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『2016年 プラスチックフィルム・シートの現状と将来展望』まとまる(2016/8/24発表 第16069号)

各品目で新規用途の開拓が進み、世界市場は20年に15年比約5%の伸びが予想されるプラスチックフィルム・シート市場を調査

2020年予測
プラスチックフィルム・シート39品目の世界市場 13兆9,288億円
  汎用樹脂は容器・包装、自動車用途などで需要増加。エンプラ・スーパーエンプラは新規用途に期待
LCPフィルムの世界市場 25億円 FCCL向けの薄型品を中心に伸びる

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、容器・包装、エレクトロニクス、自動車、エネルギー・環境、農業、建材、ライフサイエンスなど幅広い分野で使用されているプラスチックフィルム・シート市場について調査した。
 その結果を報告書「2016年 プラスチックフィルム・シートの現状と将来展望」にまとめた。
 この報告書では、汎用樹脂フィルム18品目、エンプラ・スーパーエンプラフィルム20品目、シート8品目、その他5品目について市場動向を分析し、将来を予想した。
 世界市場は39品目、国内市場は51品目を対象とした。

 世界市場をエリア別にみると、容器・包装用途などに加え、太陽電池バックシートや農業用フィルムなどを中心に市場が形成されている中国が最大の需要地となっており、欧州、北米が続いている。中国市場は拡大がやや鈍化しており、今後は東南アジアや中南米などの需要増加が期待される。
 国内市場は、汎用樹脂フィルムを中心に最大の需要分野である容器・包装用途は人口減少による需要停滞が懸念されるものの、賞味期限延長に基づくバリア性向上ニーズ、耐熱性・耐油性ニーズ、環境配慮イメージアップなど、最終製品の高付加価値訴求に伴う製品開発、素材代替が進んでいる。また、エンプラ・スーパーエンプラフィルムの需要増加をけん引してきたスマートフォンやタブレット端末などの市場が成熟しつつあるため、太陽電池やOLED、車載ディスプレイ、EV・HV、ウェアラブル機器などで新規用途開拓の動きが注目される。

調査結果の概要
プラスチックフィルム・シート39品目の世界市場
 2016年見込2020年予測2015年比
汎用樹脂フィルム7兆9,988億円8兆8,705億円106.1%
エンプラ・スーパーエンプラフィルム1兆5,647億円1兆6,917億円102.5%
シート1兆4,688億円1兆5,836億円101.6%
その他1兆6,240億円1兆7,831億円104.2%
合計12兆6,562億円13兆9,288億円104.9%
四捨五入して億円単位にしている
 汎用樹脂フィルムを中心に需要増加が期待され、2020年の市場は13兆9,288億円が予想される。
 汎用樹脂フィルムは、容器・包装用途で使用されるPE(ポリエチレン)系フィルムおよびPP(ポリプロピレン)フィルムの市場が大きく、今後も新興国の経済発展に伴う包装需要の増加により市場拡大が予想される。また、自動車用途が中心で遮音膜やHUD用膜などで使用が増えているPVB(ポリビニルブチラール)フィルムや、建材化粧フィルムとして使用されるアクリル系フィルムは今後の伸びが期待される。
 エンプラ・スーパーエンプラフィルムは、食品包装などに用いられるPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(包装用)、ディスプレイ用途が中心のPETフィルム(光学用)、太陽電池バックシートや絶縁フィルムなど向けのPETフィルム(工業用・その他)が大部分を占める。他には食品包装用途で利用されるPA(ポリアミド)フィルムも市場が大きい。今後、スマートフォンなどで使われるFCCL(フレキシブル銅張積層板)向けの需要が大きいLCP(液晶ポリマー)フィルム、太陽電池バックシート向けのPVDF(ポリフッ化ビニリデン)フィルム、スピーカー振動板向けで使われ新規用途開拓も進められているPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)フィルム・シート、OLEDやグラファイトシート向けのPI(ポリイミド)フィルムなどが伸びるとみられる。
 シートはPC(ポリカーボネート)シートとPMMA(ポリメチルメタクリレート)シートを対象とした。PCシートは建材用途が中心であり、世界的な建材の需要増加に伴い市場拡大が予想される。その他は不織布が90%以上を占め、紙おむつなどの衛生材料用途を中心に今後も伸びるとみられる。
プラスチックフィルム・シート51品目の国内市場
 2016年見込2020年予測2015年比
汎用樹脂フィルム8,593億円8,441億円96.8%
エンプラ・スーパーエンプラフィルム2,692億円2,752億円102.4%
シート3,166億円3,248億円102.8%
その他1,154億円1,209億円105.6%
合計1兆5,604億円1兆5,650億円99.6%
四捨五入して億円単位にしている
 汎用樹脂フィルムが2016年以降微減となるが、エンプラ・スーパーエンプラフィルム、シート、その他が伸び、2020年の市場は1兆5,650億円が予測される。
 汎用樹脂フィルムは、容器・包装用途で使用されるPE系フィルムやPPフィルムが中心で、2品目で市場の60%以上を占める。多くの品目が成熟市場であり、価格低下も進んでいるため、市場は微減が予想される。偏光板保護フィルム向けのアクリル系フィルム(光学用)、建材化粧フィルムや自動車用加飾フィルム向けのアクリル系フィルム(その他)は数量ベースでの伸びが期待される。
 エンプラ・スーパーエンプラフィルムは、世界市場と同様、ディスプレイ用途が中心のPETフィルム(光学用)、食品包装用途が多いPETフィルム(包装用)、太陽電池バックシートや絶縁フィルムなど向けのPETフィルム(工業用・その他)の市場が大きい。また、PEEKフィルム・シート、LCPフィルムの伸びが期待される。今後はOLED用位相差フィルム向けのPCフィルム、インフラ整備など建材向けのPVF(ポリフッ化ビニル)の需要増加が予想される。
 シートは、主に食品容器に成形加工されるA−PET・O−PETシート、PP系シート、OPSシート、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)シートが市場の中心である。その他は、紙おむつ向けが中心の不織布の需要増加が予想される。
注目市場
LCP(液晶ポリマー)フィルムの世界市場
2016年見込2020年予測2015年比
19億円25億円138.9%
 LCPフィルムは耐熱性や寸法安定性、低吸水性、誘電特性(高周波特性)に優れ、FPC(フレキシブルプリント基板)を構成するFCCLやFPC補強板に採用されている。
 FCCL向けの需要増が市場拡大をけん引している。2014年まではスマートフォン用での採用が中心だったが、2015年以降はウェアラブル機器用での採用も増えており、今後も市場拡大が予想される。薄型品の需要が増加しており、中でも比較的高価格な薄肉の25マイクロメートル品の採用が増えているため、2016年から2020年の年平均成長率は金額ベースが数量ベースを上回ると予想される。
 FCCL向けはPIフィルム代替で採用されているが、PIフィルムを使用して最終製品や回路設計方法により高周波対応・高速伝送対応を行うケースも多い。 また、高価格なため新規用途の開拓がそれほど進んでおらず、今後はミリ波レーダーなどの車載用途や人工衛星の太陽電池パネルなどで採用が期待される。
バイオプラスチックフィルム(バイオPE、バイオPET)の国内市場
2016年見込2020年予測2015年比
3億円4億円2.0倍
 バイオPEおよびバイオPETを原料とするフィルムを対象とした(バイオPETフィルムは原料の一部をバイオ化したフィルムを対象とした)。環境負荷低減材料の使用により環境配慮をアピールできることもあり、消費者に近い食品メーカーやトイレタリーメーカーで採用が増加するとみられる。バイオプラスチック製品にエコマーク認定が行われるなど、今後は消費者の認知度向上が期待される。
 バイオPEフィルムはシャンプーなどトイレタリー用のスタンディングパウチやレジ袋などで採用されている。医薬品包装、紙コップなどで使用されるほか、新規用途開拓も進められているため、今後も堅調な伸びが予想される。
 バイオPETフィルムはスタンディングパウチ、スティック包装といった食品包装など幅広く使用されており、電子レンジ対応包材も2015年に販売されている。現状は石油由来製品より1〜2割程度高価格であるが、今後コスト低減のため石油由来樹脂との組み合わせや、フィルム設計、薄膜化などが進展し、石油由来製品との価格差が縮まれば採用は大きく伸びるとみられる。
内容の詳細につきましては『2016年 プラスチックフィルム・シートの現状と将来展望』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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