プレスリリースPress Releases
『キャッシュレス/コンタクトレス決済関連市場調査要覧 2019』まとまる(2019/9/9発表 第19073号)
マルチペイメント化で利便性の向上につながるキャッシュレス決済市場を調査
- ■2025年市場予測
- ■QR/バーコード決済 7兆4,000億円(2018年比77.9倍)
- サービスや利用可能場所の増加により大幅増
- ■キャッシュレス決済 165兆1,063億円
- キャッシュレス比率は50.8%
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、QRコードを利用する決済サービスへの新規参入が急増し、現金に代わる手段として社会的な関心が高まっているキャッシュレス決済やこれを可能とする決済プラットフォームなどの国内市場を調査した。その結果を「キャッシュレス/コンタクトレス決済関連市場調査要覧 2019」にまとめた。
日本は治安の良さや偽札の流通が少ないことなどから、諸外国と比較しキャッシュレス化が進んでいなかった。しかし、訪日外国人旅行者の増加や、東京五輪開催を控え政府はキャッシュレス化を推進している。
消費税増税後から2020年6月までの9カ月間「キャッシュレス・消費者還元事業」によりキャッシュレス手段を使った決済に対するポイント還元や決済時の加盟店手数料の一部補助が実施されることから、消費者・事業者双方のキャッシュレス化の進展が期待される。また、改正割賦販売法によって2020年3月までにICカード対応決済端末の設置が義務化されるなど、安全/安心なクレジットカードの利用環境の実現に向け進んでおり、キャッシュレス決済が根付く好機が続いている。
- ■注目市場
-
■ウォレット機能利用決済、QR/バーコード決済市場
※QR/バーコード決済は全体の内数
ウォレット機能を利用した決済であるオンライン決済、携帯キャリア決済、モバイル決済(ウォレット型)、QR/バーコード決済を対象とし、市場は決済金額ベースとする。カード情報をトークン化し加盟店にカード情報を伝えずに決済が可能で、セキュリティ面での安心感や、一度登録するとカード情報入力の手間が省けるメリットから利用者が増加している。
QR/バーコード決済は、中国で先行して普及したサービス「Alipay」「WeChat Pay」が日本国内でも2017年以降徐々に浸透していることに加え、「Origami Pay」「LINE Pay」を皮切りに国内事業者も相次いでサービスを開始し、利用者拡大施策として大規模なキャッシュバックキャンペーンを行ったことで認知度が向上し、2018年に急速に市場が拡大した。2019年は携帯電話キャリアやコンビニエンスストアがサービスを開始したことで引き続き拡大が見込まれる。サービスや利用可能場所の増加に伴い2025年にかけて大幅な拡大が予想されるが、参入が相次ぎ規格が乱立している状況であることから事業者の淘汰などが想定される。また、規格の共通化や加盟店の開拓などの事業者間の連携が加速していくとみられる。
ウォレット機能利用決済全体としては、現状オンライン決済と携帯キャリア決済がネットでの決済を中心に利用されており、これらは堅調な拡大が予想される。今後はリアル店舗での決済でQR/バーコード決済が増加していき、全体をけん引するとみられる。 -
■無人化/省人化店舗関連決済システム
飲食店舗や物販店舗において人手不足が進む中、店舗の決済を自動もしくは利用客自身で行う次世代店舗の開発が進められている。決済方法については防犯やオペレーション処理といった観点からキャッシュレス化が必須になるとみられる。
バーコードの読み取りを店員が行い、決済は精算機で来店客が行うセミセルフレジは会計の迅速化が実証されつつあることから急速に普及が進んでいる。フルセルフレジは、来店客のバーコードスキャンの速度に差があり、会計の迅速化が現状では難しいことから伸び悩んでいるが、将来的にはRFIDを活用し商品の一括スキャンが可能になることで伸びが期待される。
レジカートはスキャン機能や決済機能を一体化させたショッピングカートであり、来店客がカートに商品を入れる際にスキャンを行う。先進的な取り組みをするスーパーマーケットで導入が始まりつつあり、今後フルセルフレジと併せて導入することで会計場所の分散化、会計待ち時間の短縮、会計の迅速化が可能になるとみられる。 - ■調査結果の概要
-
■キャッシュレス決済市場
2019年見込 2018年比 2025年予測 2018年比 全体 88兆2,539億円 114.2% 165兆1,063億円 2.1倍 クレジットカード 76兆円 115.0% 144兆円 2.2倍 電子マネー 6兆5,460億円 104.9% 8兆6,210億円 138.2%
クレジットカード決済、デビットカード決済、プリペイドカード決済、電子マネー決済、ポイントサービスなど民間決済で最終決済手段となるキャッシュレス決済を対象とし、市場は決済金額ベースとする。
市場の85%以上をクレジットカードが占めている。リアル店舗でのQR/バーコード決済、ネットでのオンライン決済などウォレット機能を利用した決済の増加により最終決済手段として登録されたクレジットカードの利用が増加している。今後もウォレット機能利用決済は伸び、クレジットカード市場も拡大が予想され、キャッシュレス決済に占めるクレジットカードの割合も高まるとみられる。
次に規模が大きいのは電子マネーである。非接触式ICチップをインターフェースとして利用するコンタクトレス決済であり、プリペイド式の安心感や非与信で若年層や主婦層でも気軽に利用できること、決済端末にかざすだけという決済の迅速さ、交通系・流通系電子マネーを中心とした利用可能場所の増加により好調である。特に少額決済において需要が高く、現状ではカードタイプが多いが残高管理のしやすさなどからスマートフォンを利用したモバイル決済の比率が高まっていくとみられる。
なお、家計最終消費支出全体におけるキャッシュレス決済の比率は2018年に25.5%となった。2019年は28.9%、2025年には50.8%となり、経済産業省が公表した「キャッシュレス・ビジョン」で目指す2025年にキャッシュレス化40%は達成するとみられる。 -
■決済関連市場
2019年見込 2018年比 2025年予測 2018年比 キャッシュレス関連製品 4,549億円 101.9% 5,455億円 122.1% 決済プラットフォーム 5,480億円 130.5% 1兆2,430億円 3.0倍 キャッシュレス関連ソリューション 1兆7,922億円 119.2% 5兆1,378億円 3.4倍 合計 2兆7,951億円 117.9% 6兆9,263億円 2.9倍
キャッシュレス関連製品市場は、決済関連製品が社会インフラとして導入が進み、拡大していく。決済関連製品では、モバイルPOSが軽減税率対策補助金による中小規模の店舗を中心とした新規導入により2018年、2019年と好調であり、決済端末が機能拡張や改正割賦販売法などへの対応から2019年、2020年と特需が期待される。長期的には無人化/省人化店舗への取組みが増加することで、継続的な拡大が予想される。
決済プラットフォーム市場は仮想通貨やQRコードなど決済方法が多様化したことで、さまざまな決済に対応するためのサービス拡充が進んでおり、参入企業も増加している。キャッシュレス・消費者還元事業によって加盟店での決済端末の導入が無償化されることからクラウド型決済プラットフォームやモバイル決済プラットフォームは2019年、2020年と大幅な増加が予想される。
キャッシュレス関連ソリューション市場は送金サービスがけん引している。資金移動金額の上限規制の撤廃が検討されており、将来的には1件当たりの取扱金額の増加やFinTech関連の参入企業の増加により拡大が予想される。
内容の詳細につきましては『キャッシュレス/コンタクトレス決済関連市場調査要覧 2019』をご覧ください。
- ■報道関係のお問い合わせは
- 富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)