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『2024 コミュニケーション関連マーケティング調査総覧』まとまる(2024/11/22発表 第24110号)

通信機器・通信サービスの国内市場を調査

2030年度国内市場予測(2023年度比)
通信機器 3兆5,698億円(0.6%減) 通信サービス 12兆3,111億円(12.5%増)
6G通信やIOWN構想への機器設備投資により拡大。データセンター向け投資も後押しクラウドベースやセキュリティを強化したサービスの需要が増加
衛星通信サービス 119億円(10.8倍)
2027年度頃から各社から本格サービスの提供開始。自治体向けを中心に伸長

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋 TEL:03-3241-3490 社長:田中 一志)は、企業ネットワークの広帯域化ニーズの増加、インターネットをベースとしたサービスへの移行進展や、NTTが推進する「IOWN構想」実現に向けた投資の本格化、NTN(非地上系ネットワーク)通信の台頭など新たな動きがみられる通信機器・通信サービスの国内市場を調査した。その結果を「2024 コミュニケーション関連マーケティング調査総覧」にまとめた。
 この調査では、通信機器21品目(ネットワーク関連製品11品目、音声関連製品3品目、移動体通信端末3品目、移動体通信基地局関連製品4品目)、通信サービス21品目(インターネット接続サービス3品目、移動体通信サービス3品目、固定データ通信サービス6品目、音声関連サービス4品目、その他サービス5品目)の市場について現状を調査し、将来を予想した。

調査結果の概要
通信機器の国内市場
 2024年度見込2023年度比2030年度予測2023年度比
全体3兆7,200億円103.6%3兆5,698億円99.4%
 移動体通信端末2兆5,373億円106.4%2兆3,220億円97.3%
 ネットワーク関連5,923億円100.5%6,493億円110.2%
移動体通信端末、ネットワーク関連は全体の内数
 企業の出社回帰などを背景に、企業ネットワーク更改に伴う機器の入れ替えや新規導入が進んだことや、データセンター向けでネットワーク関連機器が好調なことから市場は拡大している。今後、Beyond 5G/6G通信やIOWN構想に対応して、ネットワークの高速化に向けた関連機器への投資が拡大するほか、データセンターで各種スイッチなどの導入が加速するとみられる。
 カテゴリー別にみると、移動体通信端末の市場規模が最も大きい。買い替えサイクルやリプレースの長期化が進んでいるためスマートフォンの出荷減が懸念されるが、生成AI機能搭載型の登場や折り畳み式など新モデルの買い替え需要により、市場は一定規模で推移するとみられる。
 ネットワーク関連製品は、近年は企業向けの機器更改需要が好調である一方、通信キャリアの大型投資は低迷している。しかし、今後は通信キャリアによる6G通信への投資が活況化するほか、IOWN構想の実現に向けた大型投資が本格化するとみられる。また、分散化やAI/ML(人工知能/機械学習)関連対応などを受けて、データセンター向けの設備投資増加も期待される。
 音声関連製品は、オンプレミス製品の需要は継続するが、設備導入や運用管理コストの削減要求、ハイブリッドワーク環境構築ニーズの高まりに伴い、クラウドPBXサービスやスマートフォンへの移行が進むため、市場は縮小するとみられる。
 移動体通信基地局関連製品は、現状、DAS(アンテナ分散型システム)やローカル5G/プライベートLTEシステムが伸びている。2030年度頃には6G通信環境の整備を目的とした投資が本格化すると期待される。
通信サービスの国内市場
 2024年度見込2023年度比2030年度予測2023年度比
全体11兆987億円101.4%12兆3,111億円112.5%
 移動体通信6兆8,929億円101.5%7兆8,717億円115.9%
 インターネット接続2兆6,267億円100.8%2兆6,996億円103.6%
移動体通信、インターネット接続は全体の内数
 企業でのSaaS利用増加やクラウドシフトに伴うトラフィック増加に対応するため、広帯域化ニーズの増加や、閉域網サービスからインターネットベースの通信サービスへの移行が進んでいる。今後、個人/企業向けで利用されるアプリケーションの数や容量は益々増加するため、高速化や広帯域化を実現するためのサービス利用が進むと予想される。
 カテゴリー別で最も市場規模が大きいのは移動体通信サービスである。携帯電話サービスは、個人向けは普及率が高まっているため苦戦しているが、企業向けはDXを背景としたIoT需要が増えており、自動販売機の在庫や釣銭管理、自動車向けのナビゲーションなど幅広く採用が増えている。また、MVNOサービスは、個人向けは携帯電話サービスからの移行、企業向けはIoT需要による伸びが期待される。
 インターネット接続サービスは、個人の各種コンテンツサービス利用の伸びや、企業のSaaS/クラウド化に伴う需要増加が続いている。今後、企業向けを軸にトラフィック増に対応するため、広帯域化ニーズや確実なクラウド接続を目的とした各サービスの導入が進むと予想される。
 固定データ通信サービスは、小規模/新規拠点から徐々にフルインターネットのネットワーク環境導入が進む一方、大規模拠点では一部閉域網を残す形でハイブリッド化が進むと想定される。
 音声関連サービスは、働き方の多様化やDX、クラウドシフトのための投資が進み、中でもクラウドPBXサービスは導入拡大が続くとみられる。
 その他サービスは、クラウド無線LANサービスやZTNAサービスなどが伸びている。今後、セキュリティ強化やネットワーク更改を契機として、従来のリモートアクセスサービスや閉域網サービスからZTNAサービスへの移行などが予想される。
注目市場
衛星通信サービス
2024年度見込2023年度比2030年度予測2023年度比
25億円2.3倍119億円10.8倍
 人工衛星により地球上のあらゆる場所に通信サービスを提供するものであり、通信網の整備が困難な海上や砂漠、また、災害時の非常用通信としても期待されている。ここでは、低軌道衛星を利用し、従来の衛星通信よりも低遅延性を実現したサービス、および高度20kmの成層圏に滞空している無人航空機から地上に向けて提供されるサービスを対象とした。
 現時点では「Starlink」(SpaceX)を活用したサービスが提供されている。従来、山間部や離島、海上、へき地など通信環境が整備されていないエリアでの通信手段や、企業におけるBCP対策などが中心であった。2024年1月の能登半島地震で通信手段の確保を目的として「Starlink」が無償提供され、その有効性が実証されたことにより、自治体からの問い合わせが急増しており、2024年度の市場は大幅に拡大するとみられる。2025年度以降も自治体を中心に導入増加が期待される。
 「Starlink」は国内では代理店経由で提供されており、中でもKDDIが積極的にサービスを展開している。ほかのサービスについても、ソフトバンクやNTTコミュニケーションズ、楽天モバイルなどが本格提供に向けた取り組みを進めており、2027年度頃から本格展開が予想される。法人への提供が中心であるが、将来的には携帯電話サービスのオプション機能としての提供が進み、幅広い用途での活用が期待される。
SD-WANサービス
2024年度見込2023年度比2030年度予測2023年度比
95億円121.8%243億円3.1倍
 ソフトウェアによりアプリケーションの可視化、経路制御、CPE(顧客構内設備)集中管理などの機能を提供するWAN(広域通信網)サービスである。CPEをレンタル提供するサービスを対象とし、市場はサービス利用料で捉えた。
 クラウド利用の拡大によるWANのトラフィック混雑解消や、複数拠点での通信機器の運用負担軽減などを目的に導入が進んでいる。主にVPNサービス事業者がサービスを提供しており、既存のVPNサービスのリプレース需要が中心である。コロナ禍以降、テレワークの定着やクラウドサービスの利用増加に伴い、インターネットを介したクラウドとのアクセス需要の増加、SaaS利用の拡大、トラフィック増への対応として、市場は拡大が続いている。
 SD-WANやSASE(クラウド上でネットワークとセキュリティをまとめて管理する概念)が浸透してきたことから、DX推進に積極的な企業を中心にネットワーク更改のタイミングで導入が検討されるケースが増えている。ただし、従来の閉域網サービスからの移行は緩やかであり、当面はハイブリッド環境の構築需要を中心に導入が進むとみられる。
IOWN対応WDM
2024年度見込2023年度比2030年度予測2023年度比
47億円102.2%304億円6.6倍
 光通信装置であるWDMではIOWN規格に対応した製品が登場しており、IOWN構想を推進するNTTで一部採用が進んでいる。WDMはコアネットワークに導入される製品であるため、IOWN構想の実現には不可欠な基幹機器であり、ほかのネットワーク機器などに先行して導入が進むと予想される。現状、NTTは専用製品を中心に採用しているが、今後はIOWN規格に対応した幅広い製品の導入が進むとみられる。
内容の詳細につきましては『2024 コミュニケーション関連マーケティング調査総覧』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3241-3473(窓口:富士経済グループ本社 広報部)

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