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『2021年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 エレクトロニクスフィルム編』まとまる(2021/3/24発表 第21035号)

エレクトロニクス関連の機能性高分子フィルム市場の調査結果 半導体分野、実装分野、LCD・OLED分野などで堅調な拡大が予想される

2024年世界市場予測(2019年比)
半導体分野の機能性高分子フィルム 563億円(6.4%増)
バックグラインドテープやダイシングテープを中心に伸長
円偏光板用位相差フィルム 352億円(2.5倍)
スマートフォンやTV向けOLEDパネルの需要増加に伴い、大幅に拡大
低誘電用FCCL基材 405億円(74.6%増)
5G通信対応スマートフォンで採用が広がり大きく伸びる

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、新型コロナウイルス感染症流行の影響を一部で受けているものの、テレワークや巣ごもり需要などが追い風になっているケースもみられ、世界経済の回復とともに堅調な拡大が期待される、エレクトロニクス関連の機能性高分子フィルムの市場を調査した。その結果を「2021年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 エレクトロニクスフィルム編」にまとめた。
 この調査では、エレクトロニクス関連の機能性高分子フィルムをLCD・OLED(8品目)、タッチパネル(4品目)、半導体(4品目)、実装(11品目)、その他(10品目)の5分野に分類し、各品目の世界市場について現状を調査し、将来を予想した。

機能性高分子フィルム:ベースとなるプラスチックフィルムにコーティングや蒸着などの表面処理、ラミネートなどの多層化、フィラーなどとの複合化などにより機能を付与したフィルム

調査結果の概要
半導体分野の機能性高分子フィルムの世界市場
2020年見込前年比2024年予測2019年比
528億円99.8%563億円106.4%
 バックグラインドテープ、ダイシングテープ、ダイボンドフィルム、半導体封止用離型フィルムを対象とする。半導体の後工程で必要な材料であるため安定した需要が続いている。
 2020年の市場はテレワーク実施企業の増加や巣ごもり需要に伴うノートPCやタブレット端末、Wi−Fiルーター、サーバー市場などの好調により、シリコンウェハーの需要が増加していることから数量ベースでは拡大している。しかし、価格の下落や為替の影響により金額ベースでは微減するとみられる。
 今後はデータセンター向けのメモリーや車載でのシリコンウェハーの需要増加に伴い、バックグラインドテープやダイシングテープを中心に堅調な伸びが予想される。
実装分野の機能性高分子フィルムの世界市場
2020年見込前年比2024年予測2019年比
4,259億円103.4%4,723億円114.6%
 非導電性接着フィルム、異方導電性フィルム、FCCL(2層・3層)、低誘電用FCCL基材、FPC用離型フィルム、層間絶縁フィルム(アディティブ基板用)、カバーレイフィルム、ドライフィルムレジスト、フィルム状ソルダーレジストを対象とする。各種基板向けの構成部材や工程用フィルムとして採用されるため、市場は最終製品であるスマートフォンや自動車などの生産動向の影響を受ける。2020年は一部の品目で縮小がみられたものの、需要は堅調であり、今後も市場拡大が予想される。
 市場規模の大きいドライフィルムレジストは、2020年はスマートフォンや自動車市場が低調なため使用される基板の需要減少にともない縮小するとみられるが、2021年以降はそれら最終製品の市場拡大とともに伸びるとみられる。FCCL(2層・3層)やカバーレイフィルムは、フレキシブルプリント基板(FPC)の需要に連動し、今後は5G通信対応スマートフォンの普及に伴い、堅調な伸びが予想される。低誘電用FCCL基材は、市場規模は小さいものの、5G通信対応スマートフォンを中心とした低誘電ニーズの増加によって大きく伸びており、今後の伸びをけん引するとみられる。
LCD・OLED分野の機能性高分子フィルムの世界市場
2020年見込前年比2024年予測2019年比
7,433億円101.2%7,681億円104.6%
 偏光子保護フィルム、表面処理フィルム、バックライト用光学フィルム、プロテクトフィルム、FPD用離型フィルム、円偏光板用位相差フィルム、QDシート、耐屈曲性フィルムを対象とする。
 LCD関連は、2020年はTVやPC、タブレット端末市場が好調なため、数量ベースでは偏光板の構成部材である偏光子保護フィルム、表面処理フィルム(LCD向け)が大きく伸びており、今後も需要増加が予想される。しかし、金額ベースでは低価格製品を展開する中国メーカーのシェア上昇により、ユーザーからの値下げ要求が厳しくなっているため、バックライト用光学フィルムや偏光子保護フィルム、表面処理フィルム(LCD向け)などは微減が予想される。OLED関連は、OLEDパネル市場の拡大が続いており、円偏光板で使用される円偏光板用位相差フィルム、表面処理フィルム(OLED向け)などの需要が増加している。
注目市場
円偏光板用位相差フィルムの世界市場
2020年見込前年比2024年予測2019年比
158億円111.3%352億円2.5倍
 OLEDパネルに搭載される円偏光板に組み込まれる位相差フィルム(波長板)を対象とした。OLEDパネルは、従来スマートフォン向けの中小型が中心であったが、近年はTV向けも伸びており、連動して市場は拡大している。
 延伸フィルムタイプ、液晶コーティングタイプ、延伸フィルム+液晶コーティングタイプに分けられる。従来は延伸フィルムタイプや延伸フィルム+液晶コーティングタイプが主流であったが、液晶コーティングタイプが「iPhone X」などで採用された2017年以降大きく伸びており、現状は大部分を液晶コーティングタイプが占めている。
 OLEDディスプレイは薄型化ニーズが高いため、新規設計では液晶コーティングタイプの採用が主流であり、今後も市場拡大をけん引するとみられ、2024年の市場は2019年比2.5倍の352億円が予測される。一方、コスト削減を目的に低価格な延伸フィルムタイプに需要が回帰する可能性があり、その場合は市場拡大のペースは抑制されると懸念される。
低誘電用FCCL基材(LCPフィルム、MPIフィルム)の世界市場
 2020年見込前年比2024年予測2019年比
LCPフィルム190億円105.6%250億円138.9%
MPIフィルム100億円192.3%155億円3.0倍
合計290億円125.0%405億円174.6%
 低誘電用FCCL(フレキシブル銅張積層板)の基材となる低誘電樹脂フィルムとして、近年採用が増えているMPI(変性ポリイミド)フィルム、LCP(液晶ポリマー)フィルムを対象とする。一般的なFCCLに用いられるPIよりも誘電率・誘電正接が低い特性がある。
 MPIフィルム、LCPフィルムともにスマートフォンのアンテナ用同軸ケーブル代替FPC向けなどで採用が広がっている。特に「iPhone」で採用が進んだことにより、LCPフィルムが先行して市場拡大をけん引した。近年は他のスマートフォン機種にも採用が広がったことから順調に伸びている。MPIフィルムは2019年から本格採用が始まり、急速に需要が増えている。今後は中国スマートフォンメーカーへの供給が増加し、2021年以降も大幅な伸びが予想される。
 今後は5G通信の本格普及に伴うスマートフォンでの低誘電ニーズの拡大により、需要増加が期待される。誘電特性やコスト面などから、Sub6の5G通信対応製品ではMPIフィルム、ミリ波の5G通信対応品製品ではLCPフィルムの採用が進むと予想される。また、低誘電用FCCL基材としては、MPIやLCP以外にも、フッ素フィルムやCOPフィルムなどが実用化に向けてサンプル供給が進められている。
内容の詳細につきましては『2021年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 エレクトロニクスフィルム編』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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