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『ソフトウェアビジネス新市場 2018年版』まとまる(2018/7/30発表 第18066号)
デジタルマーケティング、コラボレーション、ミドルウェアの伸びが大きいソフトウェア(パッケージ/SaaS)の国内市場を調査
- ■2022年度のソフトウェアの国内市場予測(2017年度比)
- ■パッケージ:1兆938億円(21.3%増) SaaS:6,412億円(65.6%増)
SaaSが短期間/低初期コストでのシステム導入、APIによる他システム連携などの利点により伸びる- ■注目市場
- ■ビジネスチャット:230億円(3.7倍) 大企業の部門やプロジェクト単位での導入が増える
- ■RPAツール:315億円(3.8倍) 一社当たりのロボット導入数の増加で拡大が続く
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、新規製品の登場や機能拡張の進展などを背景に拡大が続くソフトウェア(パッケージ/SaaS)の国内市場を調査し、その結果を「ソフトウェアビジネス新市場 2018年版」にまとめた。政府が取り組む「働き方改革」に伴う「生産性向上」「柔軟な働き方」を実現するために「働き方の見える化」「自動化/自律化」「新たなコミュニケーション手段」などの必要性が高まっており、市場拡大を後押ししている。
この調査では、業務システム9品目、デジタルマーケティング6品目、情報分析3品目、コラボレーション11品目、ミドルウェア11品目、データベース2品目、運用・管理ツール3品目、基本ソフト5品目の各市場について現状を調査し、将来を予想した。
- ■調査結果の概要
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■ソフトウェアの国内市場(パッケージ/SaaS)
2017年度の市場は1兆2,891億円となった。内訳はパッケージが9,019億円、SaaSが3,871億円となっている。パッケージはカスタマイズ性の高さなどの利点により依然として構成比が高いものの、企業内のクラウドコンピューティングの利用が一般化してきているためSaaSの市場が急拡大している。
SaaSは、システムを短期間/低初期コストで導入できることや、APIにより他システムとの連携が容易であることなどにより導入が増えており、ソフトウェア市場の拡大をけん引している。特に、業務自動化やコミュニケーション効率化などを目的とした製品需要が増えており、中でも、パッケージからSaaSへと移行が進むグループウェア、新たなコミュニケーションの手段として導入が進むビジネスチャットなどのコラボレーションソフトウェア、また、顧客接点を強化するCRM(営業系)、マーケティングオートメーションなどが伸びている。
従来、基幹系システムの周辺システムのSaaS化が中心であったが、近年では、基幹系システムにおいてもSaaSを利用するケースが拡大している。また、SaaSを専門で提供するSaaS事業者が増えている。これらの要因によりSaaSの市場は今後も活性化が期待され、2022年度は2017年度比65.6%増の6,412億円が予測される。また、パッケージの市場も堅調に拡大するとみられ2022年度は2017年度比21.3%増の1兆938億円と予測される。 -
■ソフトウェアの国内市場(カテゴリー別)
各カテゴリーの伸びが予想されるが、中でもデジタルマーケティング、コラボレーション、ミドルウェアの伸びが期待される。
デジタルマーケティングは、市場規模の大きいCRM(営業系)が堅調である。今後、Webサイト、メッセージングアプリケーション、SNSなどを利用したマーケティングの取り組みがさらに強化されることによりCMS、ECサイト構築ツール、マーケティングオートメーションなどの需要が増えるとみられる。
コラボレーションは、コミュニケーション効率化や業務自動化を進める企業を中心にグループウェア、ビジネスチャット、ワークフローなどの導入が大きく伸びている。
ミドルウェアは、市場規模の大きいアプリケーションサーバー基盤やEDIツールなどの安定した需要に加え、API基盤を構築するAPI管理ツールや、定型化された業務の自動化を行うRPAツールの需要が増えている。
業務システムは、大手企業向けは独自開発システムからの移行や最新製品への更新により堅調である。中堅・中小企業向けはパッケージからSaaSへの移行や、新規のSaaS導入が増えており好調である。中でも、経費精算ソフトは、従業員や管理部門の間接業務削減効果が高く大幅に需要が増えている。
データベースは、業務システムでクラウドへの移行が進んでいるのに伴い、SaaSのデータベース需要が増加している。
基本ソフトは、デスクトップ仮想化ソフトが、「働き方改革」を支援するソリューションとしての需要や、「Windows 10」へのリプレースを契機としたデスクトップ環境再構築により導入が進んでいる。また、高速開発支援ツールは、アジャイル開発の浸透など短期間でのシステム開発対応のため採用が増えている。
運用・管理ツールは、運用管理ツール、ストレージ管理ツール、バックアップ管理ツールが、それぞれリプレース需要を中心に堅調である。
情報分析は、店舗や製造現場などの多様な場面で情報分析や情報可視化ニーズの高まりや、AI/機械学習との連携や組み込みによる製品の高機能化が進み、利用ユーザー層や利用場面が広がっているため、需要が増えている。 - ■注目市場
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■ビジネスチャット
2017年度 2022年度予測 2017年度比 SaaS 62億円 230億円 3.7倍
サービスの認知度向上やコミュニケーションツールとしての有効性が理解されたこと、また、「LINE」のビジネス版である「LINE WORKS」が高い認知度を背景に実績を伸ばしていることなどにより、市場は急速に拡大している。
現状は、中堅・中小企業で、手軽に利用できるコミュニケーションツールとして導入されることが多い。今後は、大企業で、メールと併用される形での導入が増えると予想され、部門やプロジェクト単位で導入が進むとみられる。また、現状は社員間での利用が中心であるが、今後は取引先や非正規社員とのコミュニケーションツールとしての利用も増えるとみられる。また、API公開により他システムと連携が可能であるため、ビジネスチャットを通した在庫確認など、業務システムと連携した利用も進むとみられる。 -
■RPAツール
2017年度 2022年度予測 2017年度比 パッケージ 84億円 315億円 3.8倍
RPAツールの認知度向上により、多くの企業で試験的な導入やスモールスタートでの導入が進んだため、2017年度の市場は大きく拡大した。今後、既に試験的に導入している企業の本格導入の進展や新規で導入する企業の増加とともに、一企業あたりのロボット導入数も増加するとみられ、2022年度の市場は2017年度比3.8倍の315億円が予測される。
現状は、ある程度定型化された業務の自動化が主体であるが、コグニティブ/AI技術を利用することで非定型業務などへRPA活用の幅が広がり、機能面の進化により多くの業務の自動化が期待される。一方、企業に大量のRPAツールが導入されるに伴い、今後はロボットの管理や統制が重要な課題になるとみられる。RPAツールは、実際の業務担当者がロボットの設定や変更を実施するケースが多く、プログラミングの知識がなくてもロボットの設定が行える機能などが必要になると想定される。
内容の詳細につきましては『ソフトウェアビジネス新市場 2018年版』をご覧ください。
- ■報道関係のお問い合わせは
- 富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)