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『2019 クラウドコンピューティングの現状と将来展望(上巻)』まとまる(2019/7/12発表 第19050号)
急成長を遂げているパブリッククラウドの国内市場を調査
- ■2022年度予測(2017年度比)
- ■パブリッククラウド市場 1兆7,181億円(2.1倍)
デジタルトランスフォーメーションの実現に向けパブリッククラウドの活用が進み拡大
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 田中 一志03-3664-5839)は、エンタープライズトランスフォーメーション領域およびデジタルトランスフォーメーション領域において必要不可欠な基盤として位置付けられているパブリッククラウドの市場を調査した。
その結果を「2019 クラウドコンピューティングの現状と将来展望《上巻:ユーザーアンケート分析、クラウド市場編》」にまとめた。
この調査ではパブリッククラウド(SaaS(業種汎用型/業種特化型)、DaaS、IaaS/PaaS(仮想共有型/仮想専有型、物理専有型))の市場調査に加え、ホスティング、共同利用サービスの市場調査、インターネットリサーチによるユーザー調査によりメガクラウドサービスの現状を分析し、将来を予測した。また、「下巻:クラウドベンダー編」では、メガクラウドベンダー3社、外資系ベンダー3社、コンピューターベンダー3社、SIベンダー6社、キャリア/サービスプロバイダー7社、CIベンダー13社のビジネス実績や戦略などを分析した。
- ■調査結果の概要
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■パブリッククラウド(SaaS、DaaS、IaaS、PaaS)の国内市場
パブリッククラウド活用は一般化し、オンプレミス環境からの移行によって市場は急速に拡大している。今後は、オンプレミス環境からの移行だけではなく、デジタルトランスフォーメーションの実現を目的としたパブリッククラウドの活用が進むとみられ、2022年度の市場は1兆7,181億円が予測される。
パブリッククラウド市場をカテゴリー別にみると、これまではSaaS(業種汎用型/業種特化型)の伸びが著しかったが、今後はIaaS/PaaS(仮想共有型/仮想専有型、物理専有型)の伸びが期待される。IaaS/PaaSは、基幹系システムや情報系システムをオンプレミスからクラウドへ移行させたいというニーズが高まっているため好調である。今後は、デジタルトランスフォーメーションの実現に向け、AI/機械学習やIoT、データ分析基盤用途が伸びるとみられる。
SaaSは、低価格で導入できる点やインターネット回線があればエリアを問わず利用できる利便性、管理者の運用負担が少ない点などが評価され、中堅、中小企業を中心に導入が進み伸びている。近年は、大企業においてもクラウド活用が一般化していることから導入が進んでいる。今後は、基幹系システムやセキュリティ系システムにおいてスクラッチやパッケージからSaaSへの移行に加え、製造業や医療業などで運用管理負担やコストの低減を目的にSaaS導入の進展が期待されることから、伸びるとみられる。
DaaSは、これまでセキュリティ強化や端末の運用管理負担の低減などが新規導入目的の中心であったが、近年、働き方改革の機運の高まりを受け、どこでも、どんなデバイスからでも働くことができる業務環境の実現を目的とした導入が進み伸びている。今後は、「Windows 7」のサポート終了による移行が活発化していき、このOS移行を契機にデスクトップ環境を見直す企業が増加するとみられ、伸びが予想される。 - ■注目市場
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■IaaS/PaaS(ベンダーカテゴリー別)の国内市場
2018年度見込 2022年度予測 メガクラウドベンダー※ 2,569億円 5,952億円 外資系ベンダー 984億円 2,065億円 国産コンピューター/SIベンダー/CIベンダー 2,246億円 4,579億円 国産キャリア/サービスプロバイダー 721億円 1,448億円 合計 6,519億円 1兆4,043億円
※市場はクラウドインテグレーション(コンサルティング/導入支援、運用サービス)を含む -
IaaS/PaaS市場は、メガクラウドベンダーがけん引している。メガクラウドベンダーは、国内でも多数の企業が採用していることから伸びている。また、豊富なサービスラインアップに加えグローバルなニーズに合わせたサービスの拡充を進めていることから、今後のさらなる成長が期待される。
外資系ベンダーでは、自社クラウドを提供しているベンダーはPaaSが中心となっている企業が多い。自社クラウドを有していないベンダーは、外資系コンサルティング会社が中心となってクラウド関連案件のコンサルティング/導入支援を行っているケースが多い。
国産コンピューター/SIベンダー/CIベンダーは、オンプレミス環境下における豊富な基幹系システム構築実績などインテグレーションにおける信頼性が高い点や、マルチクラウド対応などユーザーニーズに合わせた他社クラウド導入も対応可能な点が支持を得て伸びている。
国産キャリア/サービスプロバイダーは、自社の中核事業である通信/ネットワークサービスの付加価値向上を目的にクラウドサービスを展開している。クラウドサービス自体がビジネスの中心となるケースは少なく、リソース提供が主になっている。 -
■IaaS/PaaS(リソースタイプ別)の国内市場
2018年度見込 2022年度予測 仮想共有型/仮想専有型IaaS/PaaS 5,509億円 1兆1,429億円 物理専有型IaaS/PaaS 1,011億円 2,615億円 合計 6,519億円 1兆4,043億円 -
リソースタイプ別は、メガクラウドベンダーが中心となって提供している仮想共有型/仮想専有型IaaS/PaaSの利用が先行しており、同サービスが市場の大半を占めている。ソーシャルゲームプラットフォームをはじめとしたサービスプロバイダー向けの基盤としての導入が先行していたが、近年はエンドユーザー向けの基盤としても利用が進んでいる。
物理専有型IaaS/PaaSは、仮想共有型/仮想専有型IaaS/PaaSでは対応できないシステムの基盤として注目されており、伸びている。従来は外資系ベンダーやコンピューターベンダーが中心となり提供を進めていたが、ニーズ拡大に伴いメガクラウドベンダーも提供を開始したほか、キャリア/サービスプロバイダーにおいても一部注力しているベンダーが登場しており、今後好調に伸びていくとみられる。
内容の詳細につきましては『2019 クラウドコンピューティングの現状と将来展望(上巻)』をご覧ください。
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