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『データセンタービジネス市場調査総覧 2022年版 市場編/ベンダー戦略編』まとまる(2022/6/14発表 第22066号)
データセンタービジネスの国内市場の調査結果 2021年から2026年までの年平均成長率は6.5%と高い伸びに
- ■2026年予測(2021年見込比)
- ■データセンターサービスの国内市場 4兆251億円(36.8%増)
IaaS/PaaSやSaaSが拡大をけん引、通信回線サービスも堅調な需要- ■ハイパースケールデータセンターの総ラック数 189,600ラック(2.1倍)
メガクラウドサービスの需要増加に伴い大きく増える- ■データセンター用サーバー 1,015億円(20.1%増)
ハイスペックサーバーの需要が高まり、順調な伸びが期待される
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋 TEL:03-3241-3490 社長:田中 一志)は、クラウドサービスの基盤となる大容量の受電が可能なハイパースケールデータセンターの動向などを中心に注目されるデータセンタービジネスの国内市場を調査した。その結果を「データセンタービジネス市場調査総覧 2022年版 市場編/ベンダー戦略編」にまとめた。
「市場編」ではデータセンターサービス8品目、データセンター関連製品19品目の市場を調査・分析し、将来を予想した。「ベンダー戦略編」ではデータセンター事業者の動向を整理し、Webアンケートによるユーザー調査を行った。
- ■調査結果の概要
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■データセンターサービスの国内市場
2022年予測 2021年見込比 2026年予測 2021年見込比 ホスティング 2,810億円 96.9% 2,385億円 82.2% IaaS/PaaS 1兆1,330億円 121.3% 1兆5,375億円 164.6% ハウジング 5,940億円 102.8% 6,450億円 111.6% 通信回線サービス 1,700億円 107.6% 2,150億円 136.1% 共同利用 3,735億円 100.5% 3,591億円 96.7% その他 6,943億円 113.9% 1兆300億円 169.0% 合計 3兆2,458億円 110.4% 4兆251億円 136.8%
拡大をけん引するIaaS/PaaSとSaaS/DaaSなどを含むその他で、2026年にはデータセンターサービス市場の6割以上を占めると予想される。一方、ホスティングは需要が減少し、ハウジングも低い伸びにとどまるとみられる。
ホスティング(基本)は、メールサーバーやホームページのプラットフォームとして採用されているが、メールシステムのSaaS化や、ホームページ用途のIaaS/PaaSへの移行により、縮小が続いている。ホスティング(アウトソーシング)はシステム開発から運用までを一括提供するサービスであるが、IaaS/PaaSの利用が主流となっているため、需要減少が続くとみられる。
IaaS/PaaSは、新規システム開発のプラットフォームとして優先的に採用されるケースが増えているほか、オンプレミスからの移行も進んでいるため、今後も伸びが予想される。従来はシステムインフラ領域の提供が中心であったが、近年はさまざまな機能やオプションを強化することで差別化が図られており、システムに応じてクラウドサービスを使い分けるマルチクラウドの広がりも市場拡大に寄与している。
ハウジング(基本/アウトソーシング)は、ホスティングと同様にクラウドサービスへの移行が進んでいるが、クラウドサービス上に構築するには適さないシステムや、他社クラウドサービスの利用を前提としない一部OTTシステムやネットワークラックなどのニーズは堅調である。特に基本サービスは、エンタープライズ分野で各業務のDX化を目的とした新規システム開発、5Gの普及などを背景にコンテンツのリッチ化が進む各OTTのシステム拡大、増大するインターネットトラフィックに対応するためのアイボール側(ISP/IX/モバイルキャリア)と、プロバイダー側(OTT/クラウド)が相互接続するためのネットワークラックの増加などを背景に利用増が期待される。
通信回線サービスは、OTTが提供するコンテンツのリッチ化やクラウドサービス利用拡大によるトラフィックの増加、クラウドサービスの拠点となるハイパースケールデータセンターの開設に伴うデータセンター間を結ぶネットワーク増強ニーズにより、堅調な伸びが予想される。
共同利用は、主に金融業(銀行/証券など)や公共団体向けの特定のアプリケーション(勘定系システムなど)を特定企業に対して提供するサービスである。証券向けは増えているが、銀行や信用金庫/信用組合向けは停滞しており、加えて、今後はデジタル庁が用意するクラウド基盤へのシステム移行により公共団体向けも減少すると予想される。
その他は、SaaS/DaaSが中心である。新型コロナウイルス感染症の流行により、急速に加速した企業のテレワーク環境整備を目的とした需要により大きく伸びている。今後もさまざまな定型業務を中心にクラウド化の進展が期待され、継続的な伸びが予想される。 -
■ハイパースケールデータセンターの動向【総ラック数】
2022年予測 2021年見込比 2026年予測 2021年見込比 関東エリア 82,600ラック 126.9% 144,770ラック 2.2倍 関西エリア 24,580ラック 100.0% 44,830ラック 182.4% 合計 107,180ラック 119.5% 189,600ラック 2.1倍
開設エリアは、関東(主に千葉・印西や東京西部、川崎)と関西(主に大阪府)に集中している。今後は埼玉、京都など近隣地域での開設も増えるとみられる。ハイパースケールデータセンターの設置には、アイボール側(ISP/モバイルキャリアなど)までの接続ネットワークやデータセンター間のネットワーク環境の整備が必須である。地方ではネットワークを引くための経路が少なく、また、大量の光ファイバーを設置できる太さの管路がないため、設置が難しい状況にある。 - ■注目市場
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■データセンター用のサーバー、ストレージ、ルーター、スイッチ
2022年予測 2021年見込比 2026年予測 2021年見込比 サーバー 877億円 103.8% 1,015億円 120.1% ストレージ 260億円 101.6% 289億円 112.9% ルーター 81億円 103.8% 90億円 115.4% スイッチ 224億円 104.2% 253億円 117.7%
ストレージは、データセンター内で利用され、データセンター事業者が自社のハウジングやホスティング、クラウドを提供する際に利用する製品を対象とし、増設用ディスク分も含む。ハウジングが底堅い需要を獲得していることや、SIベンダーやキャリアなどのクラウドサービス利用が増えていることから、市場は堅調に拡大している。特に、データセンター事業者が自社ホスティングやIaaS/PaaS基盤としてストレージを調達する利用型はクラウド化の進展により大きく伸長している。今後はバックアップ用途としての需要も増えるため、利用型が市場拡大をけん引するとみられる。
ルーターは有線の企業向けルーター、スイッチはサーバー間などで利用されるL2/L3スイッチで、それぞれデータセンターで利用される製品を対象とする。ルーター、スイッチともに、通信キャリアやWebコンテンツ事業者がデータセンターへの投資を進めたことで、市場は拡大している。今後もクラウドシフトの進行や新型コロナ流行の影響によるインターネットトラフィックの増加を受けた、データセンターにおけるITインフラの構築需要により、導入が進むとみられる。また、ハイパースケールデータセンターの増加に伴い、広帯域製品の需要が増えており、400Gをはじめとした製品の開発や提供が進むとみられる。また、データセンターネットワークにおけるネットワーク構成が複雑化しているため、構築や運用管理負荷軽減を目的として、ルーターやスイッチのネットワーク運用自動化のニーズが高まっている。
内容の詳細につきましては市場編、ベンダー戦略編をご覧ください。
- ■報道関係のお問い合わせは
- 富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3241-3473(窓口:富士経済グループ本社 広報部)