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『ソフトウェアビジネス新市場 2017年版』まとまる(2017/8/2発表 第17072号)
「働き方改革」やセキュリティ対策、デジタルマーケティングなどが市場拡大の要因に…ソフトウェア(パッケージおよびSaaS)の国内市場を調査
- ■タイトル
- ■ソフトウェア 1兆6,265億円(38.3%増):
コラボレーション系、基本ソフト系、デジタルマーケティング系が拡大をけん引- ■グループウェア 1,986億円(71.2%増):「働き方改革」への対応ツールとして需要増加
- ■API管理ツール 237億円(9.9倍):デジタル化による生産性向上などを目的に伸びる
- ■マーケティングオートメーション 175億円(2.5倍):SaaS型の伸びが拡大をけん引
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、デジタルトランスフォーメーションをキーワードとした既存ビジネスの効率化、ビジネス拡大また新規ビジネス創出を目的とした活用の進展により、さらなる拡大が期待される企業向けソフトウェア(パッケージおよびSaaS)の国内市場を調査した。その結果を報告書「ソフトウェアビジネス新市場 2017年版」にまとめた。
この報告書では業務システム系10品目、デジタルマーケティング系7品目、情報分析系4品目、コラボレーション系9品目、ミドルウェア10品目、データベース2品目、運用・管理ツール5品目、基本ソフト系4品目、合計51品目の企業向けソフトウェア市場を調査対象とした。
- ■ 調査結果の概要
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■ソフトウェアの国内市場
市場は拡大を続けており2021年度には2016年度比38.3%増の1兆6,265億円が予測される。デジタル化・IT化によりビジネスを変革するデジタルトランスフォーメーションをキーワードに、さまざまな分野・企業で新規システム構築が進んでいることが、ソフトウェア市場の拡大をけん引している。
各分野で年平均成長率4%(2016年度〜2021年度)を超える伸びが予想される。特に「働き方改革」の実現に向けた取り組みやセキュリティ対策によりコラボレーション系や基本ソフト系、また、デジタルデータを効率よく活用できるデジタルマーケティング系の伸びが大きい。
コラボレーション系は、「働き方改革」の実現のためにワークスタイルの変革を進める企業が増えており、そのツールとしてグループウェアやワークフロー、ファイル共有サービスなどが大きく伸びるとみられる。
基本ソフト系は、セキュリティ対策や「働き方改革」を支援するツールとしてデスクトップ仮想化ソフトが大きく伸びている。また、システムの開発、運用、保守の内製化への対応により高速開発支援ツールの導入が増えている。
デジタルマーケティング系は、顧客接点の多様化への対応を目的に新規導入が進んでいるため、各品目が好調である。特にCRM(営業系)は、業種・規模を問わず普及が進み、需要が増加している。また、マーケティングオートメーションはSaaS型を中心に大幅な伸びが予想される。
情報分析系は、IoTの普及によるセンサーデータの可視化や分析などの需要が増加し、マーケティング部門や店舗、製造現場など多様な場面で各品目の利用が増えるとみられる。また、運用・管理ツールは、リプレース中心の品目が多いが、API管理ツールは基幹系システムの連携やAPI活用による新ビジネス推進を目的とした導入により伸びが期待される。
提供形態別では、パッケージ型が74%、SaaS型が26%となっている(2016年度時点)。SaaS型は、中小企業やSOHO(Small Office/Home Office)で導入が進んでいるのに加え、大企業や中堅企業でもスクラッチシステム(企業ごとに一から作り上げたシステム)やパッケージ型からの移行、新規ビジネスを早急に立ち上げる目的で導入が増えている。今後はSaaS型の割合が増加するとみられ、2021年度にはパッケージ型は65%、SaaS型は35%となると予想される。 - ■注目市場
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■グループウェア[コラボレーション系]
2016年度 2021年度予測 2016年度比 パッケージ型 170億円 141億円 82.9% SaaS型 990億円 1,845億円 186.4% 合計 1,160億円 1,986億円 171.2% -
ネットワークを利用し、企業内での情報共有を目的とした非同期型コミュニケーションシステムを対象とした。近年はインターネット、イントラネット技術の向上に伴い、Webブラウザをクライアントアプリケーションに利用したシステムが主流となっている。
当初は、企業独自の商習慣を重視し、カスタマイズ性の高いパッケージ型の採用が中心だったが、数年前からSaaS型の利用が急増し2016年度時点では85%を占めている。SaaS型はイニシャルコストが低くサービス導入の障壁が低いことなどから、パッケージ型からの移行や新規利用を取り込んでいることが導入増加の要因である。「働き方改革」などのキーワードを軸にワークスタイル変革を進める企業も増えており、働く場所や時間を問わず利用できるSaaS型の需要が今後も大幅に増加するとみられる。 -
■API管理ツール[運用・管理ツール]
2016年度 2021年度予測 2016年度比 パッケージ型 21億円 200億円 9.5倍 SaaS型 4億円 37億円 9.3倍 合計 24億円 237億円 9.9倍 -
ソフトウェア間のやり取りを行うインターフェースであるAPI(Application Programming Interface)の作成、配布、保守、監視、保護を目的とし、主機能としてAPIのバージョンやライフサイクルの管理機能をもつ製品を対象とした。
既存システムの生産性向上や、自社内のシステム連携を目的に導入が進んだことにより市場は形成された。特に、複数システムを安全に連携できる点が受け入れられ、需要は増加している。今後は、ユーザーのAPI公開および、それに伴うデータ公開を契機とした新規事業創出が期待され、デジタルイノベーションやデジタルトランスフォーメーションを実現するためのコア技術の一つとして導入が進むとみられる。プロセスの自動化や新規パートナーとの協業の立ち上げにおける負荷軽減などを目的とした企業間でのAPI連携が進むことで市場はさらに活性化するとみられる。
形態別ではパッケージ型が90%近くを占めている(2016年度時点)。自社内の基幹システムにおけるAPI活用が積極的に進められており、基幹システムの多くはオンプレミス(自社での設備所有・運用)環境にあるため、パッケージ型の導入が中心となっている。SaaS型は情報系システムやSoE(Systems of Engagement)などで、システムの標準化や、外部リソースを活用した新規ビジネスの創出を目的とした利用が主体である。 -
■マーケティングオートメーション[デジタルマーケティング系]
2016年度 2021年度予測 2016年度比 パッケージ型 18億円 25億円 138.9% SaaS型 53億円 150億円 2.8倍 合計 71億円 175億円 2.5倍 -
マーケティングオートメーションは、企業のマーケティング活動の効率化を目的に、プロセスの自動化を図るツールである。顧客行動の蓄積・分析機能、リード(見込)顧客を抽出するリードマネジメント機能、リード顧客に対して電子メールやWebページなど顧客へのアプローチを適切に実施・管理する機能を備えている。顧客とのさまざまな接点で収集したデータを統合的に管理・分析し、マーケティング担当者の意思決定と業務の自動化を実現できるため導入が増えている。
2016年度時点では、BtoB向けで利用される製品が約40%、BtoC向けが約60%とみられる。BtoC向けは大量のデータを利用する大規模なシステム構築となるため案件規模がBtoB向けよりも大きくなっている。
デジタルデータの収集をより一層進め、新規顧客獲得や顧客ロイヤルティの向上、顧客単価アップのためデータに基づいたマーケティング施策立案や実施を行う企業が増えるため、今後も市場は大幅に拡大すると予想される。一方、ユーザーが導入しても効果的な利用ができずに解約するケースも想定されるため、ベンダーや販売パートナーは顧客支援を充実させて、解約を防ぎ継続的な利用につなげるサポートを展開している。
2016年度時点ではパッケージ型が25%、SaaS型が75%となっている。利用対象がマーケティング担当者に限定されていることや、効果検証を目的とした導入が多いため、柔軟性が高いSaaS型のニーズが高い。機能が充実した高価格帯から基本的な機能のみを提供する低価格帯までサービスラインアップが幅広く、大手企業だけでなく、中堅や中小企業の導入が進んでいる。今後もSaaS型が市場拡大をけん引するとみられる。
パッケージ型は、オンプレミスのサーバーなどで大量のデータの処理をできることから、BtoC向けの顧客データや売上データを持つ大手企業への導入が中心である。また、金融業などコンプライアンスの点で外部に顧客データを蓄積できないケースでの導入もみられる。
内容の詳細につきましては『ソフトウェアビジネス新市場 2017年版』をご覧ください。
- ■報道関係のお問い合わせは
- 富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)