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『2017 ワールドワイドエレクトロニクス市場総調査』まとまる(2017/5/23発表 第17045号)
最大需要地中国での内需停滞などにより中国から他アジアへの生産拠点の移転が進むエレクトロニクス製品の世界市場を調査
- ■2022年予測(2016年比)
- ■スマートフォン:17億3,700万台(17.4%増)
- 中国需要は鈍化もインドやアフリカでの増加に期待
- ■OA機器:1億1,963万台(1.6%増)
- 各市場拡大するも中国での生産は縮小、一方で他アジアでの生産が拡大へ
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 田中 一志03-3664-5839)は、カメラやDVD/BDプレーヤーなどのAV機器をはじめ、白物家電、スマートデバイスやPCなどの情報通信機器、さらにはモビリティまで、多岐に亘るエレクトロニクス製品の世界市場を調査した。
その結果を報告書「2017 ワールドワイドエレクトロニクス市場総調査」にまとめた。
この報告書ではAV機器8品目、白物家電6品目、情報通信機器11品目、モビリティ・産機6品目、車載電装機器5品目の計36品目と、ユニット製品・部品6品目について市場の現状を調査し、将来を予想した。
- ■ 調査結果の概要
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エレクトロニクス製品市場はこれまでスマートフォンがけん引してきたが、2016年はスマートフォンの最大の需要地である中国で需要の伸びが鈍化したこともあり、市場は停滞している。
カメラやDVD/BD関連機器やPC関連製品などで縮小が予想される一方、ヘッドマウントディスプレイ、スマートウォッチ/ヘルスケアバンド、次世代自動車、ドローン、3Dプリンター、ヘッドアップディスプレイ、車載カメラ、車載用リチウムイオン二次電池などは拡大が期待される。 - なお、これまでエレクトロニクス製品は中国生産のウェイトが高かったが、中国経済の不調による内需の停滞や賃金の上昇、さらには関税対策などにより中国以外のアジアへの生産拠点の移転が増加している。需要の鈍化が見え始めている製品では生産コストを抑えるため、よりその傾向が顕著になっている。
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■スマートフォン市場
2016年 2022年予測 2016年比 携帯電話 18億4,000万台 18億5,000万台 100.5% スマートフォン 14億8,000万台 17億3,700万台 117.4% - スマートフォン市場は中国を中心に急激に拡大が進んできた。2016年は拡大を続けたものの、最大の需要地である中国の需要鈍化や、先進国でのハイエンド製品の需要停滞などにより、伸びは緩やかになった。参入メーカーは新興国向けの展開を強化しており、今後はインドやアフリカでのさらなる需要が予想される。特にインドは買い替え需要中心であるものの製品のライフサイクルが短いことから増加が期待できる。
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■生産地動向
中国のスマートフォンメーカー、EMSメーカー、IDH系が中国で生産を行っており、市場の80%を中国が占める(2016年実績)。
今後の需要増加が期待されるインドでは、地場製造業育成のためスマートフォンの輸入に対して厳しい関税が設けられている。中国メーカーが積極的にインドでの生産拠点新設を予定していることから、他アジア(日本・中国を除くアジア)の生産ウェイトが高まると予想される(2022年予測:20%)。 -
■カメラ市場(コンパクトDSC、デジタル一眼カメラ)
2016年 2022年予測 2016年比 コンパクトDSC 1,400万台 950万台 67.9% デジタル一眼カメラ 1,145万台 806万台 70.4% -
コンパクトDSCやデジタル一眼カメラの市場は共に、スマートフォンのカメラへの需要シフトより縮小が続いている。特にコンパクトDSCはスマートフォンとの競合が激しく、2016年は前年比39.1%減となった。
今後も縮小が進むとみられ、コンパクトDSCは2022年に1,000万台を下回り、デジタル一眼カメラも縮小が予想される。 -
■生産地動向
コンパクトDSC、デジタル一眼カメラ共に、日系メーカーが高いシェアを有する市場である。
コンパクトDSCは市場の72%を日系メーカーが占めるが、市場の縮小にともない国内生産から中国などアジアへ生産拠点の移転、EMSメーカーへの委託が進んだ結果、中国での生産が81%を占める(2016年実績)。
なお、ローエンド製品の需要が減少していることから、日系大手メーカーではラインアップの絞り込みを図りながら、ハイエンドユーザーをターゲットにした高級コンパクトDSCへの注力度を高めている。 - 一方、デジタル一眼カメラは、高度な技術力が必要となるため、自社内製が主流である。また、参入は日系メーカーのみのため日本での生産が24%と高く、海外生産は台湾、タイなどの他アジアが70%を占める(2016年実績)。
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■PC関連製品市場(デスクトップPC、ノートPC、PCモニター)
2016年 2022年予測 2016年比 デスクトップPC 1億2,300万台 1億850万台 88.2% ノートPC 1億5,800万台 1億3,770万台 87.2% PCモニター 1億2,300万台 1億1,400万台 92.7% -
新規需要の落ち込みと、コンシューマー向けのスマートフォンやタブレット端末への需要シフトもあり、2016年の市場は全ての品目で縮小した。これまで市場をけん引してきた中国の需要も踊り場を迎えているほか、リオ五輪後のブラジルなど中南米の需要も景気減速により減少している。
今後も縮小は続き、2022年には各品目2016年比10%前後の縮小が予想される。 - その中でも堅調なのが法人向けのノートPCであり、ディスプレイを取り外しタブレット端末としても利用可能な2in1の生産は拡大していくとみられる。
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■生産地動向
台湾系EMSメーカーによる中国での生産ウェイトが高く、デスクトップPCは67%、ノートPCは91%、PCモニターは76%を中国が占める(2016年実績)。
デスクトップPCは、市場縮小にともない中小のEMSメーカーが生産撤退を検討しており、今後はEMSメーカーの絞込みが進むとみられる。また、中国での人件費の高騰などから他アジアへの生産拠点の移転なども想定され、他アジアにおける生産は増加が予想される。 -
■OA機器市場(複写機/複合機、ページプリンター、インクジェットプリンター)
2016年 2022年予測 2016年比 複写機/複合機 430万台 463万台 107.7% 中国生産 355万台 331万台 93.2% 他アジア生産 62万台 117万台 188.7% ページプリンター 4,200万台 4,280万台 101.9% 中国生産 2,178万台 1,579万台 72.5% 他アジア生産 2,009万台 2,698万台 134.3% インクジェットプリンター 7,140万台 7,220万台 101.1% 中国生産 2,678万台 2,467万台 92.1% 他アジア生産 4,462万台 4,753万台 106.5% -
2016年は全ての品目で縮小した。複写機/複合機は他のOA機器と比較すると高価であることから、新興国の通貨安により新興国政府機関でのリプレースが見送られたこと、ページプリンターは新興国の通貨安に加え、ランニングコストの安価なインクジェットプリンターと競合したこと、インクジェットプリンターは法人向けが拡大したものの、コンシューマー向けがスマートフォンの普及などによる印刷機会の減少が縮小の要因となった。
しかし、法人向けは先進国では定期的なリプレースなど底堅い需要があり、アジア向けなどの新規需要も想定されることから、2022年は2016年比で全ての品目が拡大するとみられる。 -
■生産地動向
複写機/複合機、ページプリンター、インクジェットプリンターは共に日系メーカーが高いシェアを有する市場であり、複写機/複合機は96%、ページプリンターとインクジェットプリンターでは53%を日系メーカーが占める(2016年実績)。 -
生産は主に中国と他アジアで行われているが、近年は為替や中国での人件費上昇などを懸念して、日系メーカーは生産を中国から他アジアに移転している。そのため、今後は中国での生産減少と他アジアでの生産増加が進んでいくとみられ、特にページプリンターでは2018年にもウェイトが逆転すると予想される。
なお、複写機/複合機は、大型製品で重量もあることから、輸送コスト削減を目的に、需要地である北米や欧州で生産を行うメーカーもあり、一定規模は日本、北米、欧州などでも生産が続けられるとみられる。
内容の詳細につきましては『2017 ワールドワイドエレクトロニクス市場総調査』をご覧ください。
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- 富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)