プレスリリースPress Releases
『2021年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 ライフ・インダストリーフィルム編』まとまる(2021/2/25発表 第21023号)
ライフサイエンス・インダストリー関連の機能性高分子フィルム市場の調査結果、エネルギー、ライフサイエンス分野などで需要増加
- ■2024年国内市場予測(2019年比)
- ■エネルギー分野の機能性高分子フィルム 983億円(80.0%増)
LiB用セパレーターとラミネートフィルムがEV・HV市場の拡大に伴い大きく伸びる- ■ライフサイエンス分野の機能性高分子フィルム 558億円(19.7%増)
新型コロナウイルス感染症対策品や医薬品関連資材の需要が堅調に増加- ■抗菌・抗ウイルスフィルム 74億円(14.8倍)
2020年に本格化し、以降も一定の需要を維持する
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、感染対策を施した製品ニーズが高まるなど、これまでとは異なる機能性にも注目が集まっている機能性高分子フィルムの市場を調査した。その結果を「2021年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 ライフ・インダストリーフィルム編」にまとめた。
この調査では、ライフサイエンス・インダストリー関連の機能性高分子フィルムをライフサイエンス(6品目)、工業・自動車(10品目)、エネルギー(4品目)、土木・建築(6品目)、パッケージング(10品目)、バリアフィルム(5品目)の6分野に分類し、各品目の国内市場について現状を調査し、将来を予想した。なお、22品目に関しては世界市場も捉えている。
※機能性高分子フィルム:ベースとなるプラスチックフィルムにコーティングや蒸着などの表面処理、ラミネートなどの多層化、フィラーなどとの複合化などにより機能を付与したフィルム
- ■調査結果の概要
-
■エネルギー分野の機能性高分子フィルムの国内市場
2020年見込 前年比 2024年予測 2019年比 542億円 99.3% 983億円 180.0%
太陽電池用封止フィルムとバックシートは、ユーザーである太陽電池モジュールメーカーの生産拠点が海外へシフトしているため、市場は縮小している。2021年以降の市場は、横ばいから微減が予想される。
LiB用セパレーターとラミネートフィルムは、EV・HV市場の拡大に伴い、近年需要が大幅に増加してきた。LiB用セパレーターは、2020年は新型コロナウイルス感染症の流行の影響を受けて、EV・HV市場の拡大ペースの鈍化などにより前年比1%程度の伸びにとどまるものの、2021年以降は毎年20%近い伸びが期待される。LiB用ラミネートフィルムは、主にラミネート型LiBで使用される。使用量の多いEV・HV向けがけん引して、2020年も引き続き堅調に伸びるとみられる。参入メーカーは生産能力の増強など旺盛な需要への対応を進めていることから、今後の伸びが期待される。 -
■ライフサイエンス分野の機能性高分子フィルムの国内市場
2020年見込 前年比 2024年予測 2019年比 525億円 112.7% 558億円 119.7%
2020年は新型コロナウイルス感染症の流行により、抗菌・抗ウイルスフィルムや飛沫防止シートの需要が急増した。特に抗菌・抗ウイルスフィルムは、今後も堅調な需要を維持するとみられ、ウイルスが付着してから不活性化させるまでの時間短縮や対応ウイルス種類の増加などに対応する製品開発が進められている。
医薬品関連資材では、テープ剤用離型フィルムは、通院を控える動きがあり需要が減少しているが、全身作用型のテープ剤の適応領域拡大が進められており、それらで需要増加が期待される。PTPシートと薬栓用バリアフィルムは景気変動の影響を受けにくいため堅調に伸びるとみられる。
通気性フィルムは、2018年以降、主要用途である紙おむつがインバウンド需要の減退や子供用おむつの生産量減少により、需要が減少している。大人用紙おむつでは増加していくものの、全体では需要は微減が続くとみられる。 -
■パッケージング分野の機能性高分子フィルムの国内市場
2020年見込 前年比 2024年予測 2019年比 274億円 97.2% 302億円 107.1%
規模の大きいイージーピールフィルムや鮮度保持フィルムの堅調な伸びが市場拡大をけん引してきた。2020年は、耐熱ラベルや方向性フィルムなどの需要が落ち込んだため市場が一時的に縮小するものの、2021年以降は拡大が予想される。
イージーピールフィルムは、食品の個包装化や賞味期限延長ニーズの高まりにより、コンビニエンスストアなどで密閉性の高いイージーピールフィルムを使用したパッケージが増えるため、伸びが期待される。また、耐熱ラベルは、2020年は自動車や半導体での需要減少により落ち込んだが、2021年以降は最終製品の生産量回復により伸びるとみられる。小規模ではあるが、医薬品のパッケージングで使用されるにおい吸着フィルムや低吸着フィルムも需要増加が予想される。 -
■2020年から2024年の品目別CAGRランキング(国内市場)
品目 2020年−2024年
CAGR1 LiB用セパレーター 18.1% 2 LiB用ラミネートフィルム 17.5% 3 EV・HVモーター用絶縁フィルム 12.9% 4 抗菌・抗ウイルスフィルム 10.4% - ■注目市場
-
■抗菌・抗ウイルスフィルムの国内市場
2020年見込 前年比 2024年予測 2019年比 50億円 10.0倍 74億円 14.8倍
2022年以降は製品の供給過多が懸念されるとともに、製品間での淘汰が進むため、2021年が市場のピークになるとみられる。しかし、抗菌・抗ウイルス性能が多機能フィルムの一部という位置付けとなり、一定の需要を維持するため、市場は70億円前後で推移するとみられる。一方、建材やインテリア雑貨、ガラスや化粧シートなどでは、抗菌・抗ウイルス性能を標準装備とする製品の開発が進んでいるため、抗菌・抗ウイルスフィルムの需要動向に影響する可能性もある。 -
■EV・HVモーター用絶縁フィルムの世界市場
2020年見込 前年比 2024年予測 2019年比 世界市場 38億円 105.6% 97億円 2.7倍 国内市場 10億円 90.9% 16億円 145.5% -
EV・HVの駆動用モーター・ジェネレーター(発電用モーター)に内蔵される絶縁材の内、スロットライナーやウェッジ、相間絶縁紙用のフィルムを対象とした。
2020年の世界市場は、新型コロナウイルス感染症流行の影響を受けながらも、EV・HVの生産台数は増加するため、市場は前年比5.6%増が見込まれる。欧州をはじめ各国が環境規制強化、ガソリン車の廃止政策を進めるため、EV・HVの生産台数は大幅に増加し、2021年以降市場は高成長を続けるとみられる。また、排ガス規制強化の中でモーター容量(出力)の大きいEV・HVが増えることも、市場拡大の追い風になると期待される。
2020年の国内市場は、EV・HV向けの需要が低調なため、前年比約10%縮小するとみられる。2021年以降は、EV・HVの生産台数が大幅に増加するため、2021年は前年比約20%の伸び、以降も10%前後の伸びが予想される。
内容の詳細につきましては『2021年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 ライフ・インダストリーフィルム編』をご覧ください。
- ■報道関係のお問い合わせは
- 富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)