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『2017 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望(下巻)』まとまる(2017/11/27発表 第17113号)

2017年以降OLED関連部材の需要が大きく増加するディスプレイ関連の部品材料の世界市場を調査

2022年市場予測(2016年比)
OLED関連部品材料 3,832億円(3.5倍)
スマートフォンやTV向けを軸に大きく拡大
LCD関連部品材料 3兆4,354億円(88.1%)
パネル面積の大型化もあり縮小ペースは緩やか
円偏光板(OLED用) 1,160億円(4.0倍)
2018年頃から需要の中心はスマートフォン向けからTV向けへとシフトする

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、中国液晶メーカーの大型ラインへの積極的な投資や、「iPhone X」をはじめとしたスマートフォンでのAMOLEDの採用増加に伴い、OLED関連部品材料の大幅な伸びが期待されるディスプレイ関連部品材料の世界市場を調査した。
 その結果を報告書「2017 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望(下巻)」にまとめた。
 この報告書ではOLED関連部材9品目、LCD関連部材19品目、LCD・OLED関連共通部材8品目、タッチパネル関連部材8品目の市場の現状を分析し、将来を予測した。また、注目されるフレキシブルAMOLED関連部材・プロセスの動向、薄型ディスプレイの進化に向けた部材開発の動向、関連部材メーカーのディスプレイ分野以外への多角化動向などを整理した。
 ディスプレイ関連部材市場の今後を概観すると、スマートフォンでAMOLEDの採用が増加するに伴い、OLED関連部材が大きく伸びると予想される。一方、LCD関連部材やタッチパネル関連部材は成熟期を迎えており、「広色域」「薄型化」「自動車関連、産業用向けの高付加価値化」に対応した開発が進められているのに加え、新たな需要の獲得を目指した多角化への取り組みも活発化している。

調査結果の概要
LCD・OLED関連部品材料の世界市場
2017 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望(下巻):LCD・OLED関連部品材料の世界市場グラフ
 OLED関連部材の2016年の市場は、円偏光板(OLED用)や円偏光板保護フィルム(OLED用)の伸びがけん引し、前年比13.3%増となった。2017年は「iPhone X」へのフレキシブルOLEDの採用や、LG DisplayのTV向けパネル増産などにより各品目が伸びているため、前年比49.4%増の1,621億円が見込まれる。
 2018年以降、スマートフォン市場ではSamsung Displayの増産や後発の中国ディスプレイメーカーの立ち上がりにより、OLED採用が進むとみられる。2022年にはスマートフォン向けパネルの約50%がOLEDになり、また、OLED-TVの出荷台数は1,000万台を超えるとみられるため、OLED関連部材の市場は2016年比3.5倍の3,832億円が予測される。
 2016年時点では最も規模が大きい低分子発光材料は、材料使用効率の改善や単価下落により、2016年から2022年の年平均成長率は13.4%にとどまるとみられる。2022年には、大型TV向でのOLEDの採用増加に伴い円偏光板(OLED用)の規模が最も大きくなると予想される。
 LCD関連部材の2016年の市場は、前年比7.8%減となり4兆円を割り込んだ。特にTV用バックライトユニットは、一部のハイエンド機種を除いて比較的高価格なエッジ型から低価格な直下型へのシフトが進み前年比22.1%減となった。また、規模の大きい偏光板(LCD用)は数量ベースでは伸びているものの、単価の下落により金額ベースでは縮小している。
 単価の下落により多くの品目が2018年以降もマイナス成長になるとみられるが、ディスプレイパネルの大型化により緩やかな縮小が予想される。量子ドットシートは、Samsung El.がOLED-TVへの対抗製品として「QLED」ブランドを展開しており、同社や中国メーカーでの採用が進むとみられ2018年以降の大幅な伸びが期待される。また、偏光板(LCD用)が偏光サングラスや3Dメガネ向けに小規模ながら使われているように、LCD関連部材をディスプレイ以外でも使用する用途多角化への取り組みも進んでいる。
 LCD・OLED共通関連部材の2016年の市場は前年比14.6%減となった。全体の60%以上を占めるカラーフィルターが数量ベースでは増加したものの、金額ベースでは為替変動や単価下落の影響により前年比20%近い落ち込みとなったことが要因の一つである。
 2017年の市場は前年比2.8%の拡大が見込まれるが、2018年以降は単価の下落などにより縮小し、2022年は2016年比1.6%減の2兆4,694億円が予測される。多くの品目が縮小するが、フォトレジストやハードコート剤はTV向けパネルのサイズアップを受けて小幅ながら伸びが予想される。また、ブラックレジスト・ブラックカラムスペーサー(BSC)は、韓国ディスプレイメーカーを中心に単価の高いBSCの採用が進むことから、2016年から2022年の年平均成長率は2.1%が期待される。
注目市場
円偏光板(OLED用)
 2017年見込2022年予測2016年比
出荷数量714万m22,677万m25.4倍
出荷金額398億円1,160億円4.0倍
 OLEDに搭載される円偏光板を対象とした。OLEDは陰極にアルミ系合金などの金属電極を採用しており、外光を反射しやすい構造を持つため、ディスプレイ内に入った外光反射を打ち消す役割を担う円偏光板が使われる。
 2016年はSamsung Displayのスマートフォン向けAMOLEDの増産により、円偏光板(OLED用)の市場は拡大した。また、LG DisplayによるTV用OLEDの増産も市場拡大に寄与している。
 2016年まで需要はスマートフォンに大きく依存していたが、2017年以降はOLED-TV向けが急増するとみられる。スマートフォンやスマートウォッチは最終製品の出荷台数は多いものの、単位面積が小さいため市場へのインパクトは小さく、2018年にはOLED-TV向けがスマートフォン向けを逆転し、OLED-TV向けを中心に市場は拡大すると予想される。
量子ドットシート
 2017年見込2022年予測2016年比
出荷数量244万m21,144万m25.7倍
出荷金額153億円289億円192.7%
 LCDのバックライトユニット(BLU)に採用される量子ドット(QD)シートを対象とした。
 2016年の市場は数量ベースの伸びが鈍化したため、金額ベースでは縮小となった。Samsung El.のQDシート採用LCD(「QLED」)がOLED-TV並みの高価格なため伸び悩んでいることも、市場に影響を与えている。2017年の市場は金額ベースで微増にとどまるが、2018年以降は数量ベースの大幅な伸びにより金額ベースでも市場は堅調に拡大し、2022年は2016年比92.7%増の289億円が予測される。
 中国メーカーもQDシート採用TVを展開しており、Samsung El.と中国TVメーカーの提携により「QLED」が中国でも発売されている。一部環境規制がない地域ではカドミウム(Cd)を含んだQDシートが販売されているが、先進国を中心に環境規制に対応したCdフリーの動きも進んでいる。
 Samsung El.と中国TVメーカー向けが中心であるが、それぞれの動向は今後大きく異なるとみられる。
 Samsung El.は「QLED」ブランドの浸透を図っているものの、QDシート採用TVは高コストになる側面がある。コスト対策としてQDを採用したインクをインクジェットでパターニングするQD-CFの開発を進めており2019年に発売が想定されるため、Samsung El.のTV向けのQDシートの需要は減少するとみられる。
 一方、中国メーカーは引き続きQDシートを採用するハイエンドTVを増やすとみられる。今後、QDシートの低価格化が進むことにより、ハイエンドだけでなくミドルハイまで採用が広がると予想される。
内容の詳細につきましては『2017 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望(下巻)』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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