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『ソフトウェアビジネス新市場 2022年版』まとまる(2022/8/16発表 第22087号)
企業向けソフトウェア49品目の国内市場を調査
- ■2026年度予測(2021年度比)
- ■ソフトウェア49品目の国内市場 2兆4,607億円(45.5%増)
コラボレーション、業務システムがけん引、SaaSを中心に市場拡大し、SaaSの比率はおよそ7割へ- ■電子帳簿保存法改正関連市場 2,405億円(55.3%増)
電子帳簿保存法改正によりペーパーレス化が加速し、需要増加。インボイス制度への対応も追い風
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋 TEL:03-3241-3490 社長:田中 一志)は、法改正やDX(デジタルトランスフォーメーション)、テレワークなどビジネス環境の変化に対応する目的でSaaSを中心に需要が高まる企業向けソフトウェアの国内市場を調査した。その結果を「ソフトウェアビジネス新市場 2022年版」にまとめた。
この調査では、業務システム14品目、CX/デジタルマーケティング9品目、情報分析3品目、コラボレーション11品目、プラットフォーム/インフラ12品目の計49品目の市場について、パッケージ/SaaSの二つの提供形態別に捉えることでソフトウェアビジネス市場の将来を展望した。
- ■調査結果の概要
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■ソフトウェア49品目の国内市場
2022年度見込 2021年度比 2026年度予測 2021年度比 SaaS 1兆891億円 117.5% 1兆6,681億円 180.0% パッケージ 7,752億円 101.5% 7,926億円 103.7% 合計 1兆8,643億円 110.2% 2兆4,607億円 145.5% -
2022年度の市場はコラボレーション、業務システムがけん引し、好調である。電子帳簿保存法などの法改正によるペーパーレス化の進展やDX推進、コロナ禍におけるテレワークの普及などにより、さまざまなソフトウェアの需要が高まり、市場は前年度比10.2%増が見込まれる。
提供形態別では、パッケージはカスタマイズニーズなどから需要は根強いものの、SaaSを前提に導入を検討するユーザーが増加していることや、初期導入および運用コストの削減、機能拡張性への期待、短期間での導入、テレワークへの迅速な対応などから、SaaSの需要が高まっている。今後もSaaSを軸に市場は拡大するとみられ、2026年度には2021年度比45.5%増の2兆4,607億円が予測される。 -
■カテゴリー別ソフトウェア49品目の国内市場
2022年度見込 2021年度比 2026年度予測 2021年度比 業務システム 4,604億円 111.9% 6,443億円 156.5% CX/デジタルマーケティング 2,426億円 112.5% 3,266億円 151.5% 情報分析 890億円 105.1% 1,037億円 122.4% コラボレーション 4,965億円 110.2% 6,578億円 146.0% プラットフォーム/インフラ 5,758億円 108.9% 7,284億円 137.8% 合計 1兆8,643億円 110.2% 2兆4,607億円 145.5% -
業務システムは、電子契約ツール、経費精算ソフト、労務管理ソフト、人材管理ソフトが大きく伸長している。また、財務・会計管理ソフトや人事・給与管理ソフトなど従来パッケージが中心となっていた製品においてSaaS移行が進んでおり、ビジネス環境や法改正による業務フローの変化に対応した新たな需要が増加している。
CX/デジタルマーケティングは、新型コロナウイルス感染症の流行により、顧客接点やマーケティングの方法が対面からデジタルへ変化したため、ソフトウェアの活用が進んでいる。特に、ECサイト構築ツールやCRM(顧客対応系)、マーケティングオートメーションなどの伸びが目立つ。
情報分析は、ビジネス環境の変化や新たなビジネス創出のため、データに基づく経営が求められており、アドバンスドアナリティクスツールなど意思決定を支援するソフトウェア需要が増加している。
コラボレーションは、テレワークなどビジネス環境の変化や電子帳簿保存法などの法改正によって、コミュニケーションや情報共有の在り方が変化しているため、特に請求書受信/スキャンサービスやファイル/コンテンツ共有サービス、ビジネスチャットなどの需要が高まっている。
プラットフォーム/インフラは、労働力不足などを背景に業務効率化や自動化ニーズが高まっており、RPAツールやOCRソフトウェア、Webデータベース/ノーコード開発ツールなどが市場をけん引している。また、データ利活用のための基盤として、データベースやデータ連携ソフトウェアの需要も増加している。 - ■注目市場
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■電子帳簿保存法改正関連市場
2022年度見込 2021年度比 2026年度予測 2021年度比 1,745億円 112.7% 2,405億円 155.3% -
財務・会計管理ソフト、経費精算ソフト、ワークフロー、文書管理ツール/ECM、電子帳票関連ツール(運用・保存)、請求書受信/スキャンサービス、EDIツール、OCRソフトウェアを対象とする。
2021年の電子帳簿保存法改正により帳票類のペーパーレス化に対応するためのソフトウェア需要が急増した。また、2023年より導入が予定されているインボイス制度への対応も追い風となり、2026年度の市場は2021年度比55.3%増の2,405億円が予測される。財務・会計管理ソフトや経費精算ソフト、EDIツールは市場規模が大きく、特に経費精算ソフトは、年率10%前後で伸びるとみられる。請求書受信/スキャンサービスは、市場規模としては小さいものの、電子帳簿保存法改正の対応ニーズを取り込み、2026年度は2021年度比13.3倍が予測される。
電子帳簿保存法の改正を機に、紙で管理していた法定保存文書や国税関係帳簿を電子化し、ペーパーレス化・業務効率化を目指すユーザーや、従来社内で統一されていなかった基盤システムの一元化を目的としたユーザーが、文書管理ツール/ECMや電子帳票関連ツール(運用・保存)を採用するケースがみられる。
文書管理ツール/ECMや電子帳票関連ツール(運用・保存)は、大量の帳票をセキュアに保管することが主目的で、高可用性や高セキュリティが求められるため、パッケージが主体となっている。一方で、経費精算ソフトや請求書受信/スキャンサービスは、データ化の自動化・仕訳、承認作業の自動化など、業務効率化の支援が主目的であり、SaaSが主体となっている。 -
■経費精算ソフト
2022年度見込 2021年度比 2026年度予測 2021年度比 SaaS 319億円 115.6% 480億円 173.9% パッケージ 30億円 100.0% 32億円 106.7% 合計 349億円 114.1% 512億円 167.3% -
交通費や交際費、出張費などの経費を処理するための申請・承認・精算といった一連のフローを電子化し、経費精算における業務効率化を支援するソフトウェアを対象とする。申請作業の効率化や他のバックオフィス業務ツール/サービスとの連携による利便性向上などを目的に導入が進み、市場は拡大してきた。
2021年度は、電子帳簿保存法の改正への対応を急ぐユーザーからの引き合いが好調であり、SaaSを中心とした領収書・請求書のスキャン文書保存機能や電子取引データの電子保存機能が搭載されている製品の導入が進んだ。2022年度もテレワークの継続によるオンラインでの申請/承認作業ニーズは根強く、市場は前年度比14.1%増が見込まれる。
2023年度以降も、引き続き経理業務の効率化や見直しを行うユーザーは多く、SaaSを中心に製品の導入が進むとみられる。また、2023年より導入予定のインボイス制度に対応した製品への乗り換えや、オプションの追加などのニーズが高まるとみられ、さらなる市場拡大が期待される。 -
■Webデータベース/ノーコード開発ツール
2022年度見込 2021年度比 2026年度予測 2021年度比 SaaS 125億円 123.8% 240億円 2.4倍 パッケージ 12億円 109.1% 16億円 145.5% 合計 136億円 122.5% 256億円 2.3倍 -
ノーコード開発を実現するツールを対象とする。ノーコード開発は、非IT部門のユーザーでもシステム構築が可能な開発手法であり、売上や発注、納期管理などを効率化するアプリケーションを作成できる。システム開発者の人手不足を背景に、営業やマーケティング部門などでも迅速かつ容易にシステム開発やデータ活用を行うニーズが高まり、プログラミングスキルなしでシステム構築ができるノーコード開発ツールが浸透してきた。
2021年度は、システム内製化の需要や、開発期間の短期化ニーズを背景に大幅な市場拡大となった。新型コロナの流行を背景にテレワークを実施する企業が増加する中、急な業務環境変化に対応するため、新たなシステムをスピーディーに導入するニーズが増えていることから、2022年度も引き続き市場拡大が予想される。
2023年度以降も、DXに向けた投資が積極的に行われおり、非IT部門で迅速かつ容易に業務システムを構築するニーズが高まっている。そのため、さまざまな業種でノーコード開発の活用が進むとみられる。また、大手企業から中小企業まで幅広く導入が進展することで、今後も市場は拡大するとみられる。
内容の詳細につきましては『ソフトウェアビジネス新市場 2022年版』をご覧ください。
- ■報道関係のお問い合わせは
- 富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3241-3473(窓口:富士経済グループ本社 広報部)