プレスリリースPress Releases
『2012 ワールドワイド自動車部品マーケティング便覧』まとまる(2012/10/5発表 第12092号)
20年に新興国巨大市場およびエコカーの成長を予想…世界の自動車用主要部品49品目の市場を調査
- ■2020年世界市場予測
- ■自動車主要部品49品目:58兆 2,997億円(11年比143.1%)ランプ、駆動、足回りが牽引
■次世代自動車部品10品目:2兆9,819億円(11年比739.4%)HV、EV部品の市場拡大へ
■モータ(駆動・発電):6,927億円(11年比710.5%)HV、EVメーカー内製で拡大
■アイドリングストップシステム:6,287億円(11年比791.8%)12年以降欧州・新興国で拡大
■車載カメラモジュール:1,356億円(11年比306.8%)欧米規制でカメラ需要拡大
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町2−5 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、12年6月から8月にかけて、次世代自動車部品10品目を含む主要自動車部品49品目を対象に、その世界市場規模推移、メーカーシェア、価格動向、自動車メーカーへの供給マトリクス、部品メーカーの生産及び供給体制などについて調査・分析した。
その結果を報告書「2012 ワールドワイド自動車部品マーケティング便覧」にまとめた。
- ■調査結果の概要
-
1. 世界の自動車市場 20年生産予測:1億1,600万台超
11年の東日本大震災、タイ大洪水は、自動車業界に影響を与えたが、北米自動車産業の復権や中国を含む新興国の自動車需要が拡大して、世界の自動車生産は、8,000万台超、前年に比べ3.2%増加した。特に中国の生産台数が1,840万台強と世界の自動車市場を牽引した。
自動車業界では、以前から現地開発、現地生産、部品・素材の現地調達を軸とした世界戦略の検討を重ね、中国やアセアン地域への生産拠点の移管を進めてきたが、部品・素材の最適調達を想定した自動車メーカー、部品サプライヤによる現地企業との提携・合併の促進が重要な事業戦略となって来た。
また自動車メーカー、部品サプライヤは、災害時に部品・素材の調達システムが機能を失った経験から、調達リスクの対応は拠点、地域毎にバックアップシステムを構築することが重要とされ、既存のサプライチェーンの分散化、再構築が迫られている。ただ各メーカーともその調達コントロールはメーカー直結協力会社、2次協力会社までで、それ以降の把握は困難とコメントしている。
現在、ユーザーの地球環境意識を反映して、世界の主要自動車メーカーは12年から15年の間にHV/PHV/EVなどエコカー(環境対応車)を積極的に市場投入する計画であり、その生産が急速に拡大すると予想される。
一方、新興国では、自動車の普及が優先されコスト重視で開発が進む為、小型エンジンの採用やターボ搭載など車両の価格上昇を抑えつつ燃費の向上が図れるシステムが採用される。HV/PHVの需要は一部地域に限定され、EVは殆ど伸びないと予想される。 -
2. 世界主要自動車部品49品目市場
12年見込 11年比 20年予測 11年比 エンジンルーム:9品目 2兆7,731億円 105.7% 3兆2,413億円 123.5% 駆動・足回り:7品目 6兆5,079億円 107.8% 9兆774億円 150.3% 吸・排気系:5品目 1兆4,147億円 107.9% 1兆8,856億円 143.8% 内装:4品目 6兆2,366億円 107.7% 7兆7,487億円 133.9% 電装部品:6品目 6兆5,801億円 107.7% 8兆9,654億円 146.7% ランプ・外装:8品目 19兆6,173億円 106.3% 24兆3,994億円 132.2% 次世代自動車部品:10品目 6,239億円 154.7% 2兆9,819億円 739.4% 合計:49品目 43兆7,535億円 107.4% 58兆2,997億円 143.1%
20年にかけて世界の自動車生産は、新興国の底堅い需要や北米の景況回復にも支えられ、11年比1.4倍、1億1,600万台に達すると予測する。自動車部品市場も併走して大きく拡大を続ける。
主に新興国向け低価格車への搭載を考慮し、各部品とも自動車メーカーから強いコスト低減の要望が出ている。自動車部品メーカーも生産拠点の再編、構成部材の現地調達や共同購買に向けた取り組みを強化して、為替変動、関税、人件費の高騰などのリスクを回避し、単価低減に努めている。その一方、吸・排気や駆動・足回り、電装品などの部品は高単価、高機能な製品の開発と普及にも注力しており、20年の市場予測は金額ベースで11年比44%から50%増加する。
特にHV、EV向けのリチウムイオンバッテリー、高圧ハーネスなど次世代自動車部品の伸長が全体を後押しする。20年の次世代自動車部品市場は、11年比で7.4倍と大幅に拡大すると予測する。
20年の日本の自動車部品市場予測は、11年比10.6%増、6兆7,154億円である。11年は大震災と福島原発事故による電力需給逼迫が自動車産業に甚大な被害をもたらした。しかし企業の垣根を越えたサプライヤの支援や、計画停電の回避などの対応が効を奏し被害を最小限に留めることが出来た。
11年、国内の自動車生産台数は、前年比13%減の840万台となった(20年生産予測:948万台)。12年はエコカー減税や補助金が追い風となり、984万台と10年を大幅に上回る見込みである。しかし13年以降、国内需要は弱含みと予測される一方で、北米や新興国の需要が旺盛になることから、今後各メーカーとも海外生産へ移行を加速する。自動車メーカー及びサプライヤが生産拠点を海外移転するに伴い、国内は空洞化が問題となるが、エンジンルームや駆動・足回り、電装部品、次世代部品など日本のサプライヤが技術的に優位で、高付加価値な部品を国内で生産することで空洞化を阻止出来ると考える。特に次世代部品の要となるモータ(駆動・発電)、リチウムイオンバッテリーは国内製品を主体に部品市場を牽引していくと予測する。 -
3. 注目される部品
■モータ(駆動・発電)
世界12年見込 1,436億円(11年比147.3%)20年予測 6,927億円(11年比710.5%)
日本12年見込 1,024億円(11年比127.0%)20年予測 2,335億円(11年比289.7%)
HV、PHV、EVに使用される駆動用モータ、発電用モータを対象とした。 要の構成部材はネオジム、ジスプロジウムなどレアアースの永久磁石である。低速域で最大トルク到達への時間短縮、中高速域では柔軟な駆動力が求められ、かつ小型化、低コスト化が必要とされる。価格高騰によりレアアースを削減すると回転トルクが落ち、モータの大型化が必要となる。構造が複雑で小型化が求められるHVではレアアースモータの採用は欠かせない。
11年の世界市場は前年比3%増の975億円であった。トヨタ自動車の生産量の伸び悩み及び1モータ式の車種の販売台数の低調による影響が大きかった。国内市場も前年比2%減の806億円とトヨタ自動車の生産の伸び悩みで減少となった。今後国内自動車メーカーは国内生産中心から現地生産の比率が拡大するため、世界市場における国内市場の比率は減少していく。
ネオジム価格の高騰により、金額市場は数量市場以上の成長率を見せた。今後はHV、EVの生産拡大に応じ伸長していく。ストロングHV、PHVはトヨタ自動車を中心として2モータ式採用が続くと見られる。1モータ式はマイルドHV及び、小型車が中心となるEVへの採用が中心となると推定される。日系自動車メーカーはモータの内製比率が高く、HV、EVの製造拠点でモータも製造する。独立系部品メーカーは自国内で製造し、海外自動車メーカー拠点へ供給しているが、HV、EVの生産拡大により、海外生産拠点の稼働開始に向けて動いている。アイシン・エィ・ダブリュがモータ製造からシステム組み上げまで行うケースもあり、トヨタ自動車グループ内でのアウトソーシングを進めると推定される。
Remy、ZFなど海外モータメーカーは基本的に自国内で製造し、同じ地域の自動車の生産拠点へ供給している。
内容の詳細につきましては『2012 ワールドワイド自動車部品マーケティング便覧』をご覧ください。
- ■報道関係のお問い合わせは
- 富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)