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『2023年 微粉体市場の現状と将来展望』まとまる(2023/11/20発表 第23122号)

3Dプリンター用金属パウダーや化粧品用マイクロビーズ代替パウダーなど注目微粉体の世界市場を調査

2027年世界市場予測
3Dプリンター用金属パウダー 4,057億円
航空宇宙を中心に自動車や軍事などさまざまな分野で3Dプリンターの活用が進み、市場拡大
化粧品用マイクロビーズ代替パウダー 118億円
欧州のマイクロビーズ規制を背景に石化樹脂パウダーから切り替えが進む

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋 TEL:03-3241-3490 社長:田中 一志)は、航空・自動車分野で採用が進んでいる3Dプリンター用金属パウダーや、環境問題対策で需要が急増している化粧品用マイクロビーズ代替パウダーなど注目微粉体の世界市場を調査した。その結果を「2023年 微粉体市場の現状と将来展望」にまとめた。
 この調査では3Dプリンター用金属パウダーや化粧品用マイクロビーズ代替パウダーなど注目の微粉体5品目の市場を取り上げるとともに、微粉体について素材別に汎用無機8品目、金属7品目、金属酸化物3品目、セラミックス6品目、ポリマー11品目、カーボン3品目の市場を分析した。

注目微粉体市場
3Dプリンター用金属パウダー
2023年見込2022年比2027年予測2023年−2027年
年平均成長率
2,049億円114.0%4,057億円18.6%
 金属系材料から造形を行う3Dプリンター用の金属粉末を対象とする。
 航空宇宙を中心に自動車や軍事などさまざまな分野で3Dプリンターの活用が進んでおり、航空宇宙分野での利用が進む欧米が市場をけん引している。航空宇宙分野では、航空機のエンジンパーツやロケット部品などで量産実績がある。自動車分野では、トータルコストの削減や在庫を抱える必要が無くなることなどのメリットから、欧州の自動車メーカーなどでは自動車の部品製造で採用実績がある。そのほか、軍事分野では極超音速兵器の部品製造などに採用されている。今後も欧米を中心に採用が進み、2027年の市場は4,057億円が予測される。
3Dプリンター用樹脂パウダー
2023年見込2022年比2027年予測2023年−2027年
年平均成長率
603億円134.0%1,342億円22.1%
 樹脂プリンターのうち粉末積層造形法(SLS方式)に使用される樹脂パウダーを対象とする。SLS方式は敷き詰めた粉末状の材料(樹脂や金属)を、レーザー光線で照射して焼結させて一層ずつ積層しながら形状を作る造形方法である。
 3Dプリンターの普及に伴い市場は拡大している。特に、政府主導で普及を進めている米国やドイツなどが市場をけん引している。試作品の製造用途で普及しており、欧米での採用が多い。造形された製品の性能評価も進んでいることから急速に最終製品の製造で採用が広がっている。2023年時点では航空宇宙や自動車、医療分野における最終製品の製造で採用実績があり、さらに需要増が期待される。最終製品の製造に使用する場合は機械特性や耐熱性が強く求められることから、今後は高価格なスーパーエンプラパウダーの採用が増えるとみられる。
MOF(金属有機構造体)
2023年見込2022年比2027年予測2023年−2027年
年平均成長率
340億円141.7%1,180億円36.5%
 金属イオンと有機配位子を溶液中で自己集積させることにより合成できる多孔質の配位ネットワーク構造をもつ材料である。従来の多孔質構造体であるゼオライトなどを上回る比表面積や、活性炭などの無機化合物にはない構造の柔軟性を有していることから、ガス吸着や分離、貯蔵、触媒など、さまざまな用途での展開が期待される。
 ガス吸着・分離・貯蔵ができるため、CO?を効果的に回収することや次世代エネルギーである水素の貯蔵に有力な材料である。そのため、カーボンニュートラル実現の観点から注目されており、今後も市場は高成長が期待される。
化粧品用マイクロビーズ代替パウダー
2023年見込2022年比2027年予測2023年−2027年
年平均成長率
72億円120.0%118億円13.2%
 化粧品向けで感触付与などを目的に採用される生分解樹脂パウダーや無機微粒子(シリカ)を対象とする。
 欧州のマイクロビーズ規制を背景に石化樹脂パウダーから切り替えが進んでおり、市場が急速に拡大している。石化樹脂パウダーとしては、アクリルやPA(ナイロン)、シリコーン、PU(ポリウレタン)、PE(ポリエチレン)などが挙げられ、直近ではアクリルからの切り替えが先行している。アクリルの代替材料としては感触やコストの観点から、シリカやセルロース(繊維素)が採用され、両微粒子が市場をけん引している。今後は柔らかさや滑らかさが特長であるPAやシリコーン、PUなどの代替材料の開発も進むとみられ、市場拡大が予想される。
中空微粒子
2023年見込2022年比2027年予測2023年−2027年
年平均成長率
僅少6億円
 添加対象物の低誘電化を目的に電子部品などに使用されるものを対象とする。
 中空微粒子は、内部に空気層を有する中空構造の微粒子であり、添加剤として軽量化や耐熱・断熱・遮熱性、寸法安定性の向上などを目的に幅広い用途で採用されている。近年では低誘電化を実現する製品などの開発も進められている。
 封止材など各種半導体部品や銅張積層板では、熱膨張係数の低減、機械強度向上などを目的に、シリカフィラーが添加されている。高周波・高速通信への対応を目的に、基板となる樹脂やガラスクロス以外にフィラー材においても低誘電のニーズが高まっている。中空構造を持つことから誘電率を明確に低減する効果をもつ材料として注目され、近年は開発品の発表やユーザー側でのサンプル評価が相次いでいる。現在、ミリ波5G普及のタイミングに向けた開発が加速しており、2026年頃から本格的に市場が立ち上がると予想される。
調査結果の概要
微粉体の世界市場
 2023年見込2022年比2027年予測2023年−2027年
年平均成長率
ポリマー4兆1,830億円113.2%5兆733億円4.9%
カーボン3兆9,470億円113.8%4兆9,076億円5.6%
汎用無機2兆2,550億円110.2%2兆5,434億円3.1%
金属1兆3,366億円113.2%1兆5,615億円4.0%
セラミックス1兆181億円108.9%1兆1,785億円3.7%
金属酸化物765億円111.5%926億円4.9%
合計12兆8,162億円112.5%15兆3,568億円4.6%
市場データは四捨五入している
 2023年の市場は12兆8,162億円が見込まれる。エレクトロニクスや自動車、建築・土木、ライフサイエンスなどさまざまな産業分野で採用され、近年は各産業におけるカーボンニュートラル化やCO?排出削減を背景に環境対応材料のニーズが高まっている。今後もEVの部品や3Dプリンターに関連する材料を中心に高成長が期待され、2027年には15兆3,568億円が予測される。
 カテゴリー別で最も市場規模が大きいのはポリマーである。食品添加物や錠剤の賦形剤で使用されるセルロース系パウダーが市場をけん引しており、中国やインドを中心に需要が増加するとみられる。また、3Dプリンターの形成材料であるポリアミドや自動車部品向けの複合樹脂材料で採用が期待されるセルロースナノファイバーなどは今後高い伸びが予想される。
 ポリマーに次ぐ市場はカーボンで、自動車のタイヤ向けの需要が大きいカーボンブラックが市場をけん引しており、自動車生産台数の増加に伴い、堅調に拡大するとみられる。LiB向けの導電助剤で需要が増加しているカーボンナノチューブや、有機薄膜太陽電池向けやエレクトロニクス関連向けの開発が増加しているフラーレンは今後大きく伸びると予想される。
 汎用無機は、自動車のタイヤやゴム部品での採用が多い湿式シリカや、主に凝集剤など化学工業原料向けで採用される水酸化アルミニウムの規模が大きい。今後は半導体研磨工程の増加に伴い高純度コロイダルシリカが大きく伸長するとみられる。
 金属は、銀粉や鉄粉・鉄系合金粉の規模が大きい。今後は3Dプリンターの形成材料で需要が増加しているチタン粉などで高い伸びが予想される。
 セラミックスは、耐火物や研磨材などで広く採用されている焼成アルミナが市場をけん引している。
 金属酸化物は、紫外線吸収剤として有機系からの代替需要が高まっている酸化亜鉛やMLCC(積層セラミックコンデンサー)需要が増加している酸化チタンが好調に推移するとみられる。
内容の詳細につきましては『2023年 微粉体市場の現状と将来展望』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3241-3473(窓口:富士経済グループ本社 広報部)

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