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『2019 人工知能ビジネス総調査』まとまる(2019/6/7発表 第19039号)

本格的な導入が進む国内のAI(人工知能)ビジネス市場を調査

2030年度市場予測(2017年度比)
AIビジネス市場 2兆1,286億円(5.4倍) 幅広い業種でAIの導入が進み市場拡大
注目市場
AI-OCR 32億円(16.0倍) 業務効率化ニーズの高まりによって市場拡大

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、労働生産性の向上が国内の経済規模を維持するための課題となっており、この課題を解決するための手段として注目を集めているAI(人工知能)の関連市場を調査した。
 その結果を「2019 人工知能ビジネス総調査」にまとめた。
 この調査ではAIを活用した分析サービスをはじめ、AI環境を構築するためのコンサルティングやSI(システムインテグレーション)、AI環境を支えるアプリケーションやプラットフォームといったAI関連ソリューションをAIビジネスとし、その市場を調査・分析した。AIビジネス市場の業種別動向や、AI活用が期待される4つの注目市場、機器に組み込まれるエッジAIコンピューティングの動向、AIビジネス参入企業の動向を把握するなど総合的に捉え、AIビジネス市場の将来を展望した。

調査結果の概要
AIビジネスの国内市場
2019 人工知能ビジネス総調査:AIビジネスの国内市場グラフ
 2018年度の市場は、5,301億円が見込まれる。現状は、実証実験(PoC)が中心となるものの金融業や製造業などでAIの本格的な導入が進み、市場は拡大している。今後は金融業や製造業だけではなく、さまざまな業種でAIが導入されることが予想され、市場の拡大とともにAIネイティブ化も進むとみられる。
 サービスは構築サービスが大半を占め、その内のSIを中心に拡大している。また、構築したAI環境を長期的にサポートするために運用・保守が伸びている。AIを効率的に運用するには、定期的な再学習、メンテナンス、アルゴリズムの変更などが必要となることから、今後は運用・保守の全体市場に占める比率が高まっていくとみられる。
 アプリケーションは、AI搭載製品とアナリティクス関連製品(データマイニング/テキストマイニング)が対象であり、AI搭載製品が労働人口の減少が予想される国内労働環境を背景に需要増となっている。今後は高付加価値化の手段の一つとしてAIが活用され、ソフトウェアやクラウドにAIの搭載が進むとみられる。特に、デジタルマーケティング分野などにおいて活用が進むと予想される。
 プラットフォームは、自社で機械学習エンジニアやデータサイエンティストを抱えることが困難な企業において、AIを容易に活用できることが評価され市場が拡大している。ただし、学習データが不足し想定よりも精度が低い場合もあり、今後は追加学習可能なカスタムAPIが拡大していくとみられる。
業種別動向
 2018年度見込2030年度予測
金融業1,446億円4,529億円
プロセス製造業504億円1,980億円
組立製造業757億円2,616億円
医療/介護業174億円1,093億円
 金融業は、社内にさまざまなデータが蓄積されていることから、こうしたデータを活用するAIへの取り組みが早期から行われてきた。コンタクトセンターを中心にAIが活用されており、地銀や証券、保険業などへの導入が進んでいる。今後はチャットボットの活用や与信/融資審査や株価予測でAIの活用が進むとみられる。
 プロセス製造業は、製造装置やロボットに設置したセンサーから得られるデータを工場内のエッジサーバーで収集・分析し、異常検知/機器制御する工場内管理でAIの活用が進んでいる。注目が高まっているプラント管理は、プラント内の部分適用は進んでいるが、全体の稼働管理は実証実験段階となっている。将来的には、プラント自体の企画・設計から施工、運転・メンテナンスと幅広くAIの活用が期待される。
 組立製造業は、今後の伸びが期待される。特に成長が期待できる用途として工場内管理や機器稼働管理が挙げられる。工場内管理は、自動車や一般機械、電気機械などの工場において、IoTやAIを活用したスマートファクトリー化が進められている。機器稼働管理は、建設機械、農業機械、工作機械などにおいて、自社製品の稼働状況を監視し、稼働に応じて課金するといった「モノのサービス化」が進むことによって、伸びるとみられる。
 医療/介護業は、業務効率化を目的としたAIの活用が進んでおり、医療業は画像分析や診断支援といった医師のサポート、介護業はコミュニケーションロボットによる従業員不足への対応が行われている。今後は、医療業では、業務負担の軽減や医療診断の高度化などを目的に技術開発が進むことでAIの精度が向上し、活用が進むとみられる。介護業では、ケアプランの提案をするAIやAIが組み込まれた監視カメラの導入が進むとみられる。
エッジAIコンピューティング市場
2018年度見込2030年度予測
110億円664億円
 エッジAIコンピューティング市場は、産業機器向けと民生機器向けの市場に分類される。産業機器は、主に製造現場に設置されているFA機器や建設現場での建設機械、倉庫における物流機器などが挙げられ、こうした機器にAIを搭載して、機器制御や最適化、熟練工の技術継承などを行っていく実証実験が進められている。民生機器はモバイル機器であり、これらにAIを搭載して被写体を自動認識するなど、カメラ/画像認識で実装が進んでいる。産業機器向けに比べデバイス数が多いため、民生機器市場は2021年度以降、急速に拡大するとみられる。
注目市場
AI-OCR
2018年度見込2030年度予測
7億円32億円
 クラウドで提供されているAI-OCRソリューションを対象とする。OCRとは文書データに記載されている文字を読み取り、テキストデータに変換するものである。AIを活用することで、従来のOCRと比較し高性能かつ識字率の向上を実現している。
 サーバーの購入や運用/管理コストといった導入障壁がなく、低コストで導入できることに加え、非定型対応や高度なノイズ除去機能などを有しているため、業務効率化ニーズが高まっている中堅/中小企業のほか、多種多様な帳票を扱う企業で新規導入が進み市場は拡大している。AI-OCRとRPAを併せた一元的な業務効率化ニーズが高まっているため、今後も継続的な市場拡大が期待される。
カンバセーションAI
2018年度見込2030年度予測
84億円293億円
 カンバセーションAIとは、対話エンジン、AI-FAQシステムをベースとしてビジネスユーザー向けに、Webやチャット、自動車やロボットなどのIoTデバイスで音声対話、テキスト対話ができるものである。
 市場は、この環境を構築するためのコンサルティング、導入支援、システムインテグレーション、運用・保守を対象とする。
 市場は、チャットボットによるカスタマーサポートと社内業務支援を中心に拡大している。カスタマーサポートは、一般コンシューマーからの電話やメールによる問い合わせ対応業務の軽減、精度の高い回答による顧客満足度の向上を目的に、コンシューマー向けサービスを提供している事業者で導入が今後も拡大していくとみられる。また、問い合わせを電話で行うユーザーもまだ多いため、今後は音声をインターフェースとしたより高度な対話環境の構築が進んでいくとみられる。社内業務支援は、外回りの多い営業要員を抱えている企業における社内問い合わせや、情報システム部門、経理部門、総務部門で社内ヘルプデスク業務をチャットボットで代行させるといった取り組みが進んでいる。
内容の詳細につきましては『2019 人工知能ビジネス総調査』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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