プレスリリースプレスリリースPress Releases

  • HOME
  • プレスリリース
  • 『2022年 機能性塗料市場・グローバル展開と将来展望』まとまる(2022/7/5発表 第22074号)

『2022年 機能性塗料市場・グローバル展開と将来展望』まとまる(2022/7/5発表 第22074号)

用途別塗料、機能性塗料の市場を調査

2025年予測(2021年比)
用途別塗料17品目の世界市場 22兆2,231億円(139.9%)
アジアやアフリカの建築需要増、海外での自動車生産台数増加により拡大が続く
機能性塗料の国内市場 4,075億円(123.0%)
VOCフリーの粉体塗料や抗ウイルス塗料などが大きく伸びる

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋 TEL:03-3241-3490 社長:田中 一志))は、ナフサ価格の上昇による値上げや、単価の高い機能性塗料の採用増加、今後は新興国の建築需要増加やインフラの整備進展で世界的に拡大が予想される塗料の世界市場を調査した。その結果を「2022年 機能性塗料市場・グローバル展開と将来展望」にまとめた。
 この調査では、用途別塗料17品目の世界市場と、21品目の国内市場を分析し、将来を予想するとともに、用途や採用素材の動向や環境対応の取り組みを明らかにした。また、一般的な表面保護や美観性以外に耐候性や防食性、耐熱性などの高機能性を付与する塗料を機能性塗料として18品目を取り上げた。加えて、塗料用樹脂5品目の世界市場も捉えた。

調査結果の概要
用途別塗料17品目の世界市場
2021年2020年比2025年予測2021年比
15兆8,864億円118.0%22兆2,231億円139.9%
 世界市場は2020年に新型コロナウイルス感染症流行の影響で建設工事の延期や自動車、船舶などの生産停止があったことで縮小したが、2021年には経済活動の再開とともに回復した。また原料価格高騰による複数回の値上げがあった影響で、数量ベースと比べて金額ベースの伸びが大きい。
 主体は建築用であり2021年は前年からの回復に加え、リモートワークの定着により住宅需要が増加した。その他の用途も増加し、市場は前年比18.0%増となった。
 2022年時点では断続的なロックダウンにより回復が遅れている地域もあるが、今後はアジアやアフリカでの建築需要の増加やインフラ整備の進展により、市場は拡大していくと予想される。
 2021年以降、原料であるナフサの価格が急騰しており、2022年1Q時点で2017年の約1.6倍に達した。輸送コストの高騰や、フッ素樹脂がEVや半導体に優先供給されている事も価格上昇に拍車を掛けている。メーカーは複数回の価格改定を行ったが、今後もナフサ価格が上昇するとみられ、さらなる値上がりが予想される。
用途別塗料21品目の国内市場
2021年2020年比2025年予測2021年比
7,986億円112.1%9,753億円122.1%
 国内市場も2020年は新型コロナ流行の影響を受けたが、2021年は経済活動の再開により一部の品目を除いて前年を上回った。主体は建築用であるため、新築着工件数の減少により今後は需要減少が懸念されるが、建築物の塗り替えや橋梁などの補修・補強工事、自動車生産の需要が堅調に推移するとみられる。
 VOC(揮発性有機化合物)排出対策として水系塗料や粉体塗料、無溶剤塗料、UV硬化塗料への切り替えが推進されてきた。水系塗料は建築用や道路・屋外用で置き換わりが一巡しているが、自動車用では水系化が推進されている。粉体塗料は金属製品用で切り替えが進んでいくとみられる。またバイオ樹脂塗料の開発、カーボンニュートラルへの対応も進められている。バイオ樹脂塗料は複数の用途向けに発売されているが、価格が普及へのネックになっている。
 近年参入各社の取り組みでVOC排出量は毎年2〜3%減少してきた。今後はVOC排出抑制の幅は小さくなるため、VOC排出を抑制するためにサーマルリサイクルなどを行うことでCO2排出削減に繋げていくとみられる。
機能性塗料の国内市場
2021年2020年比2025年予測2021年比
3,314億円110.2%4,075億円123.0%
 塗布することで一般的な表面保護や美観性以外に耐候性や防食性、耐熱性などの高機能性を付与する塗料を対象とする。近年は塗料市場が成熟し大幅な拡大が難しい中で、機能性塗料は参入各社が注力し、ユーザーにも付加価値が認められ存在感を増している。2020年は新型コロナ流行の影響による経済活動停止の影響がみられたが、2021年は経済活動の再開によって市場は伸びており、今後は堅調な拡大が期待される。
 物理・化学的機能を付与する塗料は、船底防汚塗料のほか、高速道路の大規模補修工事のため橋梁やトンネルの補強に用いられるコンクリート剥落防止工法用材料、連続繊維シート補強工法用材料が伸びている。熱的機能では薄膜化や美観性が評価された耐火塗料が伸長している。光・電気的機能を付与する塗料は総体的に堅調であり、爆発事故防止を目的とした帯電防止塗料などが微増している。環境対応・その他では新型コロナの流行により急速に需要が高まった抗ウイルス塗料やVOCフリーのため溶剤塗料から置き換えが進む粉体塗料が伸びている。
注目市場
自動車用塗料【世界市場】
  2021年 2020年比 2025年予測 2021年比
全体 1兆6,169億円 116.2% 2兆5,527億円 157.9%
 自動車用中上塗り塗料 3,579億円 109.2% 5,381億円 150.3%
 自動車補修用塗料 6,294億円 127.8% 1兆472億円 166.4%
 自動車用塗料は自動車用化成処理剤、自動車用下塗り塗料、自動車用中上塗り塗料、自動車補修用塗料、自動車用プラスチック塗料を対象としている。
 自動車生産台数に市場が影響されるため、2020年は新型コロナ流行による工場の稼働停止などの影響を大きく受けた。2021年には生産台数が回復したことで塗料の需要も増加し、前年比16.2%増となった。
 今後も海外の自動車生産台数増加がけん引し、2025年には2021年比57.9%増が予想される。一方、国内では長期的には自動車生産台数が伸び悩むとみられ、これに伴って国内市場は横ばいから微減になると予想される。
 自動車用中上塗り塗料は、国内や中国で工程短縮やCO2削減ニーズの高まりから3WET塗装への切り替えが進んでいる。3WET塗料やメタリック・パール塗料など高価な製品の需要増加が市場拡大に貢献している。
 自動車補修用塗料は、2021年に新型コロナ対策の緩和で外出機会が増えたことが補修需要の増加を後押しし伸びている。今後も海外の自動車販売台数が増えるにつれ市場は拡大するとみられる。
船舶用塗料【世界市場】
2021年2020年比2025年予測2021年比
3,812億円108.8%5,774億円151.5%
 船舶用塗料は船舶の防食性や表面保護、美観性の付与を目的として使用される。海外市場では修繕船向けが半数以上を占めるが、国内市場は新造船向けが主体である。なお、機能性塗料としては船艇防汚塗料や遮熱塗料がある。
 市場は新造船数や修繕需要の影響を受けるため、2020年は新型コロナの影響による修繕船の入渠遅延や、海運市況の悪化で新造船需要が減少したことに伴い縮小した。
 2021年は数量ベースでは縮小したものの、原料価格の高騰などから値上げがあったため市場は前年比8.8%増となった。
 2022年は新造船の需要が回復したことで市場は拡大している。今後、世界的には船舶数が増加していくとみられ、需要増加が予想される。
抗ウイルス塗料【国内市場・機能性塗料】
2021年2020年比2025年予測2021年比
8億円2.7倍10億円125.0%
 内装用塗料のうち、抗ウイルス性、抗菌性、消臭、防藻・防カビ性などの機能を付与した製品を対象とし、漆喰塗料と光触媒塗料に大別される。学校や公共施設、工場向けが主体である。2019年頃からテープ状やシート状製品への採用によってインフルエンザ対策として採用され市場が拡大した。
 2020年以降、新型コロナの流行に伴い、ウイルス対策の意識が高い消費者を中心に住宅向けの需要が急増した。また、参入メーカーが新型コロナウイルスへの効果を実証したことで光触媒塗料の認知が広がり、2021年も前年比2倍以上の伸びとなった。住宅向けではより安価な抗ウイルス壁紙との競合があることや、ウイルス対策への注目度が下がっていることで、今後市場の伸び率は鈍化するとみられるが、2025年頃からは塗り替え需要により拡大が期待される。
粉体塗料【国内市場・機能性塗料】
2021年2020年比2025年予測2021年比
347億円108.8%411億円118.4%
 有機溶剤などの溶媒を使用しないため、VOCを排出せず安全性や環境性に優れる塗料である。塗装時のオーバースプレー分を再利用できるため利用効率が良く、塗装に熟練の技術が必要ないこともメリットとなる。
 2020年は新型コロナの影響で縮小したが、2021年は需要が回復し前年比8.8%増となった。近年は老朽化した塗装設備を刷新する際に粉体塗料を採用する動きが顕著である。
 採用増加に伴ってユーザーニーズも多様化し、高耐候性、抗菌・抗ウイルス性、耐切削油性、高防食性などの機能を付与した製品の開発が進んでいる。今後も機械類や電気機器を中心に溶剤系塗料からの切り替え需要があることから市場は拡大が続き、2025年には2021年比18.4%増が予測される。
耐火塗料【国内市場・機能性塗料】
2021年2020年比2025年予測2021年比
66億円110.0%98億円148.5%
 構造物の柱や梁に使用され、火災時に発泡することで断熱層を形成する。オフィスビルや商業ビルで需要が大きく、ロックウールなどの耐火被膜材より高コストであるが、薄膜化や屋外使用が可能な点、美観性に優れ粉塵が発生しないという点がメリットである。認知度向上に伴い需要が増加し、東京五輪に向けた建設需要などで2019年は好調だった。東京五輪需要が一段落した2020年、2021年は、新型コロナの影響も重なって数量ベースはほぼ横ばいであり、値上げなどの影響で2021年の市場は前年比二桁増となった。
 2022年以降は建築需要の回復に伴い市場は拡大していくとみられる。また配送センターや倉庫、データーセンター、半導体工場向けの採用増が予想されるほか、化学プラントの配管やタンク架台など新規用途での採用拡大もみられる。
内容の詳細につきましては『2022年 機能性塗料市場・グローバル展開と将来展望』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3241-3473(窓口:富士経済グループ本社 広報部)

ページトップ