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『2019年 発泡プラスチックスの現状と将来展望』まとまる(2018/11/26発表 第18106号)

建築資材での断熱材としての堅調な需要、自動車の軽量化を目的とした採用増加で拡大が期待される発泡プラスチックス市場を調査

2022年予測
発泡プラスチックス34品目の国内市場 6,948億円
熱可塑性樹脂フォーム、中でもPP(PP架橋/無架橋押出、PPビーズ発泡)の伸びが大きい
規模の大きい建築資材用途、自動車用途の伸びが拡大をけん引。食品包装関連用途の伸びにも期待
注目市場
硬質ウレタンフォーム 557億円 高度な断熱性能などにより採用が増加

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、近年、建築資材用途で省エネ基準適合化による断熱材需要の増加、自動車用途では軽量化ニーズの高まりから金属や樹脂代替として使用が増えている発泡プラスチックスの市場を調査し、その結果を「2019年 発泡プラスチックスの現状と将来展望」にまとめた。
 この調査では、熱可塑性樹脂フォーム21品目、熱硬化性樹脂フォーム3品目、発泡ゴム・エラストマー5品目、エンプラ・その他注目フォーム5品目の34品目の市場について現状を調査し、将来を予想した。また、競合材料など6品目の市場動向についても捉えている。

調査結果の概要
発泡プラスチックス34品目の国内市場
2019年 発泡プラスチックスの現状と将来展望:発泡プラスチックス34品目の国内市場グラフ
棒グラフは金額、折れ線グラフは数量
 規模の大きい熱可塑性樹脂フォームや熱硬化性樹脂フォームの伸びにけん引され、市場は拡大している。2018年の市場は、各分野の需要増加に加え、熱硬化性樹脂フォームの原料価格高騰に伴う単価上昇の影響もあり、前年比8.1%増の6,604億円が見込まれる。
 2019年は消費税増税前の駆け込み需要が期待される住宅の断熱材や、東京五輪に向けて建設が進むホテルなどを中心とした非住宅の断熱材の需要増加がけん引するとみられ、市場拡大が予想される。2020年以降、伸び率は鈍化するとみられるが、建築資材用途の堅調な需要や、軽量化のための自動車関連用途などの伸びが期待され、2022年の市場は2017年比13.7%増の6,948億円が予測される。中でも、熱可塑性樹脂フォームでは自動車関連用途の使用が増加するPP架橋押出やPPビーズ発泡、また、熱硬化樹脂フォームでは断熱材として使用されるフェノールフォームや硬質ウレタンフォームなどの需要増加が期待される。
用途別市場
2019年 発泡プラスチックスの現状と将来展望:用途別市場グラフ  2017年の用途別市場をみると、建築資材用途の構成比が35.3%で最も大きい。自動車関連用途も29.6%と高く、今後も市場拡大をけん引するとみられる。また、数量ベースでは食品包装関連用途の構成比が高い。
 建築資材
 断熱材や壁紙向けが多い。それらは戸建て住宅での使用が多く、近年は断熱材の需要が増加しているため、大きく伸びている。2019年は消費増税の影響による住宅の駆け込み購入が、建築資材用途の伸びに寄与するとみられる。2020年以降も断熱材の需要は堅調なため2,500億円前後で推移するとみられる。
 品目別では、特に断熱材で使用されるXPS(高発泡)や硬質ウレタンフォームの伸びが期待される。
 自動車関連
 シートクッションやウェザーストリップなどで標準的に発泡プラスチックが採用されている。近年は軽量化を目的に金属や樹脂(ソリッド)の代替として、バンパー芯材やエンジンルーム、車室内のさまざまな個所の吸音材などで採用が増えており、今後の需要増加が期待される。
 品目別では、内装材として軽量化を実現するPP無架橋押出やPP架橋押出、吸音材として使用されるLDPE架橋ブロック、軟質ウレタンフォームなどの需要増加が予想される。また、吸収・クッション材として使用されるPPビーズ発泡(EPP)、PE・PS複合ビーズ発泡は、軽量化や安全性が評価されシートコア材としての需要が増えるとみられる。
 食品包装関連
 食品容器や魚箱などでの使用が多い。中食市場の拡大に伴う容器包装やその種類の増加により、需要が増加している。特に、レンジアップ対応食品容器の需要増加が市場拡大に寄与している。
 品目別では、PSPやPSビーズ発泡(EPS)などが多く使用されている。
 搬送資材
 電子機器や電気・電子部品、自動車部品、一般梱包物などの緩衝材として広く使用されている。需要はこれらの生産動向に影響を受けるが、2022年まで毎年1.0%前後の伸びが予想される。
 品目別では、LDPE無架橋押出シート・ボードやPSビーズ発泡(EPS)が中心である。
 工業資材、土木資材、その他
 工業資材用途は、自販機、業務用冷蔵庫、冷凍車、エアコンなどの業務用断熱材を中心に、パイプカバーやシール材など堅調な需要が期待される。
 土木資材用途は、軽量盛土材や目地材・バックアップ材向けを中心に、公共事業への投資が堅調な状況もあり、引き続き安定した需要が予想される。
 その他用途は、寝具・家具などのクッション材や、各種雑貨、スポーツ用品、ボトル容器のパッキン材など、幅広く発泡プラスチックスが使用されている。
注目市場
建築用断熱材で使用される3品目の国内市場(XPS(高発泡)、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォーム)
2019年 発泡プラスチックスの現状と将来展望:建築用断熱材で使用される3品目の国内市場グラフ
 建築物用断熱材で使用される品目から、注目されるXPS(高発泡)、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォームを取り上げる。
 XPS(高発泡)は、原料となるPS樹脂に発泡剤、難燃剤などを加え押出発泡成形した製品である。2020年の東京五輪を控え、ホテルなどの非住宅向けの需要が好調である。2018年は原料高騰の影響から各メーカーによる値上げが行われたこともあり、市場は前年比3.7%増の582億円が見込まれる。東京五輪後は非住宅向けの需要は落ち着くものの、ZEH対策などから住宅向けの需要増加が期待される。
 硬質ウレタンフォームは現場発泡が可能な唯一の発泡プラスチック断熱材であり、断熱性能の高さなどから、近年競合品であるグラスウールなどから代替需要を獲得している。住宅用断熱材としての堅調な需要に加えて、東京五輪を控えて建設が続くホテル向け、また、倉庫や畜舎・鶏舎向けで需要が増えている。2018年の市場は原料価格の高騰による15%程度の値上げが予想されることもあり、30%以上の伸びが見込まれる。2019年以降も堅調な需要が期待され、市場は550億円前後で推移するとみられる。
 フェノールフォームは熱伝導率が低く断熱性能が高いため、断熱性能が同等でも他の断熱材よりも厚みを薄くできる利点がある。また、経年劣化が少なく、難燃性という特徴がある。2018年は新築着工件数が低迷しているものの、断熱材の厚手化により使用量が増えており数量ベースでは横ばい、金額ベースでは単価の上昇もあり前年比4.7%増の377億円が見込まれる。2019年は増税前の駆け込み需要で伸びるとみられる。2020年以降、新築着工件数は減少するものの、建築物省エネ法による建築物1件当たりの使用量増加や、産業向けや自動車関連用途での需要増加が期待される。
内容の詳細につきましては『2019年 発泡プラスチックスの現状と将来展望』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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