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『車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2017(上巻)』まとまる(2017/3/2発表 第17020号)

車載電装システムの世界市場を調査

2025年の市場予測
ADASは2015年比3.8倍の2兆1,785億円、自動運転システムは2019年に“条件付き自動化”レベルから立ち上がり、1兆1,330億円

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、これまでのクルマの姿を一変させる技術開発が行われている車載電装システムの市場を調査した。その結果を報告書「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2017(上巻) システム/デバイス編」にまとめた。

 この報告書では、パワートレイン系、HV/PHV/EV/FCV系、走行安全系、ボディ系、情報通信系の車載電装システム20品目をはじめ、情報機器3品目の世界市場を地域別に調査・分析し、今後を展望した。加えて、それらを構成するデバイス&コンポーネンツ28品目の市場についても調査・分析した。なお、システムの制御を司るECUとその構成デバイスの市場については現在、調査・分析しており、その結果は報告書「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2017(下巻) ECU関連デバイス編」にまとめる予定である。

注目車載電装システム市場
1. ADAS・自動運転システムの世界市場
 ADAS(Advanced Driving Assistant System)は、AEB(衝突被害軽減ブレーキ)やACC(定速走行・車間距離制御装置)などの各機能の総称である。カメラやレーダーからのセンシング情報をドライバーに警告、または自動で制御を行う安全支援システムで、自動化レベルは“運転支援なし(レベル0)”から“安全運転支援(同1)”“部分的な自動化(同2)”レベルを対象とした。一方、自動運転システムは、センシングデバイスを用いて周辺環境の検知・認識を行い、自動制御を行う技術である。ADAS開発の延長線上に位置し、自動化レベルは“条件付き自動化(同3)”から“高度な自動化(同4)”“完全自動化(同5)”レベルを対象とした。
 ADASは既に「部分的な自動化」レベルまで実用化されており、日本、EU、NAFTAを中心に普及が進められている。各国NCAP(新車アセスメントプログラム)などの安全評価基準において搭載が推奨されており、米国では2022年9月までにAEBの標準装備を行うことがNHTSA(米国運輸省の部局)と自動車メーカー20社で合意に至っている。日本では、車載カメラをベースにした富士重工「アイサイト」の認知度が高い。2016年は、日産「SERENA」に“部分的な自動化”が達成された「プロパイロット」の搭載が開始された。また、スズキやダイハツでも軽自動車への搭載が進められており、大衆車への導入が加速している。EU、NAFTAでも搭載がユーザーの購買基準になっており、高級車種の大半に搭載されている。2020年までには日本、EU、NAFTAにおける搭載が新車販売台数の過半数に達するとみられる。中長期的にはAEBを始めとするADAS搭載義務化が主要先進地域で進み、2025年に搭載車数は5,000万台超が予測される。
 自動運転システムは安全性・信頼性や事故時の責任所在(保険システム)、セキュリティ対策、自動運転からドライバー運転への切り替え手段などが実用化の障壁となっている。日本では、トヨタと日産が2020年に高速道路の自動走行を目標に“条件付き自動化”レベルの開発に取り組んでいる。欧州では、Daimlerが開発に最も積極的であり、2020年までに高速道路に限定した自動運転車の量産を計画している。“完全自動化”は、詳細な地図データやAIを活用し情報処理・判断システムの構築が要求され、2025年までの実現は困難とみられる。
2. ドライバーモニタリングシステムの世界市場
2016年見込2015年比2025年予測2015年比
149億円108.0%755億円5.5倍
 車載カメラやセンサーなどを使用してドライバーの状態を検知するシステムである。操舵角センサーでドライバーのふらつき状態から居眠りを検知し、ランプで警告するシステムの市場が欧米地域で立ち上がっている。また、赤外線カメラでドライバーの動きや表情、目の動きなどから居眠りや疲労度を検知するシステムもある。
 2016年の市場は236万システムとなる見込で、ほぼ操舵角センサー型のシステムである。ドイツを中心に搭載車種が増加している。一方、赤外線カメラ型のシステムは日本の大型トラックに搭載が始まっている。2016年の搭載は1万システム程度とみられる。日本では、ドライバーの健康状態が急変し運転の継続が困難な状況に陥る事故が多発しており、大型商用車を中心に標準搭載に向けた活動が活発であるため、今後市場は拡大していくとみられる。
 ドライバーのモニタリングは、“条件付き自動化”レベルの自動運転システムの開発の中で自動運転とドライバー運転をスムーズに切り替えるには欠かせない技術であるため、先進国を中心に、2025年に向けて市場は拡大していくとみられる。
3. HUDの世界市場
2016年見込2015年比2025年予測2015年比
747億円150.6%3,058億円6.2倍
 HUD(ヘッドアップディスプレイ)は、車載メーターやカーナビゲーションなどの情報をフロントガラスやコンバイナー(半透明のスクリーン)に投影する装置である。コンバイナーを用いるVFD(Vacuum Fluorescent Display)タイプ、LCDやDLP(Digital Light Processing)タイプ、レーザーを用いる光源タイプがある。
 VFDタイプ、LCDタイプともに欧州を中心に搭載車種が増加しており、2017年よりDLPタイプも市販されるとみられる。
 4タイプの製品はそれぞれ低価格化要求を受けて単価が下がっているが、表示情報量の増加に伴い安価なVFDタイプから大画面化が可能なLCDタイプへの切り替えがみられ需要が増大しており、2025年まではLCDタイプが主流になるとみられる。比較的高価なDLPタイプやレーザータイプが今後市販されるとみられるが、2025年まで需要は小規模にとどまると予想される。
調査結果の概要
車載電装システム/情報機器の世界市場
 2016年見込2015年比2025年予測2015年比
車載電装システム16兆7,828億円106.5%30兆2,073億円191.6%
情報機器1兆3,115億円102.3%1兆1,702億円91.3%
合計18兆943億円106.2%31兆3,775億円184.1%
 2016年の電装システム市場は、16兆7,828億円となる見込みである。その内、パワートレイン系システムが7兆1,531億円、走行安全系システムが4兆2,200億円、HV/PHV/EV/FCV系システムが1兆2,357億円となり、環境・安全に関わるシステムが市場のおよそ75%を占める。
 エリア別にみると、自動車生産台数が多いEUやNAFTAの市場が大きい。今後は中国やその他地域の市場が自動車生産台数の増加に伴い拡大していく。
 日本市場では、現在パワートレイン系システムの構成比が大きいが、今後はHV/PHV/EV/FCV系システム搭載が進むため、2025年には採用される、単価の高いHV/PHV/EV/FCV/環境対策関連デバイが上回るとみられる。EUとNAFTA市場では、環境と安全面の二本柱で開発が進められていることからパワートレイン系システムと走行安全系システムの構成比が大きい。中国やその他地域の市場ではパワートレイン系システムの構成比が大きいが、2025年にかけてもその傾向は変わらない。これは低価格車両をはじめとして、トータル的にシステムの搭載が進むためである。
 情報機器はカーナビゲーション、カーオーディオ/ディスプレイオーディオ、ETC/DSRC車載器、市場は標準装備、メーカーオプション、ディーラーオプションを対象としている。
 カーナビゲーションは高級車ではIVIシステム、大衆車はスマートフォン連携システムに需要がシフトしており、2018年以降市場は縮小が予想される。カーオーディオは、IVIシステム、カーナビゲーション、ディスプレイオーディオへ需要がシフトしておりマイナス成長、ディスプレイオーディオはEU、NAFTAで搭載が増えておりプラス成長が予想される。ETC/DSRC車載器はインフラ整備の進展に伴い市場拡大が予想される。
デバイス&コンポーネンツのカテゴリー別世界市場
 2016年見込2015年比2025年予測2015年比
センサーモジュール※14兆1,570億円103.8%6兆3,129億円157.7%
表示/入力系デバイス1兆901億円103.4%1兆8,213億円172.7%
環境対策関連デバイス※21兆6,901億円115.0%6兆2,439億円4.2倍
合計6兆9,372億円106.3%14兆3,781億円2.2倍
※1 センサーモジュール/アクチュエーター、※2 HV/PHV/EV/FCV/環境対策関連デバイス
 センサーモジュール/アクチュエーターは2025年に2015年比57.7%増、また、表示/入力系デバイスはボディ系や情報通信系のシステム搭載によって操作や情報表示のニーズが拡大していくため同72.7%増が予想される。また、HV/PHV/EV/FCV/環境対策関連デバイスは、HV/PHV/EV/FCV系システムの搭載増とともに採用が進み、単価も高いことから、同4.2倍が予想される。
内容の詳細につきましては『車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2017(上巻)』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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