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『車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2020(上巻)』まとまる(2020/3/12発表 第20023号)
自動運転システムなど車載電装システムの世界市場を調査 HV・EVシステムや自動運転システムの普及により大幅な拡大が続く
- ■2030年世界市場予測(2018年比)
- ■車載電装システム 48兆9,120億円(97.4%増)
- HV/PHV/EV/FCV系や走行安全系が拡大をけん引
- ■電子ミラー インナー:3,639億円(23.9倍) サイド:908億円(−)
- インナーミラーに続き、2020年頃からサイドミラーも市場が本格化
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、自動車業界の最重要事項である「電動車両化」「自動運転/AI化」をはじめとした、注目の「CASE」技術を支える車載電装システムやデバイスの市場を調査した。その結果を「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2020(上巻)システム/デバイス編」にまとめた。
この調査では、パワートレイン系、HV/PHV/EV/FCV系、走行安全系、ボディ系、情報通信系の車載電装システム計24品目の世界市場を国・地域別に調査・分析した。また、それらを構成するデバイス&コンポーネンツ22品目の市場についても捉えた。
なお、システムを制御するECUとその構成デバイス市場については「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査2020(下巻)ECU関連デバイス編」でまとめ、今後発表する。
- ■調査結果の概要
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■車載電装システムの世界市場
2019年見込 2018年比 2030年予測 2018年比 パワートレイン系 7兆9,659億円 96.4% 9兆4,875億円 114.8% HV/PHV/EV/FCV系 2兆7,589億円 122.3% 18兆775億円 8.0倍 走行安全系 4兆3,365億円 99.6% 8兆1,113億円 186.3% ボディ系 2兆8,636億円 97.0% 4兆4,869億円 152.0% 情報通信系 6兆9,696億円 100.3% 8兆7,488億円 125.9% 合計 24兆8,945億円 100.5% 48兆9,120億円 197.4%
エリア別では、自動車生産台数の多いEU、中国、北米が市場をけん引している。EUや北米は、車載電装システムの搭載率が高く、2020年以降もHV/PHV/EV/FCV系が伸びるとみられる。中国は、2019年に自動車生産台数の減少によりマイナスが予想される。しかし、EVなどの環境自動車の普及政策により、HV/PHV/EV/FCV系システムの比率が他エリアよりも大きく、中長期的には2020年以降は再び拡大に向かうとみられる。日本は、現状ではパワートレイン系と情報通信系の比率が大きいが、今後はHV/PHV/EV/FCV系が大きく伸びて構成比を高めると予想される。それらのシステム搭載が急速に進むため、2023年から当該システムの比率が最も高くなるとみられる。
今後も各分野の伸びが予想され、特にHV/PHV/EV/FCV系の大幅な伸びが期待される。また、走行安全系の自動運転システム、ADAS、ドライバーモニタリングや、情報通信系の車外通信システム(TCU/DSRC)やHUD、ボディ系の電子ミラーなども大きく伸びるとみられる。 - ■注目市場
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■ADASシステム
2019年見込 2018年比 2030年予測 2018年比 全体 5,794億円 113.3% 1兆3,037億円 2.5倍 中国 938億円 119.5% 3,869億円 4.9倍 日本 755億円 106.9% 1,174億円 166.3% -
AEB(衝突被害軽減ブレーキ)などの衝突安全防止機能の搭載義務化により、世界的に搭載車の普及が進んでいる。現時点ではEUや北米が市場をけん引しているが、中長期的には日本や中国でも大幅な伸びが期待される。
システム普及の課題として、センシングデバイスの搭載コストがあげられるが、車載カメラやミリ波レーダーなどは搭載車の増加による量産効果で低価格化が予想され、普及を後押しするとみられる。
2020年以降、各国が順次、衝突安全防止機能の搭載義務化を進めていることや、搭載車の増加によるシステムの低価格化が拡大を後押しし、2030年の市場は1兆3,037億円が予測される。 -
■自動運転システム
2019年見込 2018年比 2030年予測 2018年比 全体 488億円 10.0倍 2兆2,781億円 464.9倍 EU 97億円 198.0% 6,544億円 133.6倍 日本 − − 2,636億円 − -
国土交通省などが定義するレベル3から5のシステムを対象とする(レベル3についてはHDマップとLIDARが搭載されたシステムを対象とする)。現状、一般向けではドイツメーカーの車両に搭載されているのみであるが、2020年代前半以降は日本メーカーの車両への搭載が予想される。
一般向け車両に搭載される自動運転システムは、2020年にレベル3車が量産化され、2025年頃にレベル4車が投入されることで、徐々に市場が本格化すると予想される。ロボットタクシー(レベル4車以上)などの商用車向けのシステムは2020年代前半に市場が立ち上がるとみられる。後付けのプラットフォーム販売であるため、一般向け自動運転システムと比べて高価格が想定される。
主要なセンシングデバイスであるLIDARが高価格であるため、現状、搭載はハイエンド車両に限られている。2021年頃にMEMS(微小電気機械システム)式などの安価なLIDARが採用され始めることからシステムの低価格化が進むとみられる。2030年頃にはレベル3システムの価格は低下するとみられ、搭載車両は大幅な増加が予想される。 -
■電子ミラー
2019年見込 2018年比 2030年予測 2018年比 インナーミラー 266億円 175.0% 3,639億円 23.9倍 サイドミラー 14億円 − 908億円 −
電子インナーミラーの2019年の市場は2018年比75.0%増の266億円が見込まれる。搭載車種が徐々に増えており、市場は拡大している。現状参入メーカーは限られているものの、複数の車載機器メーカーが参入に向けて開発を進めている。電子ミラーの実用化については法整備が追い付いていない国・地域もあるため、普及のためには早急な整備が待たれる。参入メーカーが増加する2021年の市場は678億円が予測される。
電子サイドミラーは、原則的には従来の光学サイドミラーが搭載されるため、現状ではオプション設定となっている。光学ミラーと比べると高価なため、当面は一部のハイエンド車種に限定されたオプション設定での需要となる。市場は2020年頃から立ち上がり、2024年には504億円が予測される。
当面は光学ミラー切り替え式、または光学ミラー併用の形が進むとみられるが、インナー、サイドともに2025年から本格的な普及が期待される。 -
■ドライブレコーダー
2019年見込 2018年比 2030年予測 2018年比 アフター 7,243億円 101.9% 1兆4,958億円 2.1倍 OEM/MDP/DOP 382億円 100.5% 666億円 175.3%
アフターの市場が大部分を占める。各地域で堅調な需要があり、特に中国や北米などの伸びが市場をけん引している。中国は自動車保有台数の伸びに比例して伸びており、2020年以降も10%を超える伸びが予想される。北米は一般的に車両移動時間が長く、また衝突事故から訴訟への発展に備えるユーザーが多いことから、エンターテインメント用途も含めて堅調な需要がみられる。日本は市場が成熟しているものの、衝突事故やあおり運転の事件などが報道されると、高機能製品を中心に販売が伸びる傾向がみられる。国土交通省による事故防止対策支援推進事業としての運送事業者への取得経費の助成や、保険会社がドライブレコーダー貸出付で事故時に緊急通報システムと連動してコールセンターとつながる保険サービスなどを提供しており、普及の追い風となっている。
OEM/MDP/DOPの市場は小規模である。EUや米国の一部の州では、ドライバーや乗員のプライバシー保護、純正搭載による責任負担などの問題により、自動車メーカーが純正搭載に消極的なケースもみられる。しかし、事故時の責任負担を決める際の正確な検証に役立つため、今後も需要は増えるとみられる。また、レベル3以上の自動運転車の場合においても、衝突事故を完全に防止することは不可能であるとみられるため、自動運転システムが普及しても需要は維持されると予想される。
内容の詳細につきましては『車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2020(上巻)』をご覧ください。
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- 富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)