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『車載電装デバイス&コンポーネンツ Select 2012(下巻)』まとまる(2011/12/21発表 第11121号)

地球温暖化対策となる「環境」分野の自動車用電装システム・デバイスの世界市場調査結果

2015年予測
アイドリングストップシステム:2,050万台、2,544億円(2010年比5.5倍)…燃費向上を図り搭載が進む
HV/EVインバータ用電流センサ:1,160万個、95億円(2010年比3.2倍)
HV/EVバッテリ用電流センサ:368万個、49億円(2010年比3.5倍)…特に世界的なHV/EV需要の増加から拡大

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町2−5 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、進展するカーエレクトロニクス市場をシステムとデバイス視点でとらえた調査を今年6月から2回に分け行った。第1回は、特に運転者と同乗する人に関わる「情報」「快適」「安全」分野のシステムやデバイスの市場を調査・分析した。そして第2回目となる今回は、地球温暖化への対策として強く求められている「環境」分野のシステムやデバイスの市場を中心に調査・分析した。

 その結果を報告書「車載電装デバイス&コンポーネンツ Select 2012〈下巻:パワートレイン系制御デバイス&コンポーネンツ・半導体/回路部品編〉」にまとめた。この報告書には、「環境」分野のシステムやデバイスとして、パワートレイン系システム/デバイス15品目、HV(PHV含む)/EV/FCV系デバイス13品目の市場のほか、今年6月から調査してきた各種システムに搭載されるECUの構成デバイス(半導体や回路部品など)16品目の市場についての調査・分析結果を掲載した。

調査結果の概要
1. 環境分野の車載電装品の世界市場
 2010年2011年見込2015年予測2010年比
パワートレイン系2兆2,627億円2兆4,188億円3兆2,825億円145.1%
HV/EV/FCV系1,729億円2,252億円1兆960億円6.3倍
パワートレイン系(15品目)
 エンジンの性能を向上させ燃費を良くするシステム、環境性能及び燃費向上の頭脳となるECU、エンジン各部の重要な情報を収集するセンサを対象としている。
 システムでは、燃費向上に効果があるアイドリングストップシステムの市場が大幅に拡大すると予想される。また、コストとのバランスもあるが、エンジンなどを制御するECUにあらゆる情報を提供するセンサの搭載が増えている。
HV/EV/FCV系(13品目)
 HVやEV、FCVのみに搭載されるデバイスで、二次電池やモータ、車載充電器、燃料電池スタック、水素貯蔵タンクなどを対象としている。
 トヨタ自動車「プリウス」をはじめ、HVが燃費の良い車として一般に認知、定着してきた。参入各社はともにHVの投入を進めているため、搭載されるデバイスの市場は軒並み拡大すると予想される。また、EVやPHVも普及していくが、それに伴い大きく市場拡大するデバイスが車載充電器やリチウムイオン二次電池である。さらに、FCVも2014年頃から量産車が投入される模様である。FCVの主要構成デバイスである燃料電池スタックや水素貯蔵タンクは非常にコスト高であったが大幅にコストダウンが進んでおり、量産化が着実に前進している。
2. ECU構成デバイス市場(16品目)
2010年2011年見込2015年予測2010年比
6兆3,442億円6兆6,440億円8兆3,975億円132.4%
 ECUを構成する半導体や回路部品、ECUと接続するためのコネクタやワイヤーハーネスといった周辺デバイスを対象としている。
 ECUで制御するシステムの搭載が大幅に増加することからECU構成デバイス市場も拡大する。ただ、半導体に関してはECU1個に搭載される数を、カスタム製品の使用で複数を統合し減らす方向にある。新興国向け自動車へのECU搭載個数が大幅に増加しているため全体に影響を与えるほどではないが、特にエンジンECUに関してはカスタムICの採用が増加すると考えられる。
 自動車の環境性能はエンジンECUに依るところが大きく、そこに搭載される半導体が性能を左右する。そのためカスタムICを採用することでエンジンに応じた最適な制御の実現を目指している。一方で1個のICに色々なものを詰めたカスタム製品を使用することでノイズ対策などが必要となり、コンデンサなどの部品をたくさん実装しなければならなくなるため、逆に周辺部品は増加する傾向にある。
注目市場
1. アイドリングストップシステム【パワートレイン系システム/デバイス】
2010年2011年見込2015年予測2010年比
460億円661億円2,544億円5.5倍
 アイドリングストップシステムとは、信号待ちなどの停車時に自動でエンジンの停止/再始動を行うシステムで、燃費向上をもたらす。ここではHVなどが標準で備えるアイドリングストップシステムは除外している。
 市場は、各国でCO2排出量削減規制や低燃費車に対する優遇税制、奨励金付与が行われていることから搭載が進み、拡大している。燃費向上の本命は次世代自動車の開発であるが、アイドリングストップシステムの搭載はそれに比べ安価で簡単に燃費向上が図れることから、今後も搭載は増加すると予想される。排ガス規制の厳しい欧州の需要が市場を牽引しており、2015年まではその傾向が続くと見られる。
 アイドリングストップシステムは、搭載が比較的簡単なマニュアルトランスミッション車が中心であるが、現在はオートマチックトランスミッション車への搭載も進んでいる。
2. 電流センサ【パワートレイン系システム/デバイス】
 2010年2011年見込2015年予測2010年比
12Vバッテリ用電流センサ218億円223億円252億円115.6%
HV/EVインバータ用電流センサ30億円29億円95億円3.2倍
HV/EVバッテリ用電流センサ14億円14億円49億円3.5倍
 ここでは12Vバッテリ用電流センサとHV/EVのインバータ用電流センサ、バッテリ用電流センサを対象としている。12Vバッテリ用電流センサはバッテリの充放電電流を検出してECUに信号を送っている。HV/EVのバッテリ用電流センサはバッテリの電流量と向きを検出し充放電状態を監視する。HV/EVのインバータ用電流センサは駆動モータの三相交流の入出力電流値を検出する。
 2010年の市場は、環境対応車の買い替えや購入に対する補助金制度が各国で実施され、自動車の生産台数が増加したことから拡大した。2011年は世界各地で発生した自然災害や欧州の景気後退などの影響から前年に比べ自動車の生産台数とともに伸び悩むと見込まれる。
 2012年以降は特にHVの生産台数が大幅に拡大することから、市場はHV/EVの電流センサを中心に拡大すると予測される。
内容の詳細につきましては『車載電装デバイス&コンポーネンツ Select 2012(下巻)』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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