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『2018 ネットワークセキュリティビジネス調査総覧(上下巻)』まとまる(2018/11/12発表 第18102号)
法人向けネットワークセキュリティ関連の国内市場を調査
- ■2022年度のネットワークセキュリティ関連の国内市場予測(2017年度比)
- ■セキュリティサービス:2,387億円(32.0%増) セキュリティ製品:3,348億円(25.8%増)
- クラウド利用/標的型攻撃の増加に伴うセキュリティリスク対応の需要が増加
- ■注目カテゴリー・市場
- ■Webセキュリティカテゴリー:537億円(46.7%増) クラウド利用の拡大に伴い需要増加
■EDR:123億円(2.4倍) ネットワーク内部に侵入した脅威への対応意識の高まりにより伸びる
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、OSに組み込まれたツールを利用したファイルレスマルウェアや、大手企業を中心に被害が拡大するビジネスメール詐欺、また、IoTデバイスの多様化や数量の増加による外部脅威のセキュリティリスクなど、進化するネットワークーク上の脅威への対応により需要増加が続く法人向けネットワークセキュリティサービス/セキュリティ製品の市場を調査し、その結果を「2018 ネットワークセキュリティビジネス調査総覧(上下巻)」にまとめた。
上巻の市場編では、セキュリティサービス16品目、セキュリティ製品26品目の各市場について現状を調査し、将来を予想した。下巻の企業編ではセキュリティソリューションプロバイダー26社、セキュリティツールベンダー24社の事例分析を行い、セキュリティソリューションビジネスの検証、分析を多角的に行った。
- ■調査結果の概要
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■ネットワークセキュリティ関連(セキュリティサービス/セキュリティ製品)の国内市場
2017年度のセキュリティサービス市場は前年度比9.5%増の1,809億円、セキュリティ製品市場は前年度比6.6%増の2,662億円となった。合計したネットワークセキュリティ関連市場は前年度比7.8%増の4,471億円となった。
セキュリティサービス市場は、ユーザー単独では人材不足から新たなセキュリティ対策の導入が困難なため、セキュリティベンダーによる運用・監視のアウトソーシングサービスを利用する傾向が強まっており、マネージドセキュリティサービス(MSS)の需要が増加している。
中でも、ファイアウォールから統合脅威管理製品(UTM)への移行に伴う運用負担の低減を目的とした統合セキュリティ監視サービスや、働き方改革の推進や「Windows10」への移行などを契機にデスクトップ環境仮想化を検討する企業の増加に伴い需要が高まるDaaSの伸びが予想され、市場拡大をけん引するとみられる。
超大手/大企業はネットワークセキュリティの強化として、トレーニングサービスや診断サービスの利用を進めている。また、中堅/中小企業では、セキュリティ製品の運用負担低減を目的としたセキュリティサービスの需要が高まっており、セキュリティサービスの伸びはセキュリティ製品を上回ると予想される。
セキュリティ製品市場は、端末管理・セキュリティツールやUTMを中心に導入が進んでおり拡大している。また、以前から導入されてきた標的型攻撃対策ツールやWebフィルタリングツールなどは、マルウェアなどの脅威への対応として、引き続き堅調な伸びが予想される。加えて、高度化を続けるネットワーク上の脅威に対し、マルウェアなどの侵入を前提としながら、エンドポイントでの検知や遮断、感染経路の調査ニーズの高まりから、EDR(Endpoint Detection and Response)の大幅な伸びが期待される。
一方、「Office 365」や「G Suite」などのクラウド型グループウェアがセキュリティ機能を搭載しているためセキュリティ製品と競合するケースが一部みられるが、現状では機能面での差別化が可能であることや、クラウド型グループウェアと連携可能である点を訴求する製品もあり、クラウド型グループウェアの普及がセキュリティ製品市場の拡大の一助となっている面もみられる。
今後の市場拡大要因として、IoTデバイスの普及に伴うセキュリティリスクの増加が挙げられる。ネットワークへ接続するIoTデバイスの多様化や数量の増加により外部脅威のセキュリティリスクが増えており、脅威情報の可視化や遮断といったニーズに加え、各種診断サービスやセキュリティ・オペレーション・センター(SOC)を活用した監視サービスの需要がIoTセキュリティ対策として高まっている。今後もネットワークセキュリティ関連市場は堅調に拡大するとみられ、2022年度には2017年度比28.3%増の5,735億円が予想される。
また、2017年度のSI/NI市場は14兆4,000億円であり、その内ネットワークセキュリティ関連市場は3.1%を占めるが、構成比は今後拡大し2022年度には3.6%になるとみられる。 -
■カテゴリー別市場
カテゴリー別にみると、2017年度はゲートウェイセキュリティが44.0%を占めた。ウイルス監視サービスやファイアウォール/VPN/UTM関連製品など、ネットワークセキュリティ関連市場の黎明期から継続的に導入が続いているサービスや製品が中心である。また、近年大規模化が進むDDoS攻撃への対策サービス/製品や、多段的な防御を実現する統合セキュリティ監視サービスの需要も増加しており、ゲートウェイセキュリティの市場は今後も堅調に拡大するとみられる。
2017年度から2022年度にかけて年平均成長率が最も高いカテゴリーは、クラウド利用の拡大に伴い需要が増加しているWebセキュリティと予想される。既に広く普及しているWebセキュリティアプライアンスなどが堅調に伸びるほか、SaaS型製品が好調なWebアプリケーションファイアウォール、クラウドサービス基盤のセキュリティ強化に活用する脆弱性検査サービスやセキュリティ検査ツールなどの伸びが期待される。
また、端末セキュリティも堅調な市場拡大が期待され、2022年度には1,236億円が予測される。テレワークなど社内システムへのアクセス環境の変化が進むため、リモートアクセスやクラウドサービスの利用拡大が想定され、企業が管理する端末数が増加することから端末セキュリティの需要増加が予想される。特に、EDRやモバイルセキュリティ管理ツール、標的型攻撃対策ツール(エンドポイント型)などは年平均成長率10%を超える大幅な伸びが期待される。 - ■注目市場
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■EDR
2017年度 2022年度予測 2017年度比 51億円 123億円 2.4倍
経済産業省の提唱する「サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver2.0」の影響で、侵入前に脅威を検知、駆除するだけでなく、脅威がネットワーク内部に侵入した際の対処を重視する考え方が広まったことにより、EDRの認知度が飛躍的に向上し、管理端末数が数万以上の超大手企業向けの需要が急増し、2017年度の市場は前年度比2.7倍の51億円となった。
2018年度も引き続き需要は増加しており、従業員数が数万名クラスの超大手企業を中心に導入が進むとみられる。今後は単純な製品販売だけでなく大手SI/セキュリティベンダーがMSSと合わせて提供するケースが増加していくとみられる。EDRは一般的なユーザーでは運用レベルが高く、確実な運用には外部への運用委託が必要なため、MSSパートナーが自社のクラウド基盤などと連携させたサービス展開に注力している。SIEMやフォレンジックツールなど他のセキュリティツールとの連携も進んでおり、今後統合的なセキュリティ対策としてEDRを導入するケースが増えるとみられる。
内容の詳細につきましてはこちらのページ(上巻、下巻)をご覧ください。
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- 富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)