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『スマート交通関連市場のグローバル展望 2011』まとまる(2011/3/7発表 第11021号)
次世代ITS、EV・PHV向け新サービスなどスマート交通関連市場の調査を実施
- ■2020年の市場予測
- ■スマート交通インフラ世界市場:4,565億円(2010年の7.4倍)
■普通・倍速充電器世界市場:1,012億円(2010年の67.5倍)
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町2−5 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、持続可能なモビリティ社会の実現に向けた取組みが重要となり、また、電動化など自動車技術の変化によって新しいインフラやサービスの登場が想定される次世代ITS(Intelligent Transport System:高度道路交通システム)市場を調査した。その結果を報告書「スマート交通関連市場のグローバル展望 2011」にまとめた。
この報告書では、今後のITSを「スマート交通」と称し、主要各国のスマート交通に関するインフラとサービスの進展状況を把握した。また、EV/PHVの普及による充電インフラとそれに関わるサービスもスマート交通として取り上げた。
- ■調査結果の概要
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スマート交通とは、次世代ITSと、EVやPHVの普及に伴ってもたらされる新しいインフラと車載機器によって実現するサービスの総称名である。ITS分野では、IT(Information Technology)を利用したシステムによって交通の輸送効率や快適性を向上させていく活動を行ってきており、2004年頃からITSセカンドステージとして実用化に向けた動きが活発となった。今までは政府の取り組みや官民協力のもと、シーズ志向で着手されたITSが、セカンドステージにおいて目的志向・ユーザー視点の取り組みに進展した。
横浜のITS世界会議(1995年)から約15年を経て、ITSは、道路交通分野のみならず広く移動交通分野全体へ影響を与え、IT活用による国民生活の向上と国民経済の活性化に貢献する新技術として、地域や産業分野に広がっている。今後は「地球環境や安全、渋滞などの交通課題を解決し、人々の豊かな生活と産業・文化の発展に期する」、すなわち「持続可能なモビリティ社会の実現」に向けた取組みが重要となる。また、電動化の拡大による自動車技術の変化によって、新しいインフラやサービスが登場してくることも想定される。 - ■スマート交通インフラ市場
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2010年 2011年見込 2020年予測 2010年比 国内市場 172億円 217億円 618億円 3.6倍 海外市場 444億円 590億円 3,948億円 8.9倍 世界市場 616億円 807億円 4,565億円 7.4倍 ※自動料金収受システム、ビーコン、狭域通信システム、車両感知センサ、電子案内掲示板、中・急速充電器、普通・倍速充電器、非接触充電システム、バッテリー交換ステーションを対象とし、ビーコン、車両感知センサは国内のみで海外市場には含まないが、世界市場には合算している。 -
自動料金収受システムは、一旦停止することなく、かつシステムに何らかのトラブルが発生した場合に迅速に対応できるようなシステムの構築や、料金所レーンの強行突破を図ろうとするユーザーへの対策が課題となる。
ビーコンは、各ビーコン技術間、あるいはビーコンと他の通信技術/サービスとの競合が進むことから、光ビーコンの整備拡充と、配信情報の種類の拡大などが必要となる。
狭域通信システムは、導入コストが高いことから、市場拡大には、ETCで政府が料金割引政策を実施したように、ITSスポット設置の後にITS車載器購入の動機付けとなるユーザーへの何らかの補助制度が必要とみられる。
車両感知センサは、超音波式では四輪車と二輪車の区別が、画像式では陰となる車両の検知が難しいことから、センサの特性向上や、その他のスマート交通システムや車載デバイスとの複合利用によって、これらのセンサの弱点をカバーしていくとみられる。
電子案内掲示板は、LED電子表示板のイニシャルコストが高いが、ランニングコストが低いことから長期を見据えた投資と考える必要がある。また、設置に関しては、LEDの使用や表示方法の工夫によって、出来るだけドライバーの運転の妨げにならない場所、かつ一目で情報が認知できる場所への設置を進める必要がある。 - ■EV、PHV充電インフラ
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品目 2010年 2011年見込 2020年予測 2010年比 中・急速充電器 23億円 57億円 924億円 40.2倍 普通・倍速充電器 15億円 27億円 1,012億円 67.5倍 非接触充電システム − △ 96億円 − バッテリー交換ステーション − − 11億円 − 合計 38億円 83億円 2,043億円 53.8倍 - ■中・急速充電器(受電設備の費用や高圧配線工事費用などは含まない)
- 設置に伴うコストが高い。国内の場合、急速充電器は50kWという出力を得るため、AC6,600Vの高圧受電をする必要があり、受電設備(キュービクル)や高圧配線など工事費用が本体以上にかかる。太陽光などの再生可能エネルギーを用いた充電設備や、蓄電機能を持たせて受電容量を大きくしなくても急速充電が可能なシステムを採用することで受電設備のコスト低減を図っていくと考えられる。
- ■普通・倍速充電器
- 普通充電器の標準価格を現在の十数万円から数万円レベルまで低下させるとともに、補助金などの助成制度を導入し、充電器を購入しやすい環境をつくることが必要である。コンセントの規模の割には外観が大きすぎたり、鍵の開け方が分かりづらいなどの問題の改善が望まれる。今後、充電インフラが公共施設などに設置される数が増えてくるため、コンパクト化及びデザイン性はより重要となる。
内容の詳細につきましては『スマート交通関連市場のグローバル展望 2011』をご覧ください。
- ■報道関係のお問い合わせは
- 富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)