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『2012 ワールドワイドエレクトロニクス市場総調査』まとまる(2012/5/7発表 第12042号)

EMS生産に活路を求める日系企業など主要エレクトロニクス製品48品目の世界市場動向を調査

EMS生産とEMS活用率
ノートPC:11年1億8,890万台、全体の87.9%、12年は1億9,840万台、同88.3%
タブレットPC:11年6,490万台、全体の89.0%、12年は9,260万台、同84.5%
LCD-TV:11年6,910万台、全体の31.8%、12年は7,670万台、同33.6%

 総合マーケティングビジネスの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町2−5 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、2012年1月から3月にかけて、主要48品目のエレクトロニクス機器・部品の世界市場における日系メーカー、外資系/ローカルメーカーの国別生産実績、市場動向、将来性などを調査した。また新たに世界の主要EMS、ブランドメーカーの生産/開発、提携関係の調査を加えた。
 その結果を調査報告書「2012 ワールドワイドエレクトロニクス市場総調査」にまとめた。

 リーマンショックから回復に向かっていた世界のエレクトロニクス製品市場は、11年の第2四半期から再び減速している。東日本大震災、タイの洪水災害、新興地域の需要鈍化、そして欧州の金融不安による欧米の景気後退が影響している。従来の主力製品であったLCD-TVやノートPCは失速し、スマートフォンやタブレットPCが他のモバイル機器から代替需要を取り込んで急増している。
 大手メーカーは収益を重視してEMS生産を加速し、一方では事業譲渡や提携見直し、製品戦略の方向転換など「選択と集中」を進めている。

調査のまとめ
対象エレクトロニクス製品48品目の世界生産(12年は見込み、17年は予測)(単位:万台 %)
 2011年10年比2012年11年比2017年11年比
AV機器83,83293.682,27798.184,916101.3
家電製品60,800106.663,459104.476,616126.0
情報通信機器234,978107.4248,629105.8293,005124.7
セット製品計379,610103.9394,365103.9454,537119.7
ユニット製品/部品7,210,281113.18,168,425113.311,100,842154.0
 11年は対象48品目のうち、セット製品(33品目)の合計数量は10年の36億5,370万台から37億9,610万台と前年比3.9%増となった。分野別には、家電製品が6.6%、情報通信機器が7.4%伸びたが、AV機器はCRT-TVやコンパクトDSC、DVD/BDプレーヤの減少により前年比6.4%減となった。家電はルームエアコン、情報通信機器はスマートフォンとタブレットPCが高成長を見せた。
 ユニット製品/部品(13品目)は、高成長の静電容量式タッチパネル、有機EL、リチウムイオン二次電池などのスマートフォンやタブレットPC向け需要が牽引した。
 11年のセット製品の地域別生産ウェイトは、中国が65.4%と最大の生産地域になっている。アジア(中国を除く)20.7%、中南米5%、欧州4.6%と続く。輸送費が掛かる大型製品は、現地生産が多いものの、ほぼ全ての製品が中国生産をメインとしている。中国では沿海部の人件費の上昇と労働力不足の対策から、内陸部の重慶などへ設備投資が続いている。また、ベトナム、ブラジルなどに生産拠点を拡大する動きも見られる。ユニット製品/部品では白色LED、中小型TFT(薄膜トランジスタ)、リチウムイオン二次電池で韓国、台湾メーカーのシェアが拡大しつつある。
 12年はスマートフォンやタブレットPCの増加で使用点数の多い白色LEDが増加し、ユニット製品/部品は二桁成長と見込む。一方、景気後退の影響を受けAV機器は前年比マイナス、家電も成長率の鈍化を見込む。
(1) AV機器(LCD-TV、デジタル一眼レフカメラ、DVD/BD機器など13品目)
 TVはLCD-TVに集約している。LCD-TVは11年までは高成長を続けたが、CRT-TVの代替需要が飽和して、先進国および中国の拡大幅が小さくなっており、今後の成長率は5%前後と予測する。デジタル一眼レフカメラは、小型化したミラーレス一眼カメラがコンパクトDSCの買い替えが伸びて好調である。映像や音楽は世界的にダウンロードやストリーミングが主流を占めるようになり、DVD/BDプレー及びレコーダの需要は縮小すると予測する。また、カーナビの需要が少ない北米ではディスプレイ付きカーオーディオが高成長すると予測する。
(2) 家電製品(ルームエアコン、電子レンジ、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、電気炊飯器の6品目)
 これまで欧米の需要が牽引してきたが、中国や新興国の都市化により、その需要が拡大している。特にルームエアコンは11年15%増と高い伸びを示した。市場拡大の背景には中国の家電下郷政策があったが、一部で家電下郷が終了しており、中国の成長鈍化を南米やアフリカ、東南アジアがカバーして拡大すると予測する。中国ではルームエアコンや冷蔵庫が普及して今後は調理家電の成長が期待されており、電子レンジの拡大を予測する。日本では不況や東日本大震災の影響で自炊回帰の傾向が強まって電子レンジの大幅な需要増となった。
 洗濯機は東南アジアや南米で普及期に入りインドネシアを中心に需要が期待出来る。掃除機は、住環境の変化による市場拡大が期待され、高層住宅に居住するに伴い普及率が上昇すると予想する。
(3) 情報通信機器(ノートPC、タブレットPC、スマートフォンなど14品目)
 ノートPCとタブレットPCが増加する。ノートPCは先進国での普及と共に10年まで急激に成長したが、11年は欧米の不景気から成長が大幅に減少した。タブレットPCはAppleのiPadの爆発的なヒットにより急拡大している。欧米で需要の65%程度を占めている。また中国では200$クラスの安価な山寨タブレットPC(中国製模造品)の需要が拡大している。
 タブレットPCと競合する電子書籍端末は軽量や長寿命バッテリーを背景に読書家に拡大してはいるものの、タブレットPCほど成長していない。一方、スマートフォンが全世界で普及し、今後は買い換えでローエンドスマートフォンの高成長が続くと予測する。
(4) ユニット製品/部品(有機EL、HDD、白色LEDなど13品目)
 表示デバイスとしては有機ELの成長率が高い。有機ELはSAMSUNG ELがスマートフォンのメインディスプレイとして多く搭載している他、大手端末メーカーがハイエンド機に搭載している。12年からタブレットPCにも搭載される見通しで、市場の拡大が加速すると予測する。
 HDDは10年までPCの急拡大に連動して高成長し、11年は不況によるPC市場の停滞と、タイの洪水の影響が出て縮小した。中期的にはノートPC需要の拡大と共に安定して成長していくが、SSD搭載モデルが増加する為、長期的には横ばいから微増になると予測する。白色LEDはTVやPCディスプレイの光源として高成長してきたが、TVやPCモニタ、ノートPC1台当たりへの搭載点数が減少している。今後はLED照明が期待されており、LEDの搭載数量の多いLED蛍光灯で特に高い成長を予測する。リチウムイオン二次電池は携帯電話やノートPCなどモバイル機器と共に拡大している。PC向けではタブレットPC向けが急拡大し、通常のノートPCと同じ本数を使用するインテルのUltrabook(小型軽量ノートPC)も増加するなど今後も堅調に拡大すると予測する。
主要製品の生産委託状況と計画
1. LCD-TV
11年2億1,725万台(内EMS6,910万台)12年見込み2億2,800万台(同7,670万台)

 11年は、日系企業を中心にEMSメーカーの採用が大幅に増加し、全体2億1,725万台の31.8%の6,910万台がEMS生産された。12年は日系、欧州メーカーを中心にEMS採用比率がさらに上昇し全生産の33.6%にまで上昇する見込みである。11年、EMS最大手のTPV(冠捷・台湾)は複数メーカーの生産を受注し1,380万台となった。TPVに次ぐFOXCONN(鴻海・台湾)はソニー向けを増加させ890万台、その他には、VESTEL(トルコ)、WISTRON(緯創・台湾)、COMPAL(仁宝・台湾)、AmTRAN(瑞軒・台湾)と台湾メーカーが上位を占めている。一方ディスプレイパネルを生産しているシャープ、パナソニック、LG El、Samsung Elは自社生産比率が高い。中国メーカーもほとんど自社生産である。
 12年見込みでは、TPVは11年にPHILIPSとTV事業の合弁会社を設立し、またパナソニックなどから新規受注を増やし、1,600万台に生産を伸ばす。FOXCONNはソニーやシャープ向けの生産を伸ばし1,250万台の生産が見込まれる。COMPAL、VESTELはパナソニック、シャープから新規受注し生産を伸ばすと見られる。
内容の詳細につきましては『2012 ワールドワイドエレクトロニクス市場総調査』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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