プレスリリースプレスリリースPress Releases

  • HOME
  • プレスリリース
  • 『2017年 高機能添加剤・ハイブリッドマテリアルの現状と将来展望』まとまる(2017/7/24発表 第17067号)

『2017年 高機能添加剤・ハイブリッドマテリアルの現状と将来展望』まとまる(2017/7/24発表 第17067号)

添加剤・フィラー、それらを利用した複合材料の市場を調査

2020年市場予測(2016年比)
添加剤・フィラーは3兆4,977億円(22.8%増)、複合材料は1兆2,482億円(21.0%増)
…世界的な経済成長に加え、金属代替などを目的とした樹脂の高機能化が特に自動車分野で顕著
注目市場:セルロースナノファイバーは40億円(10.0倍)
…研究・開発活発化、量産体制整備・コストダウンで採用拡大が期待

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、樹脂に添加することで機械的特性や電気的特性など、特性の改善や機能付与する添加剤やフィラー、それらを利用した複合材料の世界市場を調査した。その結果を報告書「2017年 高機能添加剤・ハイブリッドマテリアルの現状と将来展望」にまとめた。
 この報告書では添加剤・フィラー43品目(うち世界市場集計対象38品目)、複合材料7品目の市場を調査・分析し、そのトレンドや応用事例などを把握した。

調査結果の概要
添加剤・フィラー、複合材料の世界市場
2017 センサーデバイス/ビッグデータ・IoT市場調査総覧(下巻):ビッグデータ・IoT関連ビジネスの国内市場(ビジネス形態別)
 2016年の世界市場は、添加剤・フィラーが2兆8,481億円、複合材料が1兆313億円となった。世界的な経済成長に加え、金属代替などを目的とした樹脂の高機能化が特に自動車分野で顕著であることから順調に市場は拡大し、2020年には添加剤・フィラーが2016年比22.8%増の3兆4,977億円、複合材料が同21.0%増の1兆2,482億円が予測される。なお、国内市場は、最終製品市場の成熟により添加剤・フィラーは微増にとどまる見通しであるが、複合材料はFRP(Fiber-Reinforced Plastics)関連製品の需要が好調であることから年率2〜3%程度の拡大が予測される。
 添加剤・フィラーが付与する機能や添加剤・フィラーの採用目的に応じ、機械的改善、電気的機能、熱的機能、耐候・光的機能、架橋・重合、その他にカテゴリー分類して市場をみると、世界市場では強度や剛性、耐衝撃性などを向上させる機械的改善カテゴリーの需要が大きく、成長性も高い。中でもガラス繊維、炭素繊維(PAN系)、α―オレフィンコポリマーが市場をけん引すると予想される。微増推移するとみられる国内市場も世界市場と同様に機械的改善カテゴリーの需要伸長が予想される。炭素繊維(PAN系)の適用拡大とセルロースナノファイバーの採用本格化が要因として挙げられる。
注目市場
1. セルロースナノファイバーの世界市場(添加剤・フィラー)
2016年2020年予測2016年比
4億円40億円10.0倍
 セルロースナノファイバーは植物の細胞壁を構成するセルロースから精製したナノレベルの繊維である。環境性に優れ、結晶性が高く、鉄鋼の5倍以上の強度と5分の1の軽量性、ガラスの50分の1の低熱膨張性、比表面積が大きい、弾性率が高いなどの特性を持つことから応用開発が進められている。
 2013年ごろからサンプル出荷が進み、2015年に紙おむつ向けやボールペンのインク向けで実用化されたことで市場が形成された。その後、化粧品などを中心に採用が進んだが、まだ実績は少なく、サンプル出荷を除いた市場はパウダーベースで8トンである(2016年実績)。
 セルロースナノファイバーは、粘性上昇や分散性向上、強度や剛性など機械的性質向上、銀などの金属との複合化(担持)、ガスバリア性の付与などの目的で採用や採用検討がされている。しかし、親水性や凝集性などの特性から、溶剤系の塗料・コート剤や樹脂への均一分散は技術的なハードルが高く、現状はセルロースナノファイバーを不織布などに加工した製品や、水性材料への添加にとどまっている。これらの課題に対し、2016年より疎水化セルロースナノファイバーやセルロースナノファイバー複合樹脂の研究・開発、サンプル出荷が活発化している。また、2017年には量産設備の導入を予定しているところもあり、量産体制の整備によりコストダウンも進むとみられることから今後採用の本格化、拡大が期待される。
2. グラフェンの世界市場(添加剤・フィラー)
2016年2020年予測2016年比
9億円43億円4.8倍
 グラフェンは樹脂に少量添加することで、強度や弾性を大きく向上させることができる。また、帯電防止性、放熱性などの機能付与、エラストマーへの添加で耐薬品性や耐膨潤性などの機能向上も可能である。  研究・開発向けのサンプル出荷が中心であったが、2015年にグラフェンプラットフォームが大量生産技術を確立したことで、市場が本格化しつつある。さまざまな機能の向上や付与が可能であるため幅広い用途が期待されているが、なかでもスポーツ用品や包装用品などに使用される樹脂・エラストマーや塗料・潤滑油への添加用途が先行している。将来的には、LiB用の導電助剤や電極で採用が予想される。特に、車載用LiBではグラフェンの採用により、最終的には航続距離の大幅な伸長や、自動運転技術の向上につながるとされていることから需要の増加が期待される。
3. 長繊維コンパウンドの世界市場(複合材料)
2016年2020年予測2016年比
820億円1,248億円152.2%
 長繊維コンパウンドは充填する強化繊維の繊維長を可能な限り残して混練した樹脂コンパウンド(ペレット)である。主に熱可塑性樹脂をベースとしている。添加されるのはガラス繊維が主であるが、その他にも金属繊維、炭素繊維、アラミド繊維などの採用実績、研究・開発が行われている。長繊維コンパウンドは、一般的な繊維強化コンパウンドに比べ、耐衝撃性と強度・剛性を両立できるという点が最大のメリットであり、金属代替材料として採用が増加している。  市場はPPベースのガラス長繊維強化品の需要が大半である。主に欧米の自動車メーカーがフロントエンドモジュールやバックドアモジュールなど、自動車部品の金属代替材料として採用している。今後も軽量化やコストダウン、成形自由度の向上などを目的に、部品のモジュール化や樹脂化が進むとみられることから、市場は年率10%程度の成長が予測される。
4. 熱電変換材料の世界市場(複合材料)
2016年2020年予測2016年比
4億円7億円175.0%
 熱電変換材料は、熱電発電において熱と電力の変換に用いる熱電変換素子として利用される材料である。いつくかの種類があり、ビスマス・テルル系が最も用いられている。それ以外にも、酸化物系、シリサイド系、スクッテルダイト系などがある。
 熱電変換材料は、主にアウトドア向け発電器具やストーブのファン稼働電源などの民生品で実用化されており、需要先は日本や欧米が中心で、中国やロシアでも実績がある。欧州ではMicropeltが開拓してきたセンサー用途も見られる。当面、民生用途が中心となるが、2020年から工業用途(工業用排熱発電向け)での実用化が期待され、国内外とも需要が大きく増加するとみられる。
内容の詳細につきましては『2017年 高機能添加剤・ハイブリッドマテリアルの現状と将来展望』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)
 

ページトップ