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『2018 次世代スマートフォンとキーデバイス市場の将来展望』まとまる(2018/4/23発表 第18037号)
スマートフォンと、キーデバイス、基地局関連の市場を調査
- ■2022年の世界市場(2017年比)
- スマートフォン 15.9億台(12.6%増) インドや中東、中南米などを中心に緩やかに拡大
内、5G対応は3.1億台 2022年まではハイエンドからフラッグシップモデルへの搭載- フィーチャーフォン 1.18億台(58.5%減) 一定需要は残存
- スマートフォン、フィーチャーフォン向けキーデバイス
カメラ 1兆7,950億円(8.0%増) デュアルカメラの比率が高まり単価は維持
ディスプレイ 6兆609億円(9.8%増) スマートフォンで採用増加のOLEDがけん引- 基地局関連
基地局 314万局(93.8%増) スモールセル基地局が大幅伸長
基地局向けキーデバイス 2兆7,198億円(49.6%増) 多周波化で基地局用アンテナ大幅伸長
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、5Gの本格的な導入を目前に開発が進むスマートフォンとそのキーデバイスの世界市場を調査した。その結果を「2018 次世代スマートフォンとキーデバイス市場の将来展望」にまとめた。
この調査ではスマートフォンとそのキーデバイスのほか、フィーチャーフォンやタブレット端末、データ通信モジュール、リスト型ウェアラブル機器、スマートグラスと、それらのキーデバイスの市場を調査・分析した。また、基地局や基地局向けキーデバイスの市場についても調査・分析した。
- ■調査結果の概要
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■スマートフォン、フィーチャーフォンの世界市場
スマートフォンは、先進国を中心に買い替え需要が中心となってきており、市場成長率が鈍化している。ここ数年市場拡大をけん引してきた中国も普及が一段落している。今後は、中国を除くその他アジア、中東や中南米、アフリカなどは伸長が期待されるが、中国や北米、欧州は横ばい、日本は横ばいから縮小となり、市場は年率2%程度の低調な成長が予想される。
その他アジアは、インドをはじめ新興国が多く、人口も数千万人クラスの国が複数あり、今後成長が鈍化した中国に代わって携帯電話市場をけん引していくとみられる。自国の需要の伸びが鈍化している中国メーカーにとっても重点地域となっており、インドではXiaomiが低価格帯の端末を中心に躍進しており、OPPOやVivoはインドネシアの市場開拓を進めている。中東や中南米、アフリカなどは、スマートフォンの普及率が比較的低く、フィーチャーフォンに対する需要も残っている。スマートフォン需要としては、フィーチャーフォンからの買い替えと新規需要が混在する地域であり、今後も市場拡大が期待される。横ばいが予想される中国はローエンドから、より高機能な製品に買い替えるユーザーが増加することによって買い替えサイクルが長期化し、成長率が鈍化していくと予想される。北米や欧州はすでに買い替え需要にシフトしており、安定的に推移するとみられる。2019年から2020年にかけて5Gがサービスインしても、フラッグシップから導入が進むと予想されることから買い替えを大きく促進させる要因にはならない。日本はすでに携帯電話市場が飽和しており、フィーチャーフォンからスマートフォンへの移行も大半が済んでいる。MVNOサービスの広がりでSIMの入れ替えによる端末自体の保有年数の長期化が進んでおり、買い替えも中古機市場との競争が生じている。今後も市場は買い替えを中心に横ばいから微減が予想される。 -
■5G対応スマートフォン
スマートフォンは5G対応製品の投入が最速で2019年前半とみられる。ただし、投入されるのはSub 6の帯域に対応した製品であり、ミリ波帯域への対応は最速で2019年後半から2020年と予想される。まずはLTEと分離したスタンドアロンでの対応になるとみられることから、各社フラッグシップモデルへの搭載が予想される。2022年までは、BOMコストなどの観点よりハイエンドからフラッグシップモデルへの搭載にとどまるとみられ、市場は3億1,000万台、スマートフォン全体の19.5%を占めると予測される。
フィーチャーフォンは、世界的なスマートフォンの普及に伴い市場縮小しているが、低価格製品は依然としてスマートフォンに対するコスト優位性が高いことから、最低限の情報通信手段として今後も一定の需要が残るとみられる。 -
■スマートフォン、フィーチャーフォン向けキーデバイスの世界市場
1. カメラ
2017年 2022年予測 2017年比 1兆6,616億円 1兆7,950億円 108.0%
スマートフォン需要の伸長鈍化を受けて数量ベースは緩やかな伸びになっている。2017年はスマートフォン需要の伸び悩みと小型カメラモジュールの単価下落の影響からマイナス成長となった。今後は、イメージセンサーやレンズユニットなどの構成デバイスの数が2倍となるデュアルカメラの普及が進み、その比率が高まることから平均単価は維持され、市場は微増推移が予想される。一方、顔認証やAR向けセンシングカメラモジュール市場の拡大が期待されるためカメラモジュールメーカー各社はセンシング用途に注力しつつある。 -
2. ディスプレイ
2017年 2022年予測 2017年比 5兆5,178億円 6兆609億円 109.8%
2017年はLCDが縮小したものの、「iPhone X」向けをはじめとしたOLEDが大幅に伸び、市場が拡大した。2018年はOLEDの普及がペースダウンしているものの、前年比1.2%増の5兆5,816億円が見込まれる。今後は2019年以降に、LG DisplayやBOE、Tianmaなど後発メーカーがOLEDの出荷数量を拡大させ、業界全体で単価の下落が進み、スマートフォンでの採用がさらに増加するとみられる。 -
■基地局関連の世界市場
1. 基地局
マクロセル基地局とスモールセル基地局を対象としている。
マクロセル基地局市場は、LTE向けの投資鈍化から縮小が予想される。5Gの導入時でも、LTE導入時のようにマクロセル基地局を大量に設置していくニーズは低いとみられる。これは2015年以降に設置された基地局のほとんどがソフトウェアのアップデートなどで5Gに対応可能であることや、5GはLTEと比較して高周波帯域を利用しており、特に、ミリ波帯は伝送距離が短くカバーエリアが狭いことなどが要因として挙げられる。現在、積極的に5Gのマクロセル基地局を設置する意向を示しているのは、LTEとは別にスタンドアロンで5Gのエリアを整備していこうとしている中国のみとなっている。多くのキャリアはLTE基地局のカバーエリアにアドオンセルとして高トラフィックエリアを中心にスモールセル基地局を点在して設置していく戦略をとっていくとみられる。各国が5Gを導入するにあたって高速・高効率小セルを実現するための本命手段となるスモールセル基地局の市場は、2022年に2017年の4倍程度まで拡大すると予想される。
ただし、日本のように光ファイバーの敷設率が非常に高い国・地域ではC−RAN(Centralized Radio Access Network)の光張り出し基地局と競合する可能性がある。C−RAN基地局は基地局自体が高コストであり、BBU(Base Band Unit)の設置スペースをとるものの、最大で100以上のRRH(Remote Radio Head)を収容でき、複数の基地局を統合管理できることから、ユーザー収容数やデータ処理効率などを上げられるとして注目されている。BBUからRRHの間を光ファイバーで接続しているため、ある程度インフラとして光ファイバーが敷設されている国・地域と親和性が高い基地局であり、欧州、米国、中国などでは実証実験も進んでいる。 -
2. 基地局向けキーデバイス
2017年 2022年予測 2017年比 1兆8,179億円 2兆7,198億円 149.6%
キーデバイス市場は基地局数の増加に比例して拡大する。その中の一つ、基地局用アンテナは多周波化が進み、1本で複数周波数を受信できる多周波アンテナがスタンダードとなりつつあるとともに、基地局側でのMIMO(Multiple Input Multiple Output)対応によりアンテナ自体の本数が増加し、大幅に伸長するとみられる。一方、5Gの超高速・大容量通信へ向けて期待されているMassive MIMOアンテナについては、高トラフィックエリアの中でもとりわけデータ量やアクセス数の多いエリアに限定的に採用され、緩やかに増加していくとみられる。また、BBUも基地局やC−RAN基地局の増加などに伴い、堅調に市場が拡大していくとみられる。基地局向けGaNパワーアンプは、特に、スモールセル基地局向けやMassive MIMO向けが増加するとみられ、市場規模は小さいが好調に拡大するとみられる。
内容の詳細につきましては『2018 次世代スマートフォンとキーデバイス市場の将来展望』をご覧ください。
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- 富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)