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『2022年 透明・特殊ポリマーの現状と将来展望』まとまる(2022/1/19発表 第22004号)

透明・特殊ポリマー33品目の世界市場を調査

2025年市場予測(2020年比)
注目市場
 透明PI 52億円(4.0倍)
フォルダブルスマートフォンのOLEDカバーシートとして採用され、市場拡大
注目の特殊機能・用途別市場
 低誘電樹脂 1,552億円(97.5%増)
高速・高周波通信の普及を背景に、信号損失を低減する材料として需要が増加

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、建材、容器・包装、雑貨などで汎用的に採用される透明ポリマーと、低誘電特性や摺動性などさまざまな特性を有するポリマーの世界市場を調査した。その結果を「2022年 透明・特殊ポリマーの現状と将来展望」にまとめた。
 この調査では、透明ポリマー・特殊ポリマー33品目の市場を調査・分析し、将来を展望した。また、低誘電樹脂や光学レンズ用樹脂など注目される6つの特殊機能・用途を切り口に、採用されるポリマーや研究開発・技術動向、市場の方向性を捉えた。

調査結果の概要
透明・特殊ポリマー33品目の世界市場
2021年見込2020年比2025年予測2020年比
6兆1,110億円111.7%7兆445億円128.8%
 2021年の市場は、前年比11.7%増の6兆1,110億円が見込まれる。市場の大半が透明用途で、食品や化粧品の容器・ボトル・ふた、家電部品、建材、包装用や農業用の各種フィルムなどで使用される。そのほか、光学、低誘電、摺動、バリア用途でも採用がみられる。
 2021年から2025年にかけて1,000億円以上の市場拡大が予測される品目は、PC、透明PP、フッ素樹脂で、PCやフッ素樹脂は自動車や家電、エレクトロニクス向けが伸長するとみられる。透明PPは、今後アジア圏を中心とした日用品・雑貨で需要増が期待される。また、2021年から2025年にかけて年平均成長率が10%を超えるとみられる品目は透明PI、マレイミド樹脂、熱硬化性PPE、低誘電ハイドロカーボンで、透明PIはフォルダブルスマートフォンのOLEDカバーシートで採用増が予想される。低誘電特性に優れるマレイミド樹脂、熱硬化性PPE、低誘電ハイドロカーボンは、高速・高周波・大容量通信の普及に伴い、市場拡大が期待される。
注目市場
透明PI
2021年見込2020年比2025年予測2020年比
20億円153.8%52億円4.0倍
 透明ポリマーの多くは120℃以下の温度領域で使用されるが、透明PIは300℃を超える高耐熱性を有する。2017年以前はフィルム、ワニスともにサンプル供給が主であったが、2018年にフォルダブルスマートフォンのOLEDカバーシートとして採用され、2019年から本格的な量産が開始された。フォルダブルスマートフォンの生産拡大に伴い市場は大きく拡大しているものの、競合材料であるフレキシブルガラスをカバーシートに採用するケースが増えており、今後の伸びが鈍化する可能性もある。一方、現在サンプル供給のみである他用途でも本格採用に向けた動きが活発化しており、2022年以降さらなる市場の底上げにつながることが期待される。
マレイミド樹脂
2021年見込2020年比2025年予測2020年比
31億円114.8%66億円2.4倍
 汎用BMIと特殊マレイミドに分類され、汎用BMIは主に多層メイン基板向けリジッドCCL(銅張積層板)材料として採用される。特殊マレイミドは高耐熱性や低誘電特性、接着性といった複数の機能を有し、リジッド基板向けではPPEやエポキシなどと混合して使用される。
 汎用BMIは、日系のICパッケージ基板用CCLメーカーの需要を中心に市場拡大してきた。近年は、サーバーや基地局で使用される多層メイン基板用CCLの樹脂材料として採用が増加しており、台湾CCLメーカーへの販売を中心に市場は拡大するとみられる。
 特殊マレイミドは2019年に日本化薬が量産設備を整えたことで市場が立ち上がった。汎用BMIを上回る低誘電特性を有し、多層メイン基板での採用が増加している。
 今後は汎用BMI、特殊マレイミドともに多層メイン基板で低誘電樹脂の需要が急増するとみられ、市場は二桁増が続くと予想される。
低誘電ハイドロカーボン
2021年見込2020年比2025年予測2020年比
529億円124.8%824億円194.3%
 低誘電特性を有し、通信基板材料として使用される炭化水素(ハイドロカーボン)を対象とする。液状ポリブタジエンやSBS(スチレンブタジエンスチレン)などのブタジエン系と硬化型ビニル系樹脂に分類される。
 ブタジエン系は多層メイン基板の添加剤やアンテナ基板の基板樹脂材料として採用されており、市場の大半を占める。多層メイン基板では誘電特性の向上を目的に、エポキシ樹脂や熱硬化性PPE樹脂などの基板樹脂材料の添加剤として、主にSBSが採用される。2025年以降ミリ波対応5G通信の本格化に向けて、サーバーなどでより誘電特性に優れた樹脂の需要が高まることから、さらなる伸長が期待される。アンテナ基板では、主に液状ポリブタジエンが採用されており、安定した誘電特性を有することから、Sub6アンテナ基板として底堅い需要を獲得している。
 硬化型ビニル系樹脂は、現状はリジッドCCLの材料として採用がみられるが、サンプル出荷にとどまるなど販売量は限定的である。2023年以降、ミリ波対応5G通信基地局で需要増が期待され、ルーターやサーバー向けが伸長するとみられる。
生分解性樹脂
2021年見込2020年比2025年予測2020年比
9,600億円101.6%1兆500億円111.1%
 生分解性樹脂は、自然界に存在する微生物の働きによって二酸化炭素と水に分解されるポリマーで、100%バイオマス原料をベースとしたバイオマス由来品(PLA、PHA)、バイオマス原料と石化原料を組み合わせたバイオ+石化由来品(PBS、バイオPBAT、酢酸セルロース)、石化原料をベースをとした石化由来品(PBAT、PVA、PGA)を対象とする。
 近年は生分解性ニーズの高まりから、PLAやPBAT、PHAなどの需要が増加している。特に、バイオマス由来品の需要は年々高まっており、代表格のPLAのほかバイオPBATやバイオPBSといった、原料を石化由来品からバイオ品に切り替えた製品が注目されている。
注目の特殊機能・用途別市場
低誘電樹脂
2021年見込2020年比2025年予測2020年比
978億円124.4%1,552億円197.5%
 低誘電用途に使用される低誘電ハイドロカーボン、熱硬化性PPE、フッ素樹脂、マレイミド樹脂、LCP、変性PPE、COP、PC、PPS、脂環式エポキシ、PMP、PEEK、TPI(熱可塑性PI)を対象とする。
 高速・高周波通信の普及を背景に、信号損失を低減する材料として需要が増加しており、特に、多層メイン基板やFPC、アンテナ基板などで採用が広がっている。現状、最も市場規模が大きいのは低誘電ハイドロカーボンで、次いで熱硬化性PPEである(数量ベース)。今後も多層メイン基板やアンテナ向けを中心に伸長が期待される。そのほか、フッ素樹脂やマレイミド樹脂、LCP、変性PPE、COPなどが採用されており、低誘電樹脂需要の増加に伴い、伸長するとみられる。2025年以降は本格化するミリ波対応5G通信のインフラ導入に伴い、市場拡大が期待される。
光学レンズ用樹脂
2021年見込2020年比2025年予測2020年比
468億円103.1%559億円123.1%
 メガネレンズ以外の光学レンズに採用されるCOP・COC、特殊PC、PMMA、フルオレン系ポリエステル、特殊アクリル、PAR、TPI(熱可塑性PI)などの透明ポリマーを対象とする。
 スマートフォンのカメラやセンサーなどモバイルで需要が大きく、スマートフォンの背面カメラの多眼化、顔認証システムやLiDARなどセンサーの搭載、高解像度化ニーズの高まりに伴う1台当たりのレンズ搭載枚数の急増により、市場は拡大してきた。2020年は、スマートフォンや自動車の生産台数の減少、ストリーミング配信や動画配信サービスの普及に伴うDVD・Blu-rayプレーヤーの販売不振などにより市場は低い伸びにとどまった。2021年の市場は、スマートフォン市場の回復に伴い需要が増加するものの、COP・COCの需給がひっ迫していることが影響し、前年比3.1%増にとどまるとみられる。2022年以降は、COP・COCメーカーである日本ゼオンや三井化学の新設ラインが本格稼働することで、モバイルを中心に増加するとみられる。また、日本では2022年5月より新型車への後退時車両直後確認装置の搭載が義務化することが決定していることから車載カメラの需要増が期待され、市場拡大を後押しするとみられる。一方、スマートフォンの背面カメラの多眼化が収束することで、徐々に市場の伸びは鈍化すると予想される。
内容の詳細につきましては『2022年 透明・特殊ポリマーの現状と将来展望』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ本社 広報部)

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