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『5G/次世代通信を実現するコアテクノロジーの将来展望 2022』まとまる(2022/7/19発表 第22079号)

5G通信関連の基地局やネットワーク関連機器の世界市場の調査結果 現状、Sub6対応が中心だが、ミリ波対応の普及が徐々に進む

2030年世界市場予測(2021年比)
基地局 262万台(59.8%増)
C-RAN基地局を中心に拡大。D-RANスモールセル基地局はスポットで伸びる
5G通信対応のスマートフォン 12億5,000万台(2.2倍)
Sub6対応が大半を占める状況が続く

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋 TEL:03-3241-3490 社長:田中 一志)は、先進国では普及期に入っているものの、新興国では新型コロナ流行の影響を受けたスケジュールの遅れが発生する中、インフラシェアリングや汎用サーバーを用いた基地局ネットワークの仮想化やDSS技術の採用など新たな動きがみられる5G通信関連について、その基地局やネットワーク関連機器の世界市場を調査した。その結果を「5G/次世代通信を実現するコアテクノロジーの将来展望 2022」にまとめた。
 この調査では、基地局3品目、エッジ機器7品目、ネットワーク構成機器関連製品18品目、エッジ機器用デバイス・材料12品目の世界市場を分析し、将来を予想した。

調査結果の概要
基地局の世界市場
 2022年見込2021年比2030年予測2021年比
C-RAN基地局126万台153.7%198万台2.4倍
D-RANスモールセル基地局13万台86.7%20万台133.3%
D-RANマクロセル基地局69万台103.0%44万台65.7%
合計208万台126.8%262万台159.8%
 2021年は、新型コロナウイルス感染症の流行や半導体の供給不足などにより、敷設計画やサービスインのスケジュールの遅れが発生したため、市場は縮小した。2022年は、各国の通信キャリアによる5G通信環境への設備投資が活発化しているため、市場拡大が予想される。現状はC-RAN基地局とD-RANマクロセル基地局によるSub6対応が中心であり、ミリ波への投資は遅れている。ミリ波については、当面D-RANスモールセル基地局などでスポット投資が行われるとみられる。その後、自動運転をはじめとしたキラーアプリケーションが確立してミリ波通信の必要性が増加するに伴い、カバーエリアを拡大するための投資がC-RAN基地局で進むと予想される。
 C-RAN基地局は、BBU・CU・DUとRRH・RUが分離され、光ファイバーで接続した複数のRRH・RUをBBU・CU・DUが集中的に制御する構成となっている。
 基地局収容スペースの減少やネットワーク効率化が可能なことから市場は拡大するとみられる。特に、5G通信の初期投資としてカバーエリア拡大の観点から、人口密集度が高くトラフィック量が多い都心部では、光張り出し局の増設によるネットワーク拡張性を持たせた設計のニーズが高まると予想される。C-RAN基地局は、LTEと5G通信を収容できることからBBU・CU・DU全体の処理性能や電源容量などで接続できるRRH・RU数が決定する。当面はLTEと5G通信が混在する仕様となるが、将来的には収容されるRRH・RUが全て5G通信化するとみられる。今後、中国を中心に需要が増え、2030年の市場は198万台が予測される。
 D-RANスモールセル基地局は、BBUとRRHが一体化した出力100W未満のD-RAN基地局を対象とする。1局当たりのカバーエリアが比較的狭い場所に設置されることが多く、高トラフィックエリアにおけるユーザーの通信品質向上などを目的に採用されている。
 LTE向けは投資の一巡により需要が減少し、Sub6対応ではC-RAN基地局の採用が中心となるため、それらを目的とした敷設数は減少するとみられる。しかし、ミリ波対応ではアンテナが短く、BBU・RRH・アンテナ一体型製品の小型化が可能なためD-RANスモールセル基地局が敷設され、当面のミリ波投資は高トラフィックエリア向けなどスポット投資が中心になるため、短期的には需要増加が期待される。また、屋内でのローカル5Gなどの企業向けプライベートネットワーク構成での採用が増えるとみられる。
 D-RANマクロセル基地局は、BBU・RRHが一体化した出力100W以上のD-RAN基地局を対象とする。スモールセルに比べて1局当たりのカバーエリアが広く、出力によっては数10kmのエリアをカバーできるなどの利点がある。
 投資が一巡したLTE向けは需要が減少しているが、5G通信向けはC-RAN基地局の導入が難しい光ファイバー網が未整備の地域を中心に堅調である。光ファイバー網の構築が困難な新興国や欧州などでは、モバイルバックホールをマイクロ波で行うネットワーク構成が広がりをみせているため、2022年頃まではSub6対応を中心に市場拡大が予想される。しかし、今後採用が広がるミリ波では、D-RANマクロセル基地局による運用は少ないため、中長期的には5G通信投資の一巡とC-RAN基地局への移行により市場縮小が予想される。
注目市場
スマートフォン、CPE端末、ノートPCの5G通信対応製品の世界市場
 2022年見込2021年比2030年予測2021年比
スマートフォン7億4,300万台128.8%12億5,000万台2.2倍
CPE端末510万台170.0%1,600万台5.3倍
ノートPC110万台157.1%1,690万台24.1倍
 5G通信対応スマートフォンは、2020年に新型コロナ流行による経済活動の低迷から需要が落ち込んだが、2021年は経済活動の回復や製品価格の低下によりユーザーの買い替えが進み、市場は前年比2.5倍となった。2022年も堅調な伸びが期待されるが、前年からの半導体不足の影響が継続しており、メーカー各社はチップセットの在庫確保に注力しているものの、特に下位メーカーの生産体制への影響が懸念される。また、スマートフォン最大の需要地である中国市場を中心に買い替えサイクルが徐々に長期化しており、需要の飽和やロックダウンなども不安視されるため、市場の伸びは鈍化が予想される。
 現状、Sub6対応が市場の大半を占めており、2030年でも8割以上を占めるとみられる。ミリ波対応は部品コストが高く、価格帯がハイエンドからフラッグシップの一部製品に限られることから、Sub6対応と比べて市場は小さい。また、ミリ波通信は対応国・地域が限られており、現状では中国が非対応なことも普及の障害となっている。
 5G通信対応CPE端末(顧客構内設備端末)は、通信サービスを利用するユーザーや拠点、施設などの内部に設置され、屋外からの電波の受信および屋内機器との中継器の役割を果たす製品を対象とする。光ファイバーの敷設率が低い国や地域でインフラとして、また、光ファイバーの敷設外エリアにおけるラストワンマイル対策などで利用されるケースが多い。
 2021年はテレワークに伴う通信環境の整備ニーズが継続していることにより、市場は大きく拡大し、前年比3.0倍となった。今後は、すでにCPE端末の普及が進んでいる地域で、LTE対応製品から5G通信対応製品への置き換えが進むとみられる。現状はSub6対応製品が中心である。ミリ波対応製品はミリ波を利用したアプリケーションが確立していないため需要が低調であり、今後もSub6対応製品を中心に市場拡大が予想される。
 5G通信対応ノートPCの市場はまだ小さいものの、堅調な拡大を続けている。2021年は半導体を中心とした部材不足が生産体制に影響したが、市場は前年比75.0%増の70万台となった。
 ノートPCの通信方式は依然としてWi-Fiによる接続が主流であり、モバイル通信はビジネス用途の一部にとどまっている。現状、5G通信対応製品はユーザーごとのカスタム対応が多く、5G通信モジュールを搭載するため高価格となり、また、通信費の負担も増えることなどから、ノートPC市場に占める比率はまだ小さい。しかし、各メーカーが5G通信対応製品の投入を進めており、2030年の市場は1,690万台が予測される。
エッジ機器用デバイス・材料の世界市場
 2022年見込2021年比2030年予測2021年比
RFデバイス2兆1,100億円105.0%2兆3,000億円114.4%
半導体デバイス7兆9,500億円105.5%8兆2,000億円108.8%
基板関連1兆3,221億円103.1%1兆7,139億円133.6%
ノイズ対策材料112億円106.7%164億円156.2%
 RFデバイスはアンテナ、フィルターデバイス、RFモジュール、水晶デバイスを対象とする。RFモジュールは5G通信対応端末の普及が進むことにより、MIMO機能に必要なダイバーシティモジュールを中心に、端末1台当たりの対応する周波数帯が増えることからデバイス搭載個数が増加するため、伸びが期待される。また、フィルターデバイスも5G通信端末の普及に伴い、搭載が増えて伸びるとみられる。
 半導体デバイスはベースバンドプロセッサー、アプリケーションプロセッサー、Wi-Fiチップを対象とする。Wi-Fiチップはスマートフォンに加え、白物家電やAV機器など搭載アプリケーションの増加に伴い伸びが予想される。ベースバンドプロセッサーは、スマートフォン以外でも搭載が増えるとみられる。
 基板関連はビルドアッププリント配線板、低誘電フレキシブルプリント配線板、低誘電フレキシブル銅張積層板を対象とする。ビルドアッププリント配線板、低誘電フレキシブルプリント配線板が、5G通信対応スマートフォンのラインアップ増加によって堅調な市場拡大が予想される。
 ノイズ対策材料はノイズ抑制シートと電磁波シールドペーストを対象とする。電磁波シールドペーストは、モバイル機器の使用周波数帯の拡大によりデバイス内でのノイズ対策ニーズの高まりを受け、デバイスを隙間なく、個別にシールドできるため採用増加が予想される。また、5G通信端末のアンテナモジュール搭載が増加し、設計段階でのノイズ対策が難しくなるため、ノイズ抑制シートの採用が増えるとみられる。
内容の詳細につきましては『5G/次世代通信を実現するコアテクノロジーの将来展望 2022』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3241-3473(窓口:富士経済グループ本社 広報部)

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