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『2014 クラウドコンピューティングの現状と将来展望』まとまる(2014/5/19発表 第14033号)

クラウドコンピューティングサービスの国内市場を調査

2018年度予測(2013年度比)
クラウドコンピューティングサービス全体 1兆8,740億円(60.3%増)
  • パブリッククラウドコンピューティング:7,181億円(2.1倍)
     PaaS/IaaS(オートセルフ型)やSaaS(汎用型・特定型)がけん引
  • プライベートクラウド:8,359億円(52.6%増)
     オンプレミス型とホスティング型が共に拡大

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、2013年度も大幅な成長をみせたクラウドコンピューティングサービスについて、その市場動向と参入ベンダーの企業戦略を調査し、今後の方向性を明らかにした。その結果を「2014 クラウドコンピューティングの現状と将来展望」にまとめた。
 この資料では、パブリッククラウドコンピューティング、共同利用サービス、プライベートクラウド、クラウドインテグレーションの市場を整理し、加えてクラウドコンピューティングサービスベンダー29社の動向とWebアンケートを利用したユーザー調査795サンプルにより、クラウドコンピューティングサービスの現状を分析し、今後を予測した。
2013年度の数値は2014年2月までの実績をベースに、2014年3月の見込数値を加えて実績とした。

調査結果の概要
クラウドコンピューティングサービスの国内市場
2013年度2018年度予測2013年度比
1兆1,693億円1兆8,740億円160.3%
 クラウドコンピューティングサービスは、パブリッククラウドコンピューティング(PaaS/IaaS、DaaS、SaaS)、共同利用サービス、プライベートクラウド(オンプレミス型、ホスティング型)の3つに分類される。2013年度の市場は、前年度比14.0%増の1兆1,693億円となった。それぞれが順調に拡大するとみられ、2018年度は、2013年度比60.3%増の1兆8,740億円が予測される。
 パブリッククラウドコンピューティングにおいては、外資系ベンダーが中心に展開するPaaS/IaaS(オートセルフ型)が、標準化されたサービスを低価格で利用できるのに加え、ユーザー側で自由にITリソースをスケールアウトできる利点を活かして市場を急拡大させている。一方、国内ベンダーが強いPaaS/IaaS(オーダーメイド型)は、基幹系システムなどでユーザー個別の仕様に対応するニーズを獲得しており、今後はオートセルフ型とのハイブリッドクラウドの成長も期待される。また、ネットワーク経由でユーザーが必要とするアプリケーションソフトを提供するサービスであるSaaSは、PaaS/IaaSの付加価値サービスとして展開されるケースが増加している。DaaSはIaaS上の付加価値サービスの位置付けで需要が拡大している。
 共同利用サービスは、一つのシステムを、同じような業務システムを構築・利用する複数の企業、団体で利用するサービスである。ITコストの削減を主な目的として、金融機関や自治体、医療機関などで採用が増加している。
 プライベートクラウドは、仮想化・クラウド環境ソリューション、シンクライアント環境構築を提供するサービスで、ユーザーのIT設備を利用するオンプレミス型と、ベンダーが提供するIT設備を利用するホスティング型がある。今後は、ITコストの削減だけではなく、ITガバナンスの強化やBCP対策の一環として、需要は大幅に拡大するとみられる。
注目市場
パブリッククラウドコンピューティングの国内市場
 2013年度2018年度予測2013年度比
パブリッククラウドコンピューティング3,452億円7,181億円2.1倍
PaaS/IaaS(オートセルフ型)495億円1,400億円2.8倍
SaaS(汎用型・特定型)2,412億円4,806億円199.3%
PaaS/IaaS(オートセルフ型)、SaaSは全体の内数。
 パブリッククラウドコンピューティングは、PaaS/IaaS(オートセルフ型)、PaaS/IaaS(オーダーメイド型)、DaaS、SaaS(汎用型・特定型)を対象とした。これまで、Web系システム、ソーシャルメディア系(コンテンツ配信、オンラインゲーム、SNSなど)システムでの利用が多かったが、企業の基幹系システムやその補完的な位置付けとしての利用も進んでいる。各サービスが伸長し、2013年度の市場は前年度比28.8%増の3,452億円となった。
 PaaS/IaaS(オートセルフ型)は、スケールアウトの柔軟さや、初期導入費用が無料など利用開始時の低コストを利点に、2008年頃からソーシャルゲーム向けを中心に市場が急拡大した。現在は、ソーシャルゲーム向けが成熟しつつある一方、ITプラットフォームのコモディティ化を要因に企業向けが成長している。ITリソースの提供だけでは差別化が困難なため、ベンダー側ではグローバル対応、ビッグデータ対応、DaaS対応、スマートデバイス対応などの付加価値サービスでの差別化を進めている。また、アマゾンデータサービスジャパンのAWS(アマゾン ウェブ サービス)が急成長しており、自社PaaS/IaaSを保有するベンダーもAWSとの連携を強化するなど影響力を強めている。
 SaaS(汎用型・特定型)の2013年度の市場は、前年度比22.9%増の2,412億円となった。汎用型が約80%を占め、メール、グループウェアなど情報系システム向けの成長が目立つ。ERPや財務会計などの基幹系システムは、依然としてオンプレミスでの開発やパッケージ利用が多いものの、今後は中堅/中小規模ユーザーの新規需要、大規模ユーザーのリプレース/追加導入需要の増加が期待される。業種に特化した特定型は、医療、公共システム向けで利用が増加しており、今後はコモディティ化が進む製造、流通などのシステムにおいても採用が増えるとみられる。2018年度には特定型がSaaS市場の約25%を占めると予測される。
共同利用サービスの国内市場
 2013年度2018年度予測2013年度比
共同利用サービス2,762億円3,200億円115.9%
地方銀行向け1,344億円1,625億円120.9%
地方銀行向けは全体の内数。
 共同利用サービスの利用は、地方銀行、証券会社などの金融機関が全体の90%以上を占める他、官公庁や自治体、医療機関などを主要ユーザーとして、市場を拡大している。
 金融機関では、システム開発・運用の集約化によるコスト削減などを目的に、共同利用サービスの採用が増加している。特に、地方銀行は経営の効率化を図る動きを強めており、今後も需要が増加するとみられる。
 官公庁や自治体向けはまだ市場規模は小さいものの、総務省が中心となり、情報システムのコスト削減と公共サービスの充実化のため自治体クラウドの利用を推進しており、今後の本格的な普及が期待される。また、医療や教育向けでも東日本大震災以降、BCP/DRに対する意識が高まっており、共同利用サービスが注目されている。
内容の詳細につきましては『2014 クラウドコンピューティングの現状と将来展望』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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