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『2020 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望』まとまる(2020/10/23発表 第20112号)

デジタルトランスフォーメーションの国内市場(投資金額)を調査

2030年度市場予測(2019年度比)
国内のDX 3兆425億円(3.8倍)
交通/運輸、金融、製造などが市場をけん引し、拡大
交通/運輸のDX 9,055億円(4.1倍)
セーフティドライブへの取り組みが進められ、投資が増加

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、業務変革による生産性の向上や効率化を進める上で注目されるデジタルトランスフォーメーション(DX)の国内市場を調査した。その結果を「2020 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」にまとめた。
 この調査では、DXの国内市場(投資金額)を製造、流通、金融、医療/介護、交通/運輸、不動産、その他業界、業界共通である営業・マーケティング、カスタマーサービスに大別して市場を明らかにした。加えて、DXに関わる12の基盤技術の市場動向、関連事業を展開するソリューションベンダー21社の取り組みをまとめた。また、DXへの企業の取り組み状況を把握するためアンケート調査を実施した。

調査結果の概要
DXの国内市場(投資金額)
 2019年度2030年度予測2019年度比
交通/運輸2,190億円9,055億円4.1倍
金融1,510億円5,845億円3.9倍
製造971億円4,500億円4.6倍
流通367億円2,375億円6.5倍
医療/介護585億円1,880億円3.2倍
不動産160億円900億円5.6倍
その他業界550億円2,090億円3.8倍
営業・マーケティング1,007億円2,590億円2.6倍
カスタマーサービス572億円1,190億円2.1倍
合計7,912億円3兆425億円3.8倍
 IoT、AI、RPA、5G、ブロックチェーンなどDXの基盤となるデジタル技術が実用段階に入ったことでDXへの投資は本格化している。また、新型コロナウイルス感染症の流行により非対面や人手を介さない業務プロセスの確立が求められるなどデジタル化への関心がさらに高まっており、業務変革や顧客接点改革などがDX投資を加速させる一因となっている。
 2019年度では、交通/運輸の市場規模が最も大きく、2030年度に向け最大規模を維持しながら拡大していくとみられる。社会的な課題である安全に向けた取り組みに加え、CASEへの対応をはじめ新領域への投資が活発化している。また、製造や流通、不動産、その他業界は人手不足とデジタル化の遅れにより非効率なビジネスプロセスが多く、業務変革のための投資が増加しており、2030年度に向け高伸長するとみられる。
 交通/運輸は高齢者による交通事故やあおり運転をはじめとした危険運転による事故未遂が社会的な課題となっており、各事業者がこれらを防止するための取り組みを進めている。危険運転や交通事故を防止し、個人や法人ユーザーが安心して利用できる輸送サービスへの積極的な投資が進められている。
 金融は次世代金融基盤サービスやデジタル審査・予測への投資が中心である。次世代金融基盤サービスは、2017年度の改正銀行法を契機にAPIの構築が進み、2019年度から2020年度にかけて、API公開などの体制が整い始めた。今後は複数のサービスが相互に連携することでシームレスな金融サービスの普及が期待される。デジタル審査・予測は、以前から業務の自動化や省力化を計画していた企業が、新型コロナウイルス感染症の影響により計画を前倒ししていることから伸長している。
 製造はスマートファクトリーやサービタイゼーションへの投資が中心である。スマートファクトリーの実現に向け、生産設備の稼働状況の可視化を目的とする投資が進められている。ラズベリーパイをベースとするIoTシステムや安価で実装可能なクラウドサービスの普及により導入のハードルが下がり、幅広いユーザー層で可視化に向けた取り組みが進められている。また、可視化された情報の分析、AI予測などによる作業効率の改善や予兆保全に向けた取り組みも活発化している。
 流通はデジタルオペレーションへの投資が中心となっており、在庫の最適化による逸失利益の削減に向けた取り組みが進められている。また、季節性やイベントなどの外部要因も含めた複雑な判断をシステムが支援することで、業務属人化の防止を目的とした投資も増加している。今後は人手不足への対策として、業務効率化を目的とした投資が積極的に行われるとみられる。
 医療/介護は医療業界におけるデータ活用のニーズが高いことに加え、政府が注力している医療ビッグデータ分析支援の需要が増加している。中でも厚生労働省が主体となり、医療データや健診データの分析を基に保険事業の効率化を図るデータヘルス計画が推進されていることから、健康保険組合向け分析支援が伸びている。今後は病院向け分析支援や二次利用分析支援の需要増加が期待される。
 不動産は特に賃貸管理や仲介業務でICT化が遅れており、属人的で労働生産性が低く、顧客にとっても手続きに手間や時間がかかることが課題である。これらを解消するための投資が拡大しており、在庫状況のリアルタイム性向上と管理会社における物件確認などの応対の自動化、内覧のWEB予約/管理、スマートロックを利用した内覧時の鍵の受け渡し業務の削減、セキュリティ向上、VR内覧、申込や契約の電子化/ペーパーレス化などが進められている。
 その他業界は社会インフラ、農業、建設などの投資が中心である。就業者の高齢化や人手不足の解消を図るため、今後も投資が拡大していくとみられる。
 営業・マーケティングは業務効率化を主としたソリューションが中心である。CRM/SFAはSaaSベンダーを中心に高機能なサービスの開発や提供が進められており、メールやWEB会議との連携、営業業務のテンプレート共有、案件見込み度のスコアリング、最適行動の提案など、ツール間連携やAIによる機能拡充などが進められている。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機にオンラインでの営業活動管理の必要性が認識され、高機能なSaaSを導入可能な大手企業を中心に市場は拡大していくとみられる。
 カスタマーサービスはリモート型コンタクトセンターなどへの投資が中心である。コンタクトセンターでは従来オペレーターの管理やセキュリティの懸念から在宅勤務に取り組む企業はわずかであったものの、2020年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大対策としてクラウドサービスを活用しリモート業務に取り組む企業が急増した。今後は感染拡大対策としてだけでなく、人材不足を背景に企業拠点での業務が難しい被雇用者の採用を進めるなどリモート業務に取り組む企業が増加するとみられる。
アンケート調査(インターネットリサーチ)
勤務先におけるDXの導入状況 N=616(シングルアンサー)
−2018年調査時よりDXを導入および実証実験を含む3年以内の導入計画が増加−
選択肢回答率
すでに導入している19.5%
実証実験段階である17.5%
今後3年以内に導入する計画がある(実証実験はまだ行っていない)12.3%
今後3年より後に導入する計画がある(実証実験はまだ行っていない)16.1%
今後の導入を検討しているが具体的な計画はない34.6%
 DXを導入済みユーザーは19.5%と、前回調査を行った2018年より7.4ポイント増となった。また、実証実験を行っている企業と今後3年以内に導入計画があるのは29.8%と2018年より2.2ポイント増となった。
勤務先におけるDXの導入もしくは実証実験を行っている目的 N=228(マルチアンサー)
−全体の7割以上が「業務効率化/省人化」と回答−
選択肢回答率
業務効率化/省人化70.6%
コスト削減58.3%
売上拡大40.4%
ビジネスモデルの見直し、新規ビジネスの立ち上げ34.6%
製品/サービスの高付加価値化26.3%
 最も回答が多かったのは「業務効率化/省人化」であり、次いで「コスト削減」「売上拡大」である。
新型コロナウイルス感染症の影響により、優先度が高まったDXの目的 N=307(マルチアンサー)
−新型コロナウイルス感染症の影響によりリモート化や売上減少をカバーするための投資を重要視−
選択肢回答率
業務効率化/省人化54.1%
コスト削減50.2%
ビジネスモデルの見直し、新規ビジネスの立ち上げ30.0%
売上拡大29.0%
安心、安全(安全性やセキュリティの向上)29.0%
 新型コロナウイルス感染症の影響による戦略転換によって優先度が高まった取り組みは「業務効率化/省人化」が最も回答が多く、次いで「コスト削減」となった。リモート化や売上減少をカバーするための投資が重要視されているとみられる。
内容の詳細につきましては『2020 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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