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『2015 自動車通信ネットワーク関連市場総調査』まとまる(2015/1/16発表 第15003号)
通信を実現するためのインフラ・デバイス、情報表示機器など自動車通信ネットワーク関連の市場を調査
- ■2020年世界市場予測(13年比)
- ■項目通信モジュール(2G/3G/4G/5G):2,694億円(4.2倍)
- 緊急通報サービスの対応が進む欧州で需要が増加
- ■項目自動料金収受システムインフラ:1,084億円(2.0倍)
- 安価な赤外線通信方式から高度なDSRC方式への移行で市場が拡大
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は自動車に関する無線通信規格、インフラ、サービスなどについて国内および世界市場を調査した。その結果を報告書「2015 自動車通信ネットワーク関連市場総調査」にまとめた。
この報告書では、情報表示機器4品目、インフラ5品目、通信デバイス9品目、サービス13品目を対象とし、自動車に搭載される通信機能、通信を実現するためのインフラ・デバイス、集約したデータを活用するサービスの三つの側面から、自動車通信の将来性、各種サービスの立ち上がり時期や潜在市場をまとめた。
- ■注目市場
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■通信モジュール(2G/3G/4G/5G)(世界市場)
2014年見込 2013年比 2020年予測 2013年比 781億円 122.0% 2,694億円 4.2倍 -
IVIシステムやカーナビ、自動車の内部に搭載され、移動体通信網を利用した通信機能を付与するモジュールを対象とした。
市場は2014年に781億円が見込まれる。通信モジュールは、長らく高級車へのプレミアムサービスなど限定的なテレマティクスサービスを実現するために搭載され、自動車メーカーが主に渋滞情報の配信や安心・安全走行のサポートなどに主眼を置いて、トヨタ自動車では「G-BOOK」、日産自動車では「CARWINGS」、本田技研工業では「インターナビ」、Ford Motorでは「Sync」といった独自のサービスを提供してきた。
今後の普及拡大の契機になるのは、2015年頃からのロシアの緊急通報システム「ERA-GLONASS」の搭載義務化や欧州における新車への「eCall」の必須装着などである。なお、高いもので3万円を超える車載器と月額の利用料負担が普及の阻害要因となっているが、これらの課題の解決も普及を促進させるとみられる。 -
■自動料金収受システムインフラ(世界市場)
2014年見込 2013年比 2020年予測 2013年比 世界 1,023億円 192.3% 1,084億円 2.0倍 国内※ 561億円 5.5倍 506億円 5.0倍
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ETCなどの自動料金収受システムによるサービスやETC2.0サービス(旧ITSスポットサービス)を実現するためのインフラ(路側装置)で、DSRC(Dedicated Short Range Communications)方式、赤外線通信方式、ANPR(Automatic Number Plate Recognition)、位置測位技術による自律方式のシステムを対象とした。
国内市場は、DSRC方式のETCが中心で2014年に561億円が見込まれる。ETCは2001年から一般利用が開始され、ETC割引などの政策的な後押しもあり、車載器搭載率も急速に高まった。現在ではETCインフラ、車載器とも普及はかなり進んだ状況にある。
現状では、ETCインフラはリプレースが中心である。更新は10年弱となっており、2011年頃に大規模なリプレースがあったため、今後しばらくはまとまったリプレースがないとみられる。新規需要としてはスマートインターチェンジ、マンションなどの入退出やスマートパーキングなどの民間需要があるが、急速な増加は期待できず、マンション向けで徐々に増加する程度にとどまるとみられる。
一方、ETC2.0サービスを実現するITSスポットは、2011年に高速道路に敷設されはじめ、車載器の普及率は低いが、2014年には一般道へも敷設が始まっている。ITSスポットの増加と車載器の低価格化によって徐々に普及していくが、ETCのような急速な広がりはみられないと予想される。
世界市場は2014年に1,023億円が見込まれる。海外は赤外線通信方式やANPR方式などDSRC方式以外の自動料金収受システムも採用されている。新興国ではコストダウンのために、安価な赤外線通信方式などが採用される傾向にある。自動料金収受システムがまだ導入されていない地域もあり、これから需要拡大が期待できる。
北米は、DSRC方式やカメラによりナンバーを読み取るANPR方式が多い。欧州では今後移動体通信を利用した自律方式のシステムの導入が進むとみられ、補助的にDSRC方式の路側装置も必要になることから増加するとみられる。また、欧州では史跡地域への進入を抑える目的や、重量課金目的、都市部での混雑防止などの目的による導入が市場をけん引する一因になるとみられる。
現在、安価な赤外線通信方式などによる簡易なシステムを導入している地域でも、高度なシステムへ移行していく傾向がみられるため、今後はDSRC方式の導入が緩やかながら世界的に進むと予想される。 -
■EV充電スタンド管理システムサービス(国内市場)
2014年見込 2013年比 2020年予測 2013年比 5億円 2.5倍 16億円 8.0倍 -
EV・PHV向けの充電スタンドと管理者、充電スタンドユーザーのEV・PHVをネットワークでつないだサービスを対象とし、市場は充電スタンド管理者がシステムベンダーに支払う利用料とした。管理者はスタンドの利用状況、サービス提供時間、監視・防犯サービス、スタンドの予約管理などができる。このサービスに登録するEV・PHVには、近隣の充電スタンド情報、料金、満空情報などが提供される。
市場は2014年に5億円が見込まれる。EV・PHVなどの普及に伴い通信機能対応スタンドが増加しており、市場は拡大が続くと予想される。
これまでは補助金による普及施策によって充電スタンドの設置が進んだが、今後は補助金に頼らない普及が求められる。そのために、単に充電させるだけでなく、効率よく集客でき、管理者にとってメリットのある充電スタンドにする必要性が高まるとみられる。例えば、カーシェアリング対応や充電スタンドを情報発信ポイントにするなど、充電スタンドの高付加価値化が検討されている。
また、各ベンダー間で独立している管理サービスの相互接続も重要であり、ユーザーが利用しやすいシステムを業界全体で構築していく必要がある。
内容の詳細につきましては『2015 自動車通信ネットワーク関連市場総調査』をご覧ください。
- ■報道関係のお問い合わせは
- 富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)