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『車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2023 上巻』まとまる(2023/2/9発表 第23015号)

車載電装システムの世界市場を調査

2035年予測(2021年比)
乗員モニタリングシステム市場 1兆2,566億円(55.4倍)
欧州での搭載義務化など安全性向上を背景に搭載率上昇。快適性に寄与するシステムとして採用増加
自動運転システム市場 3兆9,658億円(661.0倍)
搭載車両の増加、技術の進展によるシステム価格の低下により、大幅な市場拡大
乗用車以外にもロボタクシーなどMaaS車両での利用期待
センサーモジュール/アクチュエーターモジュール市場 5兆704億円(3.8倍)
ADAS/自動運転システムの普及により、レーダーやLIDARなどが伸長

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋 TEL:03-3241-3490 社長:田中 一志)は、カーボンニュートラルの実現を目指し、自動車産業に関わる多くの企業によるCO2排出量削減に向けた投資拡大などを受けて、システム構成や位置付け、機能、供給形態などが変化している車載電装システムの世界市場を調査した。その結果を「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2023 ≪上巻:システム/デバイス編≫」にまとめた。
 この調査では、車載電装システムやそのシステムに搭載されるデバイスの市場動向を把握するとともに、システム構成の変化、機能の統合・連携に向けた動き、技術開発の方向性などを捉えた。

注目市場
ドライブレコーダー
2022年見込2021年比2035年予測2021年比
8,331億円116.6%1兆3,080億円183.0%
 走行中の車両の前後方向を中心とした周辺状況や、車内の状況を撮影し自動的に録画・保存する機器であり、事故などの際の車両周辺状況の確認に利用される。
 中国などアジア圏の需要が高く、日本では、煽り運転の社会問題化、ドライブレコーダー利用型自動車保険の人気などから、普及が進んでいる。ほかの地域でも有用性に対する認識は着実に高まっており、市場は堅調に拡大している。
 価格面や性能面などの製品ラインアップはアフター品の方が豊富であり、アフター品市場がメインである。しかし、電子ミラーのディスプレイ部分と一体化した製品が登場するなど、ニーズに応じて形状や機能が多様化しており、徐々に自動車購入時のオプションでの導入も増えていくとみられる。
乗員モニタリングシステム
2022年見込2021年比2035年予測2021年比
823億円3.6倍1兆2,566億円55.4倍
 車載カメラを用いて運転中のドライバー状態(わき見や居眠り防止、自動運転中のドライバー監視など)、その他助手席や後席の乗員の状態を検知するシステムを対象とした。
 自動運転レベル3以上の車両では、運転権利移譲の際にドライバーの運転可否判断を行う必要があるため必ず搭載されている。また、欧州では2024年に搭載が義務化されるほか、北米でも2026年を目途に評価項目への追加が予定されることから、安全性向上などを背景として搭載率が上昇していくとみられる。
 2022年時点ではセンシングデバイスとして車載カメラが単体で搭載されているシステムが一般的である。乗員の快適性、安全性の向上を目的にミリ波レーダー、生体センサーなど複数のセンシングデバイスを搭載したシステムの開発が進んでおり、後席の幼児置き去りなどの検知も可能になるとみられる。今後、高級車ではドライバー以外にも助手席、後席の検知を行い、安全性の担保だけでなく、エアコンによる室温の自動制御など快適性に寄与するシステムとして採用が進むとみられる。一方、義務化により、一般車でも搭載されることになるため、ドライバーの状態のみ検知するシステムも増えるとみられる。
ADAS/自動運転システム
 2022年見込2021年比2035年予測2021年比
ADAS1兆6,015億円120.7%2兆2,124億円166.8%
自動運転システム122億円2.0倍3兆9,658億円661.0倍
 ADASは、SAE自動運転レベル1、レベル2、HDマップとLIDARが非搭載のレベル3相当のシステム、自動運転システムは、SAE自動運転レベル3〜5のHDマップとLIDARが搭載されたシステムを対象とした。
 ADASは、AEB(Autonomous Emergency Braking:衝突被害軽減ブレーキ)の義務化を進める地域の増加がシステム搭載を後押ししており、市場が拡大している。ミリ波レーダーもしくは単眼カメラのみを用いたシステムから、各種センサーをフュージョンさせるシステムや、一時的なハンズフリーやレーンチェンジアシストが可能なシステムまで幅が広い。長期的には高度なシステムの普及が進むことで、2026年頃までは、金額ベースの市場は数量ベース以上の伸びが予想される。エリア別には、日本ではレベル2相当の車両の普及が他の地域よりも進んでいる。また、需要が最も高い欧州では、一時的なハンズフリーやレーンチェンジアシストを行う高機能レベル2の車両が大きく増加していくとみられる。
 自動運転システムは、2021年からトヨタ自動車や本田技研工業など日系メーカーが搭載を開始し、2022年からは中国メーカーも搭載を始めていることから、市場は徐々にではあるが拡大している。多様なデバイスが複数個必要なためシステム自体が高価格であるが、LIDARの低価格製品の開発が活発化しており、搭載拡大と技術の進展によるコスト低減に伴いシステム価格の下落が期待され、長期的には、大幅な市場拡大が予想される。また、乗用車以外にも、ロボタクシーなどMaaS車両での利用が想定される。
調査結果の概要
車載電装システムの世界市場
 2022年見込2021年比2035年予測2021年比
パワートレイン系7兆5,771億円110.9%7兆7,082億円112.8%
xEV系17兆1,679億円191.1%47兆4,507億円5.3倍
走行安全系5兆5,251億円124.2%11兆6,271億円2.6倍
ボディ系3兆5,977億円112.9%5兆4,018億円169.5%
情報系4兆6,165億円116.5%10兆2,043億円2.6倍
合計38兆4,842億円140.4%82兆3,921億円3.0倍
 2022年は、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化やウクライナ紛争の勃発により、金属やプラスチックなどの原材料、半導体などの不足が長期化し、自動車の生産が計画通りに進まず一時的に生産調整を行ったメーカーもみられたが、電動車の生産が欧州や中国で大幅に増加したことから、xEV系が大きく伸び、市場は、前年比40.4%増の38兆4,842億円が見込まれる。
 2050年のカーボンニュートラルの実現を目指し、各国・地域が実現のための法規制を強化する中、自動車メーカーはxEVの投入計画を強化しており、EVシステムを始めとしたxEV系が大きく増加し、市場拡大をけん引するとみられる。また、xEV化が進むことで自動運転やデジタルコックピット化が進むため、走行安全系、情報系、ボディ系なども大きく伸びると予想され、2035年には2021年比3.0倍の82兆3,921億円が予測される。
デバイス&コンポーネンツの世界市場
 2022年見込2021年比2035年予測2021年比
全体22兆866億円170.9%59兆976億円4.6倍
 センサーモジュール1兆6,435億円124.0%5兆704億円3.8倍
センサーモジュール(センサーモジュール/アクチュエーターモジュール)は全体の内数
 デバイス&コンポーネンツの世界市場は、xEVシステムやADAS/自動運転システムの搭載によるセンサーや部品の搭載数の増加により拡大しており、車載電装システム市場以上の伸びが予想される。
 部品などが増える一方で、搭載スペースは限られることから、部品の多機能化や集約するユニット化による省スペース化が進んでいくとみられる。また、パワー半導体や高処理ICの採用増加により、高精度なサーマルマネジメントやパワーマネジメントなどが求められ、耐熱性や放熱性を高めた部品が増加していくとみられる。
 センサーモジュール/アクチュエーターモジュールでは、ADAS関連のセンシングカメラやレーダーセンサー、LIDARなどのセンサーなどが伸びており、特にLIDARはレベル3以上の自動運転システムを搭載した車両が続々と発売されたことで大きく拡大している。今後はレーダーセンサーが2024年の欧州におけるAEB搭載義務化などで伸び、LIDARはMaaS車両や高級乗用車を中心に採用が期待されることや、2030年以降の本格的な自動運転化の進展により一層の市場拡大が予想される。
内容の詳細につきましては『車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2023 上巻』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3241-3473(窓口:富士経済グループ本社 広報部)

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