プレスリリースPress Releases
『2019 センサーデバイス/ビッグデータ・IoT市場調査総覧(下巻)』まとまる(2019/11/11発表 第19094号)
DXを推進する注目業界のIoT投資動向を調査
製造や自動車/運輸/交通インフラなどの伸びがけん引
- ■2030年度予測(2018年度比)
- ■注目業界のIoTソリューションの国内市場
製造 2,045億円(3.1倍) スマートファクトリーやスマートプロダクトなどがけん引
自動車/運輸/交通インフラ 922億円(2.9倍) 貨物自動車用ソリューションなどの需要増加- ■ビッグデータ/IoT関連製品/サービスの国内市場
2兆6,500億円(2.4倍) アプリケーション(垂直統合型ソリューション、分析予測ツール)などが大きく伸びる
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、デジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進する製造、自動車/運輸/交通インフラ、インフラ、流通/サービス/物流、農業/水産業、医療/介護、建設/建機といった注目7業界のIoTソリューションへの投資動向を調査した。その結果を「2019 センサーデバイス/ビッグデータ・IoT市場調査総覧(下巻):IoT市場編」にまとめた。
この調査では、IoTソリューションを構成する関連製品/サービスとビッグデータの有効活用に関連する製品/サービス13品目の市場についても現状を調査し、将来を予想した。また、注目ベンダー25社の事例についても整理した。
- ■ 調査結果の概要
-
■注目7業界のIoTソリューションの国内市場
業界別のIoTソリューションへの投資額を市場として捉えた。
M2Mを中心としたデータ活用を積極的に進めてきた製造、自動車事故防止を目的とした取り組みがみられる自動車/運輸/交通インフラ、防災対策や犯罪対策の用途で導入が進むインフラなどの市場が大きい。医療/介護や農業/水産業、建設/建機の市場はまだ小さいが、新たなICT活用の機運が高まっており、需要増加が期待される。また、各業界で抱える課題に加え、労働人口の減少や働き方改革、生産性向上など共通課題も市場拡大の追い風になるとみられる。各業界で堅調な伸びが予想され、上記7業界の市場を合計すると2030年度には4,500億円に迫るとみられる。
製造は、M2Mとして工場内にある多様な産業機器からのデータ収集が進んでおり、他の業種に比べIoTソリューション活用の取り組みが先行している。特に、工場内のデータを活用した生産性向上や産業機器の予兆保全などを実現するスマートファクトリーは需要が高く、多くの企業で積極的な取り組みがみられる。また、近年は製品導入後の手厚いサポートが新たな付加価値として重視されており、製品にセンサーを組み込み、障害予知などを行うスマートプロダクトが伸びている。安全支援ソリューションは働き方改革や従業員の安全管理重視の傾向が高まっており、今後の伸びが期待される。
自動車/運輸/交通インフラは、関連各社による安全対策への積極的な投資により、スマートドライブ(居眠り運転防止など)やスマートパーキングをはじめさまざまなIoTソリューションの研究開発が進んでいる。貨物自動車用ソリューションは、ECの進展や運輸業において再配達に伴う小口配送の増加、人手不足による過剰労働などの課題へ対応するため、センサーによるデータ取得と移動体通信を活用したテレマティクス化が進んでおり堅調な伸びが予想される。データ利活用ソリューションは、公共機関の政策評価や効果検証、ITベンチャーの新規ビジネス開発などの用途で走行データの活用などがさらに進むとみられる。
インフラは、自治体による河川監視や傾斜監視、マンホール状態検知などの利用が増えている。災害対策意識の高まりに伴い、膨大な管理対象のカバーや深刻化する人手不足の解決を目的として、今後も需要増加が期待される。特に、河川監視は国家プロジェクトとして急ピッチで水位計測センサー(水位計、レベルセンサー、監視カメラ)や遠隔監視システムの設置が増えている。また、電力・ガス・水道などのエネルギー関連では、発電量の管理や電気料金の見える化を行うスマートメーターや建物内の温度調整を行うシステムなどの普及が予想される。
流通/サービス/物流は、コンビニエンスストアやドラッグストアでIoTソリューションの導入が増えている。中でも衛生管理ソリューションは、衛生管理手法としてHACCPが制度化されたことにより、温湿度のモニタリングをはじめ、リアルタイムな自動記録や自動アラートなどの導入が進むとみられる。また、店内に設置したカメラや各種センサーデバイスを活用して実際の消費行動を分析し高度なマーケティングを実現する店内動態分析ソリューションや、GPSを活用し位置情報から最寄りの店舗を検索するシステムやキャンペーン中の店舗から近くにいるユーザーに広告を通知するO2Oソリューションなどの需要が増えている。
医療・介護では、CTやレントゲンなどで撮影した画像データを安全に送受信できる遠隔診断プラットフォームは、人員不足から大手病院でも外部の読影医へ委託するケースが増えているため、今後の伸びが期待される。また、入院患者や入居者などの状態をリモートで把握する見守りソリューションは、リモートで見守りができる点や、定期的な見守り業務の回数が減らせる点などの利点により需要が増えている。
農業/水産業は、牛や豚、鶏の状態、飼育小屋の温湿度の見える化などの畜産/養殖動物監視の需要が増えており、特に牛の飼養家の導入ケースが多い。圃場や農家へ侵入する鳥獣の対策として罠とITサービスを連携させた鳥獣被害対策ソリューションは、法律による野生鳥獣に対する被害防止のための総合的な取り組みの整備などを背景に、農家および地方自治体の導入が増えている。
建設/建機は、建設現場の作業効率化や省人化を目的としたIoTコンストラクションが、ドローンを活用した建設現場の測量や資材の在庫、運搬状況の可視化などで利用が進んでおり、今後はロボットの導入拡大も期待される。国土交通省が進める「i-Construction」も関連ソリューション普及の追い風になるとみられる。
-
■ビッグデータ/IoT関連製品/サービスの国内市場
2019年度見込 2030年度予測 2018年度比 全体 1兆3,050億円 2兆6,500億円 2.4倍 システムインテグレーション 4,605億円 5,700億円 144.3% プラットフォーム 3,092億円 7,439億円 2.8倍 アプリケーション 1,531億円 4,965億円 3.7倍 -
現状はシステムインテグレーション(SI)やプラットフォームの構成比が高い。SIは今後、既存のデータやシステムと連携させて利便性を向上させるためのシステム構築などのニーズが増えるとみられる。
プラットフォームは、センサーや設備などからのデータ収集、蓄積から活用を行うIoTプラットフォームの伸びが期待される。現状は小規模ではあるが、企業内に分散するデータソースを管理するETL関連ツール、大規模かつ連続的なデータを高速に分散処理する技術を活かしたHadoop関連製品などの需要が増加するとみられる。
最も伸びが予想されるのはアプリケーションである。垂直統合型ソリューションは、産業機器の予兆保全や遠隔監視、作業者安全見守りなどの需要が増えている。分析予測ツールは、企業の意思決定や顧客サービス改善の迅速化が求められると同時に、投資対効果の高精度な予測や判断基準の客観性などの必要性が高まっていることにより、導入が増えている。
また、コネクティビティはセキュリティ対策や5Gなどの通信サービス関連での伸びが期待され、運用サービスなども堅調な需要が予想される。
内容の詳細につきましては『2019 センサーデバイス/ビッグデータ・IoT市場調査総覧(下巻)』をご覧ください。
- ■報道関係のお問い合わせは
- 富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)