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『2018年 化粧品ケミカル材料の現状と将来展望』まとまる(2018/5/7発表 第18041号)

化粧品・トイレタリー向けのケミカル材料の国内市場を調査

  • UV防御材料 サンスクリーン以外の採用広がり、2021年93億円(17年比12.0%増)の予測
  • 防腐剤 パラベン縮小、フェノキシエタノール拡大も、防腐剤フリー化粧品は水性保湿剤BGで代用

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、材料ビジネスの中でも、ニッチながら付加価値の高い材料が多く、メーカーが安定して収益を上げられる分野として注目される化粧品・トイレタリー向けケミカル材料市場を調査した。
 その結果を「2018年 化粧品ケミカル材料の現状と将来展望」にまとめた。
 この調査では、界面活性剤9品目、油性成分11品目、水性保湿剤10品目、増粘・防腐剤6品目、高機能化材料9品目、計5分野45品目の市場を調査・分析し、今後を予想した。また、安全性評価における動物実験やマイクロプラスチックビーズの使用といった化粧品に関する規制動向など、化粧品・トイレタリーやケミカル材料の市場環境もとりまとめている。

調査結果の概要
化粧品・トイレタリー向けケミカル材料の国内市場
2018年 化粧品ケミカル材料の現状と将来展望:化粧品・トイレタリー向けケミカル材料の国内市場グラフ
 国内の人口減少や化粧品市場の成熟化などのマイナス要因があるなか、訪日外国人によるインバウンド需要、帰国後の越境ECでの購入などにより、化粧品・トイレタリーの需要は堅調である。それにともない化粧品・トイレタリー向けケミカル材料市場も拡大しており、2017年は2,500億円を突破した。
 アジアを中心にメイドインジャパンブランドが確立され、化粧品メーカーが生産量の拡大や国内工場を新設する動きがみられることや、化粧品は価格帯を問わず高機能化ニーズが高いことから、化粧品・トイレタリー向けケミカル材料市場は今後も拡大が続き、2021年に2017年比12.8%増の2,862億円が予測される。
 市場の半数以上を占める界面活性剤では低刺激ニーズが増加しており、アニオン界面活性剤ではスルホン酸塩から低刺激なカルボン酸塩やアミノ酸系などへのシフトがみられる。
 油性成分は植物由来原料ニーズが高く、水性保湿剤では美容成分や保湿性能が高 い材料へのニーズが顕著である。また、高機能化材料は、美白やUV防御、高輝度、光沢感、感触などさまざまな高機能ニーズが増加している。
 唯一、伸びが期待できない増粘・防腐剤は、防腐剤がパラベンフリー・防腐剤フリー化粧品のニーズの増加により需要低迷が予想される。
注目市場
UV防御材料(紫外線吸収剤・紫外線遮蔽剤)
2018年 化粧品ケミカル材料の現状と将来展望:UV防御材料(紫外線吸収剤・紫外線遮蔽剤)グラフ
 UV防御材料では紫外線吸収剤と紫外線遮蔽剤(UV−Aの遮蔽効果が高い酸化亜鉛、UV−Bの遮蔽効果が高い酸化チタン)を対象とする。紫外線吸収剤はUVカット力が高く、汗に強い一方で皮膚への刺激が若干強い。紫外線遮蔽剤は低刺激であるが、汗や皮脂に弱く崩れやすい。
 主な用途であるサンスクリーンでは、ミルクタイプは紫外線遮蔽剤を中心に、近年需要が伸びているジェルタイプやエアロゾルタイプは紫外線吸収剤を中心に使用される。しかし、酸化亜鉛がスラリー製品の開発によりジェルタイプでの採用も増加している。
 UV防御ニーズの高まりからサンスクリーンが伸びており、さらにはファンデーションや乳液などでも採用が広がっていることから、2021年のUV防御材料市場は2017年比12.0%増の93億円が予測される。
防腐剤(パラベン・フェノキシエタノール)
2018年 化粧品ケミカル材料の現状と将来展望:防腐剤(パラベン・フェノキシエタノール)グラフ
 パラベンは防腐剤の中で最も広く使用されるものであり、0.1%程度の低い含有量でも優れた防腐効果を発揮する。長年、化粧品の防腐剤として使用されてきたが、旧表示指定成分であることからくるマイナスイメージ、アレルギー症状を引き起こす懸念、欧州で環境ホルモンや発がん性物質である疑いが出たことなどもあり、パラベンフリー化粧品へのニーズが増加しており、市場は年々縮小している。現在の需要の中心は洗濯用合成洗剤や柔軟仕上げ剤などのファブリックケアやシャンプーなどである。
 フェノキシエタノールは、低刺激であり、パラベンについで防腐効果が高いため、パラベンからの切り替えにより市場が拡大している。また、パラベンの配合量を低減させるために、パラベンとフェノキシエタノールを組み合わせて使用するケースもある。パラベンフリー化粧品の増加などから今後も市場は拡大が予想されるが、防腐剤フリー化粧品のニーズの増加により伸びが鈍化する可能性も考えられる。
BG
2017年2021年予測2017年比
33億円35億円106.1%
 低刺激なアルコール系保湿剤として、幅広い用途で使用される。BG以外にもPGやPPGといった保湿成分があるが刺激が強く、低刺激かつ保湿機能に優れるBGがスキンケア用品などでは優位にある。
 アルコール類であることから補助的に抗菌機能も期待でき、防腐剤フリーのスキンケア用品などでパラベンやフェノキシエタノールの代わりに採用される。また、近年人気のフェイスマスクは水分が多く雑菌が発生しやすいため、抗菌機能のあるBGの需要が高まっている。
 なお、海外では中国での需要増加が顕著であり、日系メーカーを中心に生産能力を増強している。世界市場は2021年には114億円が予測される。
スクワラン
2017年2021年予測2017年比
31億円34億円109.7%
 日本が世界で初めて工業化した原料で、主にサメの肝油に水素を添加した製品である。サメ由来のほかにも、オリーブから抽出した植物由来スクワランや、サトウキビから合成したシュガースクワランなどがある。
 スキンケア用品で高機能保湿剤として使用されており、スクワランそのものを化粧水として展開するケースもあり、市場は拡大している。
 なお、海外では単価が低いシュガースクワランの需要が韓国で好調で、欧米ではアニマルフリーの観点からサメ由来を敬遠する傾向があり、オリーブ由来のスクワランが好まれている。世界市場は2021年に54億円が予測され、日本のウェイトが高い。
アニオン界面活性剤
2018年 化粧品ケミカル材料の現状と将来展望:アニオン界面活性剤グラフ
 アニオン界面活性剤のうち、硫酸エステル塩、アミノ酸系、スルホン酸塩、カルボン酸塩(アルキルエーテルカルボン酸塩)を対象とする。主な用途は洗濯用合成洗剤、シャンプー、ボディシャンプーなどである。
 硫酸エステル塩は、洗浄力が高く、低刺激であることから洗濯用合成洗剤やシャンプーなど化粧品・トイレタリー向けで幅広く使用される。
 現時点で硫酸エステル塩に次ぐ市場規模であるスルホン酸塩は、粉末洗剤向けが中心であることや、刺激が強すぎることから敬遠されており、市場は縮小している。
 アミノ酸系は、硫酸エステル塩よりもさらに低刺激であることや弱酸性で髪の毛がぱさつかないというメリットからシャンプーやボディシャンプーで使用されており、2019年ごろまで二桁増が続き、2020年には縮小が続くスルホン酸塩と規模が逆転するとみられる。
 カルボン酸塩は、低刺激であり成分の生分解性がよく環境親和性の高い材料である。ボディシャンプーやシャンプーで使用されておりアミノ酸系と競合するが、コスト面ではカルボン酸塩の方が優位であり、シャンプーでは特にサロン向けに強い。
内容の詳細につきましては『2018年 化粧品ケミカル材料の現状と将来展望』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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