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『2011 次世代自動車のキーマテリアル市場の将来展望』まとまる(2011/6/21発表 第11056号)
東日本大震災が与えた影響を検証しつつ次世代自動車の主要部材と自動車用注目材料49品目の世界市場を調査
- ■2020年予測
- ■リチウムイオン二次電池正極材:4,665億円 10年比194倍 15年以降新素材登場も
■モータコア:437億円 10年比8倍 20年にはジスプロシウムフリー磁石開発へ
■ヒートシンク:367億円 10年比16倍 HV/EVの発熱量対策で
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町2−5 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、今年3月から5月にかけて、次世代自動車の走行性能向上とコスト削減を目指す主要な部材/材料49品目を選定し世界の技術開発動向、現状における課題を調査した。その結果を報告書「2011 次世代自動車のキーマテリアル市場の将来展望」にまとめた。
調査対象の49品目は、次世代自動車用部品を構成する部材27品目と、自動車の注目材料で金属系6品目、レアメタル/レアアース2品目、樹脂10品目、その他4品目である。 ※次世代自動車:HV PHV EV FCV
08年以降、自動車メーカーは、環境負荷が少ない車両開発を強化する姿勢を鮮明に打ち出した。そしてガソリン消費量や環境負荷物質の排出量の低減に高い可能性を持つHV、EV、PHVを相次いで発表した。走行性能やコスト面に課題が多く普及はまだ限定的であるが、11年3月に発生した東日本大震災と福島第一原発の事故によって、従来のエネルギー生産/消費のあり方を見直す動きが加速されたことから、次世代自動車の環境性能向上と普及は喫緊の課題となっている。こうした課題に対処する上で、主要部材や材料の性能向上とコスト削減を図ることは必須条件となる。
- 1. 主要部材
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■リチウムイオン二次電池用部材(正極材 負極材 正極集電体 負極集電体 セパレータ 電解液・電解質)
11年見込 349億円(10年比698.0%) 20年予測 1兆2,705億円(10年比254倍)
正極材 20年予測 4,665億円(10年比194倍)
PHV/EVに必須のリチウムイオン二次電池用部材は、11年は前年の7倍、349億円まで市場が拡大し、その後も倍増を続け、15年4,266億円、20年には1兆2,700億円超の市場に成長すると予測する。
正極材として使われるマンガン酸リチウムでコスト低減や安全性向上が図られるようになったこと、大容量電力を必要とするEVの登場によりリチウムイオン二次電池市場が拡大し始め、HVでも徐々に搭載され始めており急拡大が期待される。充放電容量の拡大を図るためさらに新しい材料を開発する企業が相次いでおり、15年以降にはまったく新しい材料が登場する可能性が考えられる。
東日本大震災により、日立化成、古河電気工業などの部材製造、加えて樹脂・半導体などの工場が被災して車両生産が1ヶ月以上停止したため国内における自動車向けリチウムイオン二次電池市場は穏やかな拡大に留まる。長期的な市場拡大は間違いないが韓国を含む海外のメーカーが続々と参入しており海外市場が中心になると予測される。 -
■モータ用部材(巻線 モータコア レアアース磁石 レアーアースフリー磁石)
11年見込367億円(10年比130.6%) 20年予測2,203億円(10年比784.0%)
モータコア 20年予測 437億円(10年比766.7%)
HV/EVの開発において、駆動用モータ及び発電用モータの高性能化は重要な側面を持っている。モータ部材は東日本大震災による生産の大幅な遅れや調整は生じなかったが、車両の生産がストップしたことから当初の計画からやや減少する見込みである。
モータコアはモータの中核部材である固定子と回転子を指す。この部材の技術開発は小型・軽量・高効率を指向して進化しており、使用される電磁鋼板の薄板化やモータの構造改善技術を15年以降に導入することを目指している。
磁石用レアアースのネオジムは90%を中国から輸入するため、中国の供給戦略及び需給の逼迫により価格が高騰しているが、3年後には中国以外の鉱山が開山するため、価格は下落、安定すると見込まれる。ただネオジム磁石の高温下保磁性能を確保するジスプロシウムは中国にのみ偏在しており価格の上昇が止まらないと見られる。ジスプロシウムを削減しつつ保磁力効率を保つ研究が進められ、20年を目途にジスプロシウムフリーのネオジム磁石の大量生産が始まる見込みである。 -
■高圧電線用部材(外装材 導体 絶縁体)
11年見込91億円(10年比119.7%) 20年予測400億円(10年比526.3%)
導体 20年予測 387億円(10年比523.0%)
高圧電線自体の市場は10年には1万300キロメートル、475億円となった。HV向け需要が中心であり、1台当たりの使用量は10メートル前後である。小型化により電線長は短くなるが、EVの普及と大型HVの開発によって導体は太くなり、使用される高圧電線も長くなる。今後長さは増加するがアルミニウム導体を採用して軽量化を図る動きが進む。 -
■充電器用部材(給電用コネクタ インレット)
11年見込23億円(10年比383.3%) 20年予測409億円(10年比6,816.7%)
給電用コネクタ 20年予測 308億円(10年比62倍)
EV/PHVに充電を行うインフラ設備のうち、給電用コネクタはDC用と普通充電器と家庭コンセント向けのAC給電コネクタがあるが,10年は車両への付属品、普及に向けた設置が相次いでAC給電用コネクタの需要が世界で、25,000個程度となった。20年には600万個と予測する。ACコネクタはEV/PHVの普及に連動して普及することが明らかである。ただ筺体の軽量化のほか規格の統一による開発コストの低減が必要で、さらに操作性向上のためにケーブルの改善を図るメーカーが増加している。 -
■放熱/蓄熱部品・部材(ヒートシンク メタル基板 放熱塗料 放熱シート 排熱回収器)
11年見込82億円(10年比117.1%) 20年予測441億円(10年比630.0%)
ヒートシンク 20年予測 367億円(10年比16倍)
10年の世界市場は前年比20.7%増の70億円となった。放熱部品を多用するHVの増加が要因である。ヒートシンクはHVのPCU(パワーコントロールユニット)に標準装備されており、駆動用モータ、LEDヘッドライト、バッテリでも用いられる。メタル基板はLED照明やECU内の配線基板に、放熱シートは高熱を発する部品や高集積化された電装機器に利用される。排熱回収器は、HVで、エンジン排熱を回収してヒーターやエンジンの暖気熱源に利用する。HVはEV走行やアイドリングストップ機能が付与されるため運転中にエンジンが停止する時間が拡大した。したがってエンジンの暖気やエアコンからの温風用電気/燃料が増大するという新たな課題への対処が求められている。
EV/HVの性能向上とともに発熱量は増加の一途をたどっている。そのため放熱部品に対する要求が厳しさを増すが、需要増が確実なため参入各社は技術開発を進めながら自動車メーカーに提案を進めている。 - 2. 注目される自動車部材・材料市場
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■アルミニウム合金
11年見込3兆30億円(10年比110.1%) 20年予測4兆3,015億円(10年比157.7%)
鋼板に比べて比重が3分の1、リサイクル性にも優れ、軽量素材として採用が常に検討されている。日本の自動車メーカーは採用にやや慎重な立場を取っているが、HVでは、ハイブリッドシステムを搭載することで、車両重量が増加しており、コスト面や成型加工面を解決すれば理想的素材である。欧米では比較的加工しやすいボンネットや天井部材への採用が中・小型モデルでも普及しており、軽量化や乗り心地の向上を図るため需要は拡大しつつある。新興国でも需要が拡大すればさらに市場の伸びが期待できるのでこれらの国へ生産・加工技術の移転を進めていく必要がある。
内容の詳細につきましては『2011 次世代自動車のキーマテリアル市場の将来展望』をご覧ください。
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- 富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)