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『2017 センサーデバイス/ビッグデータ・IoT市場調査総覧(下巻)』まとまる(2017/6/28発表 第17060号)
人工知能(AI)の発展によりデータ利用の効率化などが進むビッグデータ・IoT関連ビジネスの国内市場を調査
- ■2021年度予測(2016年度比)
- ■ビッグデータ・IoT関連ビジネスの国内市場 1兆3,806億円(2.5倍)
- システムインテグレーション、コネクティビティの伸びが大きい
- ■IoTソリューションの国内市場 2,609億円(3.0倍)
- スマートファクトリーや作業支援など製造分野の伸びが拡大をけん引
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、実証実験の急激な増加、ソリューションベンダーにおけるIoT専任部署の設立、ソリューションラインアップの大幅な拡充などにより各業界分野で本格的な活用が進むとともに、人工知能(AI)の進化に伴い収集したデータの有効活用が可能になったことで拡大が期待される、ビッグデータやIoTに関連するビジネスの国内市場について調査した。その結果を報告書「2017 センサーデバイス/ビッグデータ・IoT市場調査総覧(下巻)」にまとめた。
この報告書では製品/サービス14品目、業界別IoTソリューション6業界の各市場について現状を調査し、将来を予想した。また、30社のベンダー事例についても整理した。なお、IoTのキーデバイスであるセンサーの市場については「同 上巻」でまとめており、4月11日に市場調査結果を発表している。
- ■調査結果の概要
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■ビッグデータ・IoT関連ビジネスの国内市場(ビジネス形態別)
ユーザーのIoTへの投資が活発化しさまざまな業界分野で活用が進んだことにより、2016年度の市場は5,532億円となった。今後もシステムインテグレーションを中心に各ビジネス形態の伸びが予想され、2021年度の市場は2016年度比2.5倍の1兆3,806億円が予測される。 -
市場を占めるウェイトが高いシステムインテグレーションは、今後もビッグデータやIoTシステムの活用ニーズの高まりにより堅調な伸びが予想される。当初はデータの収集やPoC(コンセプト検証)案件が中心で低単価であったが、本格的な導入案件の増加に伴い単価の上昇が予想されることも伸びを後押するとみられる。今後はシステムの規模や適用範囲の拡大、基幹系システム(SoR)との連携が需要増加のポイントになる。
2021年度にかけて伸び率が最も大きいのはコネクティビティである。中でもセキュリティ対策ソリューションが2017年度以降急拡大するとみられる。外部からのIoTデバイスの脆弱性を狙った攻撃が深刻化しており、セキュリティ対策への意識が高まっているため、デバイスの検証サービス(セキュア開発支援)や脆弱性診断、デバイス認証サービス、マルウェア対策製品などの需要が高まるとみられる。また、通信サービスはMVNOやLPWA、5Gなど通信方式の多様化に伴い、ユーザーニーズに応じた幅広い用途で活用が進むとみられる。
プラットフォームもIaaS/PaaSを中心に伸びが期待される。ビッグデータ関連のITインフラとして業界を問わず活用が進んでおり、特にIoTに必要な機能を柔軟に選択できるPaaSの需要増加が予想される。また、センサーを含む多種多様なビッグデータを管理するデータ統合基盤の構築ニーズも増えており、ETL(データ連携)関連ツールや、大規模データの蓄積・分析を分散処理技術で行うHadoop関連製品が大きく伸びるとみられる。
上位サービス(コンサルティングやシステム設計サービスなど)、アプリケーション、保守/運用サービスも堅調な伸びが予想される。アプリケーションの内、垂直統合型ソリューションは、業界や目的に応じてプラットフォームからアプリケーションまでワンストップで簡単に利用できる点が訴求ポイントとなり今後の需要増加が期待される。 - ■注目市場
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■IoTソリューションの国内市場(業界分野別)
IoTに限定したソリューションの2016年度の市場は872億円となった。今後は製造やインフラなどの分野が拡大をけん引し、2021年度の市場は2016年度比3.0倍の2,609億円が予測される。 -
分野別にみると、「Industrie 4.0」や「Industrial Internet」などの世界的な流れもあり、製造の市場規模が最も大きく伸び率も高い。IoTの導入目的や効果が分かりやすいため、他分野と比べてもユーザーの投資が活発である。加えて、実際にものづくりを行ってきたコンピューターメーカーが自社のノウハウを実践できるため、積極的な展開を進めていることも市場拡大の要因となっている。中でも、工場内のさまざまな機器や設備から情報を収集し可視化、分析、活用を目指すスマートファクトリーや、遠隔監視により故障の把握や診断、消耗品の自動発注などを行うスマートプロダクトの伸びが予想される。
自動車/運輸/交通インフラは、慢性的な渋滞問題やドライバーの不足、業務負荷の増大、安全対策などの課題解決の実現に向け、今後の大幅な伸びが期待される。中でも各車両に搭載したGPSで運行動向を把握する車両運行管理(商用車)は、リース車両や事業者所有の車両などに幅広く導入されている。また、走行データ活用は、参入事業者の増加や、長距離運行を行う商用車データの提供開始による交通状況分析の質向上により需要が高まり、今後の伸びが期待される。
インフラは、車両に取り付けた端末のセンシングデータから路面の荒れ具合を評価する道路監視、監視カメラと画像認識技術やビーコンを活用して犯罪者や不審者などの検知・追跡を行うセキュリティの大きな伸びが期待される。また、橋梁モニタリングは、老朽化による点検対象橋梁の増加や、専門作業員の不足に対応するためのソリューションとして、今後の需要増加が予想される。
その他には流通/サービス、医療/ヘルスケア、農業/水産業が含まれ、それぞれの分野が堅調に伸びるとみられる。特に、農業/水産業のGIS/GPS関連(位置情報を取得して業務支援を進める)、医療/ヘルスケアの診断/治療支援・遠隔医療/健康管理(医療機器の連携や接続によりスマート治療室の実現や遠隔医療などを支援する)などの大幅な伸びが予想される。 -
■注目IoTソリューション
2016年度 2021年度予測 2016年度比 作業支援(製造) 4億円 52億円 13.0倍 セキュリティ(インフラ) 11億円 120億円 10.9倍 スマートファクトリー(製造) 100億円 500億円 5.0倍
セキュリティは、監視カメラと画像認識技術やビーコンを活用し、犯罪者や不審者などの検知・追跡を行うソリューションである。現在は検証レベルの案件が多いが、画像認識技術と人工知能を用いたソリューションの導入が2018年頃から本格化し、首都圏を中心に2020年のスポーツイベントに向けて導入が増えるとみられる。
スマートファクトリーは、工場(生産ラインや機械設備など)や製品から収集したデータを、リアルタイム処理技術、ビッグデータ技術、シミュレーション技術、人工知能などの最新ITの活用により、製造業のデジタル化を目指すソリューションである。当初はデータ収集を目的とする案件が多かったが、2016年頃より実際に収集したデータの活用を目指す動きが活発化しており、今後の大幅な伸びが期待される。
内容の詳細につきましては『2017 センサーデバイス/ビッグデータ・IoT市場調査総覧(下巻)』をご覧ください。
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- 富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)