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『2018 フレキシブル/有機/プリンテッドエレクトロニクスの将来展望』まとまる(2018/2/5発表 第18010号)
IoTを進展させる要素として注目されるフレキシブル/有機/プリンテッドエレクトロニクスの世界市場を調査
- ■2030年予測(2017年見込比)
- ■関連製品市場 8兆8,569億円(2.6倍)
- 中小型AMOLEDが拡大をけん引、有機EL照明や導電性テキスタイルなども大きく伸びる
- フレキシブル採用率は67.5%、プリンテッド採用率は20.5%にそれぞれ上昇する
- 特にウェアラブル/ヘルスケア分野、流通・小売分野、自動車分野での採用拡大が期待される
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、IoTをキーワードにさまざまな用途で採用増加が期待され、次世代エレクトロニクスとして注目されるフレキシブル/有機/プリンテッドエレクトロニクス関連の世界市場を調査した。
その結果を「2018 フレキシブル/有機/プリンテッドエレクトロニクスの将来展望」にまとめた。
この調査では、フレキシブル/有機/プリンテッドエレクトロニクス関連製品18品目、プリンテッドエレクトロニクス関連材料11品目、有機EL関連材料5品目、基板3品目、印刷装置5品目の各市場について現状を調査し、将来を予想した。
フレキシブルエレクトロニクス | 基板材料として、ガラスなどリジッドな材料ではなく、フィルム、紙、繊維といったフレキシブルな材料を用いたエレクトロニクスを指す。薄型、軽量、割れないことが重視されている。 |
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有機エレクトロニクス | 電界発光、光電変換、半導体機能などの機能性有機化合物材料を用いたエレクトロニクスを指す。 |
プリンテッドエレクトロニクス | 製造工程の一部、または全てに塗布・印刷技術を適用したエレクトロニクスを指す。従来プロセスに比べ、大面積化、フレキシブル化、低コスト化を実現できる。 |
- ■調査結果の概要
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■フレキシブル/有機/プリンテッドエレクトロニクス関連製品の世界市場
対象としたフレキシブル/有機/プリンテッドエレクトロニクス関連製品の2017年の市場は3兆3,473億円が見込まれる。
中小型AMOLEDの構成比が大きく60%弱を占めており、2030年でもほぼ同程度の構成比を占めるとみられ市場への影響が大きい。また、大型AMOLEDやタッチセンサーも規模が大きい。今後は、有機EL照明や導電性テキスタイル、有機薄膜太陽電池、色素増感型太陽電池/ペロブスカイト太陽電池、生体電位センサーなどの伸びが予想される。
大半の関連製品が今後も順調に伸びるとみられ、2030年の市場は8兆8,569億円が予測される。 -
■フレキシブル採用率
2017年見込 2030年予測 フレキシブル採用率 56.4% 67.5%
市場規模の大きい中小型AMOLEDが全体市場に多大な影響を及ぼしている。2017年にSamsung Displayがフレキシブル製品向けの設備増強を行ったことによりフレキシブル化が進んでいる。それに伴いフレキシブル採用率も大きく上昇する。
今後もフレキシブル採用率は上昇が続くとみられる。中小型AMOLED以外にも電子ペーパーや有機EL照明がフレキシブル採用率の上昇をけん引するとみられる。中小型AMOLEDは2030年に86.4%、電子ペーパーは48.3%、有機EL照明は96.7%とフレキシブル採用が大きく進むとみられる。 -
■プリンテッド採用率
2017年見込 2030年予測 プリンテッド採用率 14.6% 20.5%
プリンテッド採用率は、構成比が大きい中小型AMOLEDのプリンテッド採用率が低いため、全体でも10%台にとどまっている。2020年頃までは中小型AMOLEDの伸びが大きいため、他のプリンテッド採用製品が伸びるものの、全体のプリンテッド採用率は押し下げられるとみられる。
将来的には、印刷で製造するセンサーデバイス、太陽電池などが伸びることから、プリンテッド採用率の上昇が予想される。特に、2020年代前半よりウェアラブル機器の発展により、複合センサーや衣服型ウェアラブル機器との一体型センサーへの印刷製造が増えるため、センサー類を中心にプリンテッド化の進展が期待される。また、IoTの進展に向けて、デバイスの高機能化、コストダウンを目的としてプリンテッド技術の導入が進むとみられ、2020年代後半にプリンテッド採用率の大幅な上昇が期待される。プリンテッド採用率は2024年頃より上昇に転じ、2030年では20.5%が予想される。 -
■注目用途分野における関連製品の世界市場
2017年見込 2030年予測 ウェアラブル/ヘルスケア分野 576億円 2,548億円 流通・小売分野 806億円 1,497億円 自動車分野 91億円 4,342億円
ウェアラブル/ヘルスケア分野は、現状はスマートウォッチに採用されている中小型AMOLED、PMOLEDなどのディスプレイが大部分を占めている。今後は、肌に貼るタイプなどの生体電位センサーや、心電・筋電位計測用ウェアラブル型生体センシング機器の電極部に使われる導電性テキスタイルなどが伸びるとみられる。
流通・小売分野は、物流タグで使われるRFID、電子棚札で使われる電子ペーパーが大部分を占めている。今後は、RFIDと電子ペーパーに加えて、タグ向けの高機能化手段として有機メモリーやフレキシブル電池、商品の在庫管理や顧客の行動分析を可能にする圧力センサーシートや有機イメージセンサーシートの伸びが予想される。
自動車分野は、PMOLEDや有機EL照明が中心である。今後、着座センサーやシートベルトの圧力検知に使用される圧力センサーシート、車内ディスプレイとしてフレキシブル化された中小型AMOLEDの伸びが注目される。また、有機EL照明は、自動車テールランプ採用や、ADASにおける外部への表示機器などで2030年までに大きな伸びが期待される。 -
■フレキシブル/有機/プリンテッドエレクトロニクス関連材料の世界市場
2017年見込 2030年予測 2017年見込比 2,556億円 1兆6,124億円 6.3倍
2020年までは引き続き3Dプリンター用造形材料の構成比が高くなるとみられる。また、中小型AMOLEDや有機EL照明のフレキシブル化に関わるポリイミドワニス・フィルム、フレキシブルガラスも伸びるとみられる。将来的にはフレキシブルデバイスの高機能化や低コスト化に寄与する印刷材料として、導電性ナノインクや有機半導体材料、塗布型有機EL発光材料などの伸びが予想される。
内容の詳細につきましては『2018 フレキシブル/有機/プリンテッドエレクトロニクスの将来展望』をご覧ください。
- ■報道関係のお問い合わせは
- 富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)