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『2015 センサーデバイス/ビッグデータ・IOT市場調査総覧(下巻)』まとまる(2016/1/22発表 第16006号)
センシングデータの高度な活用が可能となることで急拡大が期待されるビッグデータ/IoTソリューションの国内市場を調査
- ■2019年度予測(2014年度比)
- ■ビッグデータ/IoTソリューション市場 6,400億円(3.0倍)
内IoT市場が3,700億円(10.3倍) モノだけでなく人のセンシングが加わり、急拡大
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、堅調な拡大を続けるIT分野の中でも成長著しい市場であるビッグデータ/IoTソリューション市場を調査し、結果を報告書「2015 センサーデバイス/ビッグデータ・IOT市場調査総覧(下巻)」にまとめた。
この報告書ではビッグデータ/IoTソリューション市場分析のほか、ソリューションに活用されるソフトウェアやインフラ基盤などの製品/サービス8品目、ソリューション事例10件、参入する企業31社の企業事例についても合わせて分析した。なお、IoTに欠かせないセンサーの市場については「2015 センサーデバイス/ビッグデータ・IOT市場調査総覧(上巻)」でまとめており、市場調査結果は2015年8月28日に発表している。
- ■調査結果の概要
- センサーの低価格化や高性能化、MEMS化などによって、これまで収集できなかったデータを低コストで効率的に収集することが可能となった。また無線通信の高速化や低価格化、絶え間なく流れてくるセンシングデータをリアルタイムで処理する技術の向上、処理したデータを高度に活用する機械学習技術の普及、IaaS/PaaSなどITプラットフォームの誕生などにより、ビッグデータ/IoTソリューションは、ベンダーのみならずユーザーからも非常に高い関心を集め、導入が進んでいる。
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■ビッグデータ/IoTソリューション国内市場
2014年度 2019年度予測 2014年度比 2,100億円 6,400億円 3.0倍 -
データ収集/蓄積、可視化にとどまらず、過去分析や収集データに基づく制御、リアルタイム分析による予測や機械学習の活用などを行うビッグデータ/IoTソリューション市場は、2014年度に2,100億円となった。ユーザーの導入機運の高まりを背景に、2019年度には2014年度比3.0倍の6,400億円が予測される。
2014年度時点では、今後の分析や予測などへの活用を想定した上で、まずはオンプレミスでのデータ収集や蓄積を進めるユーザーが多いことから、基盤となるプロダクト(ハードウェア)やシステムインテグレーションの規模がそれぞれ500億円前後で、高い構成比を占める。システムインテグレーションは、分析範囲の拡大や分析レベルの高度化に伴う需要やERPなどの基幹系システムとの連携需要が増加し、2019年度には2,300億円まで拡大すると予測され、ビッグデータ/IoTソリューション市場の拡大をけん引するとみられる。
なお、最も成長が期待できるのはクラウド(アプリケーション・プラットフォーム)である。イニシャルコストを最小限に抑えつつ迅速なシステムやサービスの立ち上げを求めるユーザーが多く、これに対応できるクラウドは、2019年度で1,000億円突破が予測される。また、ビッグデータ/IoTでは、膨大な量のリアルタイムデータの処理や変動するデータ量への柔軟な対応が求められることから、特にクラウド(プラットフォーム)の需要が大きく伸びるとみられる。 -
■注目のビジネス形態別市場
2014年度 2019年度予測 2014年度比 クラウド(プラットフォーム) 76億円 750億円 9.9倍 IaaS/PaaS 45億円 540億円 12.0倍 IoTプラットフォーム 15億円 170億円 11.3倍 - ビッグデータ/IoTソリューション構築の基盤として、IaaS/PaaSやIoTプラットフォームの活用が本格化するとみられ、2019年度には2014年度比9.9倍の750億円が予測される。多大な初期投資を必要とせずに構築が可能であり、導入したものの成果が得られなかった場合などでも利用を停止すれば損失を最小限に抑えられることがメリットの一つとなっている。
- IaaS/PaaSは、ビッグデータ/IoT用途で利用されるサービスのみを対象とする。現在の需要は、小売業における売上分析/予測や、ソーシャルゲーム分野でのリコメンデーションなどが中心であるが、今後は製造業を中心としたIoTソリューションでの利用が増加するとみられる。 ベンダーはデータの収集、蓄積、分析ツールなども一括で提供するなど、サービスラインアップ強化を進めている。また、ビッグデータ/IoTでの活用が期待される機械学習も分析ツールと組み合わせて利用することが多いことから、ベンダーが提供するサービスに加わっており、機械学習がこれまで以上に身近なサービスとなっている。 なお、IaaS/PaaS市場に占めるビッグデータ/IoT用途の比率は2014年度で1割にも満たないが、2019年度には3割を占めると予想される。
- IoTプラットフォームは、データの収集、蓄積、加工などの処理からデータの活用までを含めた、IoTを実現するためのプラットフォーム機能を統合的に有する製品やサービスを対象とする。 従来M2Mプラットフォームとして類似するサービスが提供されていたが、2014年度、2015年度とIoTプラットフォームとして新たにサービスを提供するベンダーが増加しており、市場が拡大している。ユーザーは製造業が中心であるが、新規では実証実験レベルの案件が多く、月額の利用料金が数千円にとどまるケースも多い。しかし、IoTの活用が本格化するにつれ、接続デバイスや接続サイトが広がり、1案件当たりの単価も上昇し、市場は高い伸び率が予想される。 一方で参入ベンダーの増加に伴い、プラットフォーム単体の機能では差別化が困難になり価格競争に陥る可能性もあり、アプリケーションも含め、ソリューションとしての付加価値を高めて差別化を図ることが必要となる。
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■ビッグデータ/IoTソリューション市場内訳
2014年度 2019年度予測 2014年度比 全体 2,100億円 6,400億円 3.0倍 IoT 360億円 3,700億円 10.3倍 -
今回対象とした市場の内、IoTに限ったソリューションの市場は2014年度で360億円となった。現状では業務の可視化や効率化、コスト削減などを目的とした機械や設備などモノのセンシングによるデータの収集や蓄積が主体であるが、2020年度に向けて、データの活用は収集や蓄積にとどまらず分析や予測が中心となっていき、活用するデータもバイタルデータ、位置情報、画像や音声など人のセンシングへと広がり、市場は急成長するとみられる。
2020年度以降は安定成長期に入るものの、人の感情や感覚のセンシングや統計などの社会的データとも組合せた活用などがされ、2030年度の市場は2.3兆円まで拡大すると予測される。
IoTでは、今まで活用しきれなかったデータを最大限活用することにより、新たな発見を得られるという考えもあり全てのデータの収集を望むユーザーも多いが、ネットワーク帯域の負荷や通信コスト、分析のリアルタイム性確保など課題も多い。そのため、今後はセンサーノードやゲートウェイにおいてデータ処理を行う、エッジコンピューティングの活用が広がるとみられる。
内容の詳細につきましては『2015 センサーデバイス/ビッグデータ・IOT市場調査総覧(下巻)』をご覧ください。
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