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『2018年 エレクトロニクス先端材料の現状と将来展望』まとまる(2018/2/16発表 第18014号)

エレクトロニクス製品向け先端材料の世界市場を調査

2021年市場予測
ノイズ抑制シート 724億円(2016年比96.2%増)
製品開発スピードの加速により使用を前提とした製品設計が増加
ワイヤレス充電やADASなど車載用がけん引し拡大
ミリ波レーダー対応熱転写箔 74億円(2016年比2.6倍)
ミリ波レーダー搭載率上昇に連動して、ミリ波透過可能な自動車エンブレム向け材料のニーズ拡大

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、次世代テクノロジーと注目されるHV・EVやADAS、5G通信、ウェアラブル、IoTなどによって需要が押し上げられ、かつ新規開発によりニーズが創出され成長が期待できるエレクトロニクス製品向け先端材料市場を調査した。
 その結果を「2018年 エレクトロニクス先端材料の現状と将来展望」にまとめた。
 この調査では、半導体分野8品目、実装・部品分野16品目、LCD分野4品目に加え、今後のエレクトロニクス製品向け材料業界をけん引するとみられるOLED分野11品目、電池分野4品目、車載分野5品目、計6分野48品目の市場を分析し、今後を予想した。

注目市場
ノイズ抑制シート
2017年見込2016年比2021年予測2016年比
430億円116.5%724億円196.2%
 RFID、NFC、ワイヤレス充電に用いるコイルは、近くに金属があるとその金属が発する反磁界によって伝送効率が低下し、通信が阻害されることがある。複合磁性シートや焼結フェライトシートといったノイズ抑制シートが伝送効率の改善を目的に使用される。
 無線搭載機器の増加による電磁波の増加や製品開発スピードの加速などからシートの使用を前提とした製品設計が増えており、市場は拡大している。
 焼結フェライトシートはkHz帯〜MHz帯のノイズ対策に適しており、RFID、NFC、ワイヤレス充電などで採用される。2017年はApple「iPhoneシリーズ」がワイヤレス充電対応になったことで市場が大きく伸びた。また、今後はEVやPHVでのワイヤレス充電採用により拡大が予想される。
 複合磁性シートは5MHz〜GHz帯のノイズ対策に適しており、RFID、NFCのほか、車載用で使用される。車載用はADASの搭載など車載電装部品の増加に伴いシート使用量が多くなることや、耐熱性などの観点から高価格品が採用されることから、拡大をけん引している。
 今後もワイヤレス充電やADASの搭載、IoT化などで電波環境の過密化が進むことによる需要増加が予想され、全体としては2021年には2016年比96.2%増の724億円が予測される。
ミリ波レーダー対応熱転写箔
2017年見込2016年比2021年予測2016年比
40億円137.9%74億円2.6倍
 自動車エンブレムに用いるミリ波レーダー対応熱転写箔を対象とする。
 自動車の衝突防止を目的に搭載が進むミリ波レーダーは車体正面のエンブレムの内側に設置されるケースが多いが、通常のエンブレムはメッキなどにより金属光沢が施されており、ミリ波レーダーは透過しない。このため、ミリ波レーダーが透過するインジウムなどを蒸着させた熱転写箔が、メッキの代わりにエンブレムに使用される。
 市場はミリ波レーダーの需要に連動して拡大している。現在ミリ波レーダーの需要は欧州が中心であるが、今後は日本、米国で伸びていき、中国での需要も期待されることや、ミリ波レーダーの低コスト化が進むことで搭載車種が増加するとみられることから、2021年には2016年比2.6倍の74億円が予測される。
 一方で、インジウム箔は高価で成膜も難しいことから、代替材料や技術の開発も進められており、電波透過性のある特殊な塗料なども考えられている。
OLED用封止材
2017年見込2016年比2021年予測2016年比
259億円2.6倍548億円5.5倍
 OLED照明、OLEDディスプレイなどOLEDデバイスに使用される有機系封止材には、シート状とペースト状の製品がある。中小型AMOLEDやPMOLED、リジッド照明にはペーストが採用され、大型AMOLEDやフレキシブル照明にはシートが採用される。
 OLEDの需要増加により市場は拡大しており、特に2017年はApple「iPhone X」でのフレキシブルOLEDの採用もありペーストが前年比3.1倍に急拡大し、全体としても2.6倍の259億円となった。
 今後もTV向け大型AMOLEDの量産が進められることや、中小型AMOLEDの新規の設備投資計画もあることから、OLED用封止材の市場拡大は続き、2021年には548億円が予測される。
放熱メタル基板・放熱樹脂基板
2017年見込2016年比2021年予測2016年比
206億円107.9%247億円129.3%
 放熱基板は金属、セラミック、耐熱樹脂などを使用し、放熱性や耐熱性を向上させた基板である。放熱基板のうち、銅やアルミをベースとした放熱メタル基板とエポキシ系などの樹脂をベースとした放熱樹脂基板を対象とする。
 放熱メタル基板は、熱抵抗性が低く熱対策要求が高いパワーモジュール関連などで採用されており、放熱樹脂基板は加工性やコスト面などで優位性が高く、LED照明など発熱量が小さい用途での採用が多い。
 数量ベースで8割近くを占める放熱樹脂基板はLED照明の需要増加により拡大している。金額ベースで8割近くを占める放熱メタル基板は車載用、産業機器用で伸長しており、特にHV・EVなど環境対応車向けが市場をけん引している。しかし、二輪車や自動車の電動パワーステアリングなどではアルミをベースとした放熱メタル基板から放熱樹脂基板へ一部シフトする動きもみられ、放熱メタル基板の中でも主に銅ベースの基板が採用されるヘッドランプ向けでは価格優位性の高いアルミ基板へのシフトもられる。
 今後はLED照明の伸びも落ち着くとみられるため放熱樹脂基板は微増にとどまるが、自動車や産業機器の生産台数増加に加え、放熱対策ニーズの上昇もあり、放熱メタル基板の市場は大きく拡大が予想される。そのため、全体としては2021年には2016年比29.3%増の247億円が予測される。
フォトレジスト
2017年見込2016年比2021年予測2016年比
1,211億円104.2%1,500億円129.1%
 半導体素子などにパターンを形成するフォトリソグラフィーに利用される感光性材料のg線/i線レジスト、KrFレジスト、ArFレジスト、EUVレジストを対象とする。
 数量ベースで6割以上を占めるg線/i線は、センサーやパワーデバイスなどでの採用が多く、IoTの進展やHV・EVの普及などで需要増加が期待される。g線/i線からのシフトが落ち着ついたKrFは3D-NANDで厚膜レジストとして採用されており、デバイスの需要増加と積層数増加により拡大している。
 金額ベースで最も規模が大きいArFは微細化ニーズ増加にともなうマルチパターニングによりリソグラフィー工程数の増加で使用量が増えており、拡大が予想される。さらなる微細化に対応したEUVは2018年に量産化が期待されるが技術的な課題もあり、市場は変わらずArFがけん引していくと予想される。
 半導体デバイスの需要増加、微細化の進行によるリソグラフィー工程数の増加によって各レジストの市場は拡大が予想され、2021年には1,500億円が予測される。
内容の詳細につきましては『2018年 エレクトロニクス先端材料の現状と将来展望』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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