターに加えてセンサーの需要も増加していくとみられる。
 表示/入力系デバイスは2025年に2016年比68.2%増の2兆1,134億円が予測される。
 運転時の快適性の追求からドライバーがストレスフリーで運転できる環境が望まれているが、近年ドライバーが運転する際の情報量が増加している。情報通信系システムでドライバーに的確なタイミングで情報を提示する必要性が増しており、その一環で液晶ディスプレイを利用した情報表示が増加している。
 最も伸び率が高いHV/PHV/EV/FCV/環境対策関連デバイスは、2025年に2016年比3.4倍の6兆9,803億円が予測される。
 HV/PHV/EV/FCV系システムでの二次電池やモーターなどの専用デバイス搭載に加え、パワートレイン系システムでもアイドリングストップ/回生システムの普及により専用の補助電源やモータージェネレーターなど環境対策関連デバイスの採用が進んでいる。EVシフトの風潮はあるものの、当面エンジンマネジメントシステムが主流のパワートレインとして搭載されるため、環境対策は変わらず重要視され、開発が続けられていくとみられる。
内容の詳細につきましては『車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2018(上巻)』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

ページトップ