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『2011 MEMS関連市場総調査』まとまる(2011/1/25発表 第11006号)
角速度センサ、加速度センサ、電子コンパスなど世界のMEMS市場の調査を実施
- ■2020年の市場予測
- ■MEMS(18品目)市場 1兆896億円(2010年の2.1倍)
- ■角速度センサ(自動車用) 647億円(2010年の2.1倍)
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町2−5 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、次世代の産業を支えるキーデバイスとして幅広い用途に需要開拓が進められているMEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム)市場を調査分析した。その結果を報告書「2011 MEMS関連市場総調査」にまとめた。
この報告書では、従来の用途の中心だった自動車用及び今後の成長が期待される民生用途、産業用途の将来性などMEMS市場の情報に特化し、MEMSメーカー、各種アプリケーションメーカー、大学・研究機関によるMEMS製品の開発状況、用途動向、用途別MEMSニーズを詳細に調査分析した。
- ■調査結果の概要
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分野 2010年見込 2020年予測 伸長率 MEMSセンサ 4,119億円 7,619億円 185.0% 光MEMS 69億円 126億円 182.6% 各種MEMSデバイス 917億円 2,590億円 283.4% 次世代MEMS 199億円 562億円 282.4% 合計 5,304億円 1兆896億円 205.4% - ■注目MEMS市場
- 1.角速度センサ(ジャイロセンサ・ジャイロスコープ)
物体の回転角度または回転角加速度を検知することで、車両等物体の振れや傾きを捉える機能を持つ。 -
■民生・産業用 2020年予測 7億6,280万個(2010年比389.6%)
民生用では携帯電話・スマートフォンの地磁気センサの補助機能等、デジタルスチルカメラ(以下DSC)における手振れ補正、ゲームコントローラのモーションセンシングなどが主要用途となっている。産業用では軍事・航空関連、アミューズメントロボットの姿勢制御部品等にも搭載されている。用途により搭載個数が異なるため、DSC、その他向けは2軸換算、携帯電話・スマートフォン、ゲームコントローラ向けはパッケージ別換算とした。2010年は、DSCにおける手振れ補正、ゲームコントローラのモーションセンシングという2009年までの主要用途に、携帯電話・スマートフォンの地磁気センサの補助機能等の用途が新たに加わったことが市場拡大に大きく貢献し、前年比54.9%増の1億9,580万個の見通しである。
今後も、従来までの主要用途であるDSCにおける手振れ補正、ゲームコントローラのモーションセンシング向けで安定した需要が見込める。また、スマートフォン各社が角速度センサの搭載を本格的に検討しはじめている。携帯電話・スマートフォンでは歩行者のナビゲーションに向けた推測航法(位置情報や方位情報に加え、歩行距離や運動・姿勢等も考慮して歩行者をナビゲート)などが今後有望用途と考えられる。 -
■自動車用 2020年予測 9,636万個(2010年比281.8%)
自動車用では1軸品のMEMSタイプが主流となっている。自動車用角速度センサの主要用途はESC(エレクトロニックスタビリティコントロール:車体制御)用、カーナビ用、エアバックに使用するロールオーバー(横転検出)用、パーキングアシスト用、車線逸脱警報用等である。ESCに用いられるヨーレイトセンサモジュールは通常、角速度センサ及び加速度センサが一体化されたモジュールユニットとなっている。車両の回転速度を角速度センサによって検出し、かつ走行方向に対し横軸における加速度を加速度センサによって検出することで車両の横すべりを予測し、エンジンやブレーキと協調しながら車両を安定させる働きをする。カーナビ用角速度センサは、GPS(全世界測位システム)を補完し、衛星電波の届かない場所でも進行方向や位置を正確に把握する目的で使用される。
自動車市場の回復により、2010年の市場は、前年比28.9%増の3,419万個となる見通しである。ESCは法規制化とABSからESCへのシフトなどによって、欧米車はもとより日本車でも高額車種では全車標準装備となりつつあり、この製品の需要も確実に増加している。主要用途であるESC搭載率が現状において米国では70%近く、欧州でも60〜70%の搭載比率となっており、日本でも2014〜2015年から乗用車・商用車の新モデルへのESC装備が義務化されるため、市場の拡大が予測される。カーナビ用は現状では日本国内向けがメインであるが、今後中国でOEM向け市場が本格的に拡大するなど海外での需要増加が期待される。 - 2. 加速度センサ
物体の加速度・減速度を検出するセンサであり、半導体式、機械式、光学式がある。半導体式には静電容量型、ピエゾ抵抗型等がある。重力加速度(Gravity)を検出することからGセンサとも呼ばれる。測定可能なベクトル数によって1軸、2軸、3軸があり、3軸加速度センサはXYZ3次元方向の加速度を同時に検出可能である。最近では3軸品の搭載が大半である。 -
■民生・産業用 2020年予測 13億7,300万個(2010年比211.2%)
民生・産業用のアプリケーションは、携帯電話・スマートフォン、ゲームコントローラ、ノートPC、DSC、デジタルビデオカメラ(以下DVC)、歩数計、プロジェクタなど幅広い。
2010年の市場は前年比14.4%増の6億5,000万個となる見通しである。2007年まではゲームコントローラ向けが半数以上(数量ベース)を占めていたが、2010年は携帯電話・スマートフォン向けがトップとなる。現状は、携帯電話の20%弱、スマートフォンの70%程度に搭載されていると推定される。今後は、心電計やペースメーカーなど各種医療機器などの新規アプリケーションの拡大が期待される。なお低価格化が進んでおり、金額ベースでは2012年以降はマイナス成長と予測される。 -
■自動車用 2020年予測 7億8,390万個(2010年比234.8%)
カーナビのGPS補助、エアバッグトリガー、シートベルトプリテンショントリガー、EAS(電子制御サスペンション)、ESC、ロールオーバー検出、坂道発進補助などに使用されている。
自動車市場の回復により、2010年の市場は、前年比19.2%増の3億3,380万個となる見通しである。この市場はメインアプリケーションであるエアバックシステムとESCの市場に連動する。日本、欧州、北米等の先進地域では自動車生産台数はほぼ横ばいから微増であるが、サイドエアバックの搭載など自動車1台あたりに搭載されるエアバックシステムが増加傾向にある。また、これら先進国ではESCの搭載も増加している。BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)やその他の地域では、エアバッグシステムの搭載がこれから進むとみられ、今後大幅な市場拡大が期待される。
内容の詳細につきましては『2011 MEMS関連市場総調査』をご覧ください。
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- 富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)