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『2014 次世代カーテクノロジーの本命予測』まとまる(2014/7/31発表 第14051号)
次世代カーテクノロジーの市場動向を調査
- ■2030年の世界市場予測
- ■協調型運転支援技術(車車間通信型):搭載車両の販売は5,486万台〜NAFTAでの搭載義務化で拡大
- ■スマートモビリティ(一人乗り電動パーソナルモビリティ):280万台〜公道利用の法整備に期待
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、自動車における次世代の有望技術の動向を調査し、その結果を「2014 次世代カーテクノロジーの本命予測」にまとめた。
自動車に関する革新的な技術や、民生用などで採用が進む技術の自動車への応用製品が開発されているが、技術が複雑になっていたり、高価格のデバイスや材料を使用する必要があったり、安全を重視する自動車に搭載するには信頼性に欠けていたりと、いくつかの課題が要因となり採用が進まないことが少なくない。とは言え、従来は搭載が限定されてきた技術が、構成部品の見直しや機能の絞り込みなどにより、普及を阻害していた課題点をクリアすることで、一気に本命技術として搭載が進む場合もあり、自動車を取り巻く技術動向はさまざまな要素を含んでいる。
この報告書では、自動車において点在する有望技術がどのような課題に直面しているのか、競合する技術との相違点は何か、それらの技術が共存して発展していくのかなどを整理し、2020年代の技術動向を明らかにするため、環境技術10品目、安全技術13品目、コックピット技術12品目、通信技術7品目、その他12品目を対象とし、市場の現状を分析し今後を予測した。
- ■注目市場
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■協調型運転支援技術
2013年 2030年予測 2013年比 路車間通信型 232万台 5,381万台 23.2倍 車車間通信型 − 5,486万台 − -
協調型運転支援技術は、路側に設置された情報機器やセンサーと車両の路車間、もしくは車両同士の車車間で通信することにより情報提供を行い、ドライバーの注意喚起や制御支援につなげ、事故防止を実現する技術である。通信方式については、日本では5.8GHz帯や700MHz帯、その他の地域では5.9GHz帯が採用されるとみられる。
路車間通信型は、路側に設置された情報機器やセンサーが、周辺情報を車両側に提供して、走行の安全を実現する。日本では、2013年以前から安全運転支援システム(DSSS)やITSスポットにおいて、安全支援を目的とした前方への注意喚起を路側から車両へ行っている。2013年は、対応機器が搭載された車両の販売は232万台となった。
2030年の搭載車両の販売は2013年比23.2倍の5,381万台が予測される。日本では、政府が発表したロードマップにより、2017年を目標に協調型安全運転支援装置の普及が進み、2030年には8割弱の新車搭載率が予測される。EU、NAFTAでは、2018年以降の本格的な市場の立ち上がりが期待される。EU、NAFTAでは、インフラが不十分でも先に搭載車種が拡大するとみられ、2030年に新車搭載率は8割を超えると予測される。また、新興国では、交通インフラの拡充や渋滞の解消などから高速道路の敷設やETCの導入が進んでおり、インフラの整備に伴い路車間通信の需要が増加するとみられる。
車車間通信型は、車両同士が車両情報を相互に送受信して、事故防止を実現する。2013年時点では、日本、EU、NAFTAの各国で実証実験が行われている段階である。
EUやNAFTAでは、2016年以降に実用化が始まり、2018年以降に量産型の対応車が投入されるとみられる。日本でも、政府が発表したロードマップに従い、2017年から本格的な市場の拡大が期待される。2020年以降、相手車両の状態把握および注意喚起を行う車車間通信の需要は高まるとみられ、2030年の搭載車両の販売は5,486万台が予測される。特にNAFTAでは搭載が義務化される可能性が高く、2030年の搭載率は9割を超えると予測される。 -
■ハンズフリー操作技術
2013年 2030年予測 2013年比 視線入力 10万台 1,020万台 102.0倍 音声認識 760万台 2,590万台 3.4倍 -
ハンズフリー操作技術は、視線入力と音声認識を対象とした。
視線入力は、赤外線LEDとカメラの組み合わせで黒目の動きを検知し、カーナビなどの入力作業を行う視線入力モジュールに加え、眼球運動やまぶたの動きなどをモニタリングし、ドライバーの状態を測定する居眠り防止機能を対象とした。居眠り防止機能は一部車種で搭載されており、2013年の搭載車両の販売は10万台となった。視線入力については、検知精度の問題や通常時と検知時の切り替え、誤動作時のリカバリーなど、入力装置としての課題があるため、まだ普及には至っていない。
2020年代に入ると、視線検知モジュールの搭載率が上昇し、入力装置としての利用も始まるとみられるため、2030年の搭載車両の販売は1,020万台が予測される。日本では、居眠り防止機能の搭載が拡大し、搭載比率は3割を超えるとみられる。
音声認識は、ドライバーの発話をピラーやステアリングなどに搭載されたマイクで受け取り、任意のアプリケーションを操作するインターフェースを対象とした。すでにカーナビ向けで広く普及しており、2013年の搭載車両の販売は760万台となった。
IVIシステム、カーナビの普及とともに搭載車両の増加が期待される。2015年以降、NLU(自然言語理解)に対応したカーナビが徐々に投入されるとみられ、さらに搭載率が上昇すると想定される。2020年代には、特に日本、NAFTA、EUで組み込み型やネットワーク型の音声認識の搭載率が上昇するとみられ、2030年の搭載車両の販売は2,590万台が予測される。今後は、スマートフォンを用いたナビゲーションサービスとの競合が想定され、低コスト化も必要となる。
内容の詳細につきましては『2014 次世代カーテクノロジーの本命予測』をご覧ください。
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