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『2011 中国LCDメーカーの動向と実態調査』まとまる(2011/5/20発表 第11044号)
中国のLCD工場、タッチパネル工場、70拠点をケーススタディ
中国市場の液晶パネル(LCD)メーカー動向を調査
- ■液晶パネル(LCD)生産は拡大の一途 小型から大型へシフト、需要鈍化で生産過剰も
- ■LCD-TVの中国ローカルメーカーが成長 液晶パネル(LCD)工場を持つTVメーカーも誕生
- ■液晶パネル(LCD)用次世代大型TFT工場の稼働見込み 国産化投資優先の政策で支援
- 11年 中国メーカー CEC Panda(第2四半期)、BOE(第3四半期)、China Star(第4四半期)稼働予定
13年以降 韓国/台湾各メーカー 中国工場稼働予定
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町2−5 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、10年11月〜11年3月に、大型投資が進みLCDビジネスが拡大する中国ローカルメーカーの動向を詳細に現地調査した。その結果を調査報告書「2011 中国LCDメーカーの動向と実態調査」にまとめた。
調査では、中国LCDの前工程/後工程/タッチパネル業界の基礎データ収集、中国液晶パネル(LCD)メーカーの部材供給先選定、開発動向など、中国における提携先企業の選定に役立つ基礎情報をまとめた。
ケーススタディでは、日本、韓国、台湾そして中国の主要液晶パネル(LCD)メーカー36社61拠点、タッチパネルメーカー9社のLCD事業を俯瞰する詳細情報の提供を目指した。
- ■調査結果の概要
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■中国市場におけるLCD-TV生産・販売動向
2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 実績 見込 予測 LCD-TV
(1,000台)中国生産数量 68,140 92,000 101,400 113,700 122,600 130,000 136,400 140,900 前年比 − 135.0% 110.2% 112.1% 107.8% 106.0% 104.9% 103.3% 中国販売数量 28,000 38,800 46,400 50,000 53,000 55,100 57,200 59,200 前年比 − 138.6% 119.6% 107.8% 106.0% 104.0% 103.8% 103.5%
大型LCD-TVでは、中国ローカルメーカーが技術力を高めているほか、EMSメーカーへの生産委託が増えて来たことから、中国での生産が増えている。これに加え、中国ではLCD-TV用パネルの国産化を目指して、次世代大型液晶パネル工場への投資が活発に行われている。11年からは中国メーカーBOE(京東方科技集団)G8.5工場やChina Star(華星光電)G8.5工場、CEC Panda(中電熊猫信息産業集団)G6工場などが稼働する予定である。韓国/台湾の大手メーカーも13年から中国工場の稼働を計画している。
中小型LCDでは、大きな成長が期待出来るスマートフォンやタブレットPCに使用されるタッチパネルの動向にも注目が集まっている。特に静電容量式タッチパネルの増産を計画しているメーカーが多く、同事業の動きが活発になっている。 -
■LCD-TV市場の動向
10年の市場は、生産ベースで9,200万台、販売ベースで3,880万台となった。09年に始まった「家電下郷」政策により急速にCRTTVからの代替需要が伸びた。11年以降も順調な成長が見込まれており、12年には、5,000万台まで販売台数を伸ばすが、ここで需要の一巡から伸びは一旦鈍ると予測する。日本や韓国など外資系メーカーが非常に安価なTVを販売した為、中国ローカルメーカーのシェアは前年に比べて下がっている。主要中国ローカルメーカーの10年の販売は、海外出荷分も含めて約3,470万台となった。11年は、コスト競争力のある中国ローカルメーカーのシェアが上昇すると見られる。
中国LCD-TVの主流は32inであり、高所得者層の購入も多く40in以上のサイズの売れ行きも3割を超えている。また大都市部の購入が一旦済んだ為、11年以降は地方の主要都市での販売が中心になる見込みからサイズも20in台が増えると予測する。10年は低価格なCCFL(冷陰極管)をバックライトに使用したモデルの販売が好調であった。11年は政府の意向もあり省電力のLED-TVの需要が大幅に伸びる。中国ローカルTVメーカーも自社グループで、LEDバックライトを製造出来る技術を備え始めている。
中国は非常に重要な生産拠点に成長して、ローカルメーカー、台湾を始めとするEMSメーカーや、日本、韓国メーカーも拠点を持っている。今後もEMSメーカーの採用が増加して中国での生産ウェイトは上がっていく見通しである。 -
■TVメーカーを中心とした提携関係
中国のLCD-TVメーカー向けパネルは、台湾CMI(奇美電子)製品が最も多く採用されている。同社は、中国Hisense(海信電器)やKonka(康佳)、Skyworth(創維)などと供給提携を結んで積極的にセル販売を続け技術・生産協力関係を強化していることもあり販売数量が多くなっている。
台湾のAUO(友達光電)は、中国での展開に遅れを取っているが、09年からChanghong(長虹電器)やHaier(海爾集団)、TCLグループなどと合弁でLCDパネル会社を設立して販売数量を伸ばしている。
韓国のLG Displayは、台湾LCD-TV受託生産企業Amtran(瑞軒)と合弁でOEM専業の「Raken Technology」を蘇州に設立。また、中国TVメーカーのSkyworth(創維)は、韓国LG Displayの広州G8.5液晶パネル工場の建設に10%の出資を行っている。日系メーカーのシャープやパナソニックは、中国TVメーカーや液晶パネルメーカーと提携を行なっていない。
11年から中国メーカーであるBOE(京東方科技集団)G8.5工場やChina Star(華星光電)G8.5工場、CEC Panda(中電熊猫信息産業集団)G6工場などの工場が稼働すると、中国TVメーカーの中国ローカルパネルの採用比率が高まると予測される。BOEは中国TVメーカーChanghong(長虹電器)に、China Starは総合家電メーカーTCLグループと、FVO(龍飛光電)が電子・通信機器メーカーKonka(康佳)とそれぞれ強固な関係を築くと想定される。
中小型向け液晶パネルは携帯電話やノートPC用が中心である。特にスマートフォンやタブレットPCへの利用が期待される。この分野ではLTPS(低温ポリシリコン)のTFTパネルのニーズが高いため、Tianmaは、13年の第2四半期に、LTPSのG5.5工場の建設を計画し、BOEもLTPSパネル製造計画を検討している。 -
■中国新設工場の動向
大型TFT前工程の工場は、中国ローカルメーカーのCEC Pandaは11年第2四半期に、BOEは11年第3四半期に、Century DisplayとTCLとの合弁会社であるChina Starは11年第4四半期からの量産を予定している。ローカル各社共に、早期の立ち上げに向けて準備を整えている。現在建設中の工場の他に、BOEは北京に2つ目のG8.5工場を、CEC Pandaは、シャープと技術提携したG10工場を南京に建設することを検討している。
新規ライン投資の中心はTV向けの大型TFTとなっているが、中小型向けのパネルではTianmaが13年第2四半期に、LTPSラインの新設を検討している。またBOEもLTPSラインの新設を検討している。
韓国メーカーでは、Samsung El、LG Displayがそれぞれ蘇州のG7.5工場と広州のG8.5工場の建設を計画している。広州のG8.5工場はLG Displayが70%、広州市が出資する広州凱得が20%、Skyworthが10%の出資比率となっている。
台湾メーカーでは、AUOが昆山にG8.5の建設を計画している。当初、台湾政府の許可を得て単独出資でG7.5工場の建設を行なう予定であったが中国政府の認可が下りず、その認可をとる為IVO(龍騰光電)と合弁工場を建設する事となった。正式許可を11年の3月に取得した為、稼動予定日は13年第2四半期以降と見られる。CMIもFoxconnとCenturyの工場として成都に中国TFT前工程のG8.5工場建設を行う計画であるが、まだ中国政府からの認可は下りておらず、このまま認可が下りない可能性が高い。
内容の詳細につきましては『2011 中国LCDメーカーの動向と実態調査』をご覧ください。
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- 富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)