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『2019年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望(上巻)』まとまる(2019/4/26発表 第19030号)

5G、IoT、自動運転などの進展で採用増 エレクトロニクス分野の機能性高分子フィルムの世界市場2022年に3兆645億円の予測

2022年予測
背面板(スマートフォン用樹脂製背面パネル)市場は208億円(2017年比3.6倍)
ワイヤレス充電普及、5G対応で背面板が金属から樹脂に移行し、拡大

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、5G、IoT、自動運転などの技術に対応する製品や部品に採用されることで拡大が期待される機能性高分子フィルムの世界市場を調査した。
 その結果を「2019年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望(上巻)エレクトロニクスフィルム編」にまとめた。この調査では機能性高分子フィルムのうち、ディスプレイや半導体、実装分野に使用されるエレクトロニクスフィルムを対象とした。
機能性高分子フィルム:表面処理や多層化加工、フィラーの添加、ハイブリッド化などで機能を付与したフィルム。

注目市場
5G関連で急拡大が期待される市場
 背面板(スマートフォン用樹脂製背面パネル)、高周波対応FPC用フィルム、非電導性接着フィルム(NCF)
2019年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望(上巻):背面板(スマートフォン用樹脂製背面パネル)、高周波対応FPC用フィルム市場規模推移グラフ
 背面板(スマートフォン用樹脂製背面パネル)の市場は2017年から拡大している。これは、近年スマートフォンで普及しているワイヤレス充電が金属の筐体ではできないため、金属の採用が多いローエンドからミドルレンジのスマートフォンにおいて背面板の樹脂化が進んでいることがあげられる。また、5Gでは金属の筐体が電波に干渉する可能性があることから、2019年以降は5G対応としても背面板の需要の伸びが予想され、2023年頃までにローエンドからミドルレンジのスマートフォンの大半で背面板が樹脂化するとみられる。
 高周波対応FPC(フレキシブルプリント配線板)用フィルムは高周波通信に対応したベースフィルムであり、展開されているLCPフィルムに加え、低誘電PIフィルムの開発が進んでいる。LCPフィルムの需要はスマートフォンに搭載されるWi−Fiアンテナなどの需要が好調である。また、現在多くのスマートフォンで採用されるPIベースのFPC用フィルムは、5Gの高周波(25GHz帯以上のミリ波)に対応できないとみられており、代わりにLCPフィルムの採用増加が期待される。現在開発中の低誘電PIフィルムは2020年頃から量産化され採用が広がるとみられる。
 ICチップの電極面と回路面を接着する絶縁フィルムの非電導性接着フィルム(NCF)は、アンダーフィルやTSV(Through Silicon Via)のウェハーの接着剤として使用される。TSVは高価格であるが、5G対応製品向けで処理速度の高速化が求められることから、2019年から2020年頃には採用が本格化し、これに伴い非電導性接着フィルムの市場は拡大していき、2022年には2017年比3.5倍の1.4億円が予測される。
 5Gは、高速・大容量通信を実現する次世代通信方式であり、2019年には運用開始や対応スマートフォンの製品化が予想される。5Gでは高周波帯を利用するため、スマートフォンをはじめとする対応製品に搭載される基板やFPCに用いる部材なども高周波・低誘電が求められている。また基地局、アンテナ、サーバー・通信機器の5G対応に伴う設備更新による需要増加も予想される。
 背面板、高周波対応FPC用フィルム、非電導性接着フィルムのほかにも、ドライフィルムレジストや放熱シート・フェイズチェンジシート、グラファイトシートなどの拡大が期待される。
調査結果の概要
エレクトロニクス分野の機能性高分子フィルムの世界市場
 2018年見込2017年比2022年予測2017年比
ディスプレイLCD1兆8,281億円100.5%1兆8,801億円103.3%
OLED599億円117.5%1,419億円2.8倍
タッチパネル1,520億円99.7%1,633億円107.1%
半導体・実装半導体475億円102.2%553億円118.9%
実装4,088億円99.7%4,599億円112.1%
その他2,802億円105.9%3,639億円137.5%
合計2兆7,765億円101.2%3兆645億円111.7%
 ディスプレイ分野における機能性高分子フィルムの市場は、2016年から2018年にかけてLCDやタッチパネルの単価の下落や、ディスプレイ製品の販売台数の停滞により緩やかな拡大にとどまっている。しかし、2022年に向けてはフォルダブルスマートフォンや4K-TVなど新たな製品の登場や、画面の大型化が進むことでディスプレイの需要が増加し、関連するフィルムの市場拡大が予想される。特に、市場は小さいながらもOLED関連フィルムはパネル製造ラインの立ち上がりやディスプレイの販売増加により拡大が期待される。
 半導体・実装分野における機能性高分子フィルムの市場は、NANDフラッシュメモリーの3D化や大量生産・低コスト化が可能なパネル型半導体パッケージFan−Out WLPの市場本格化による拡大が予想される。また、半導体、実装関連フィルムは、IoTや自動運転の技術の進展により半導体やFPCなどが搭載されるセンサーや機器、システムの需要増加による拡大が期待されるほか、その他関連フィルムは5G通信の実用化に伴う高周波対応ニーズ、自動運転などで放熱・電磁波対策ニーズの増加に伴う拡大が予想される。
内容の詳細につきましては『2019年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望(上巻)』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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