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『2025 脱炭素に向けた自動車部品市場の将来展望』まとまる(2025/1/14発表 第25003号)

自動車部品35品目の世界市場を調査

2045年予測
自動車部品35品目の世界市場 43兆2,954億円
2030年頃までは順調に拡大するが、自動車生産台数減少や一体成形による部品点数削減のため、2023年の規模と同程度に
ECUケース 2兆304億円
現状はアルミ合金の使用が多いが、今後軽量化と放熱性強化を進めた樹脂素材の採用が増加

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋 TEL:03-3241-3490 社長:田中 一志)は、自動車のカーボンニュートラル実現のため、軽量化に伴う樹脂素材へのシフトや、バイオ・リサイク材料などでの新形状・構成の本格化、また、ギガキャストをはじめとした新製造方法の採用などにより、需要・採用動向に変化がみられる自動車部品の世界市場を調査した。その結果を「2025 脱炭素に向けた自動車部品市場の将来展望」にまとめた。
 この調査では、内燃機関関連・ボディ関連部品16品目、内装/バッテリー・冷却/外装・電装部品19品目の市場について現状を調査し、将来を予想した。また、部品市場のトピックスとして各部品の軽量化の動向、バイオ・リサイクル材料の採用に関する法規制、一体成形化技術の研究開発の動きなどについても整理した。

調査結果の概要
自動車部品35品目の世界市場(内燃機関関連/ボディ関連部品、内装/バッテリー・冷却/外装・電装部品)
2025 脱炭素に向けた自動車部品市場の将来展望:自動車部品35品目の世界市場規模推移グラフ
 内燃機関関連/ボディ関連部品、内装/バッテリー・冷却/外装・電装部品ともに当面は市場拡大が予想されるが、長期的には縮小に向かうとみられる。
 内燃機関関連/ボディ関連部品は、2024年は自動車総生産台数が減少するものの、EV販売の減速に対して電動車の中では搭載部品が多いHVやPHVの販売が好調なこともあり、市場は前年比4.2%増の18兆2,296億円が見込まれる。短期的には自動車生産台数の回復や、EV需要の減速を受けたHVやPHVの好調を背景に2026年頃までは市場拡大が予想される。しかし、長期的にはEVシフトの流れが進み、内燃自動車向けの部品需要が大きく減少するため、2027年以降は市場縮小が予想される。2045年の市場は13兆2,090億円が予測される。
 内装/バッテリー・冷却/外装・電装部品は、一部品目に需要減がみられるものの、2024年の市場は前年比5.3%増の26兆5,280億円が見込まれる。EV需要は一時的に鈍化しているが、バッテリーケースや冷却ファン、バッテリー冷却プレートなどバッテリー関連の高い伸びもあり、当面は堅調な市場拡大が予想される。2035年以降はMaaS利用の増加などから電動車を含め自動車の生産台数減少が懸念され、それに伴う市場縮小が予想される。2045年の市場は30兆864億円が予測される。
カーボンニュートラル実現に向けた軽量化の動向
 走行時のカーボンニュートラル実現に向けて、車体重量が大きいことでエンジンやバッテリーへの負担を避けるため、各部品の軽量化が進んでいる。車種によって軽量化の度合いは異なるが、特に電動車と比較して重量がある内燃自動車や、重量が航続距離に顕著に影響するEV/FCVは部品の大幅な軽量化が予想される。
 短期的には、軽量化に寄与する材料の採用が想定され、材料の樹脂化やアルミ合金化が進むとみられる。また、高強度鉄鋼の薄肉化技術の進展による軽量化への貢献も期待される。2035年以降は、ギガキャストや異種材料接合など一体成形による部品点数の削減などで軽量化が加速するとみられる。長期的には金属から樹脂材料への変更、引っ張り強度の高い鉄鋼での薄肉化、一体成形による部品点数の削減で軽量化が着実に進むと予想される。
注目市場
ECUケース
2024年見込 2023年比 2045年予測 2023年比
1兆9,149億円 99.7% 2兆304億円 105.7%
 車載ECU基板を収納する筐体、ダイカストを対象とする。軟鋼やアルミ合金、樹脂などの材料で構成される。
 自動車生産台数の伸び、また、EV化や自動運転車の登場に伴うECU搭載の増加により、自動車1台当たりの搭載員数が増えるとみられ、2035年頃まで市場は順調な拡大が予想される。長期的にはMaaS、カーシェアリングなどの普及による自動車生産台数の減少のため、2035年以降は市場縮小するとみられる。
 現状はアルミ合金の使用も多いが、走行時のカーボンニュートラルに向けた取り組み強化に伴い、今後は軽量化と放熱性強化を進めた樹脂素材の採用が増えると予想され、将来的にはアルミ合金などの金属ケースの需要は減少するとみられる。採用部位別では、ボディ系ECUのケースはダッシュボード内の搭載が多いため周辺温度が60〜65℃と低いことから、現状でも樹脂素材が採用されている。また、パワートレイン系や情報系ECUのケースで樹脂化が進むとみられる。一方、周辺温度が高温、かつ半導体の搭載が多いxEV系ECUのケースでは放熱性に優れたアルミ合金の採用も続くと想定される。
バッテリー冷却プレート
2024年見込 2023年比 2045年予測 2023年比
1,679億円 104.0% 4,813億円 3.0倍
 リチウムイオン二次電池(LiB)の冷却目的で採用されるプレートで、EVに搭載される製品を対象とする。LiBを水冷方式で冷却するサーマルマネジメントシステムで、LiBモジュール3個程度を冷却する小型、LiBパック1個を冷却する大型に大別される。
 EV販売の増加に伴いLiBの冷却需要が増えるため、2040年頃まで市場は順調な拡大が予想される。小型の複数使用と比べて、大型1個を使用する方が低コストなため、今後は大型の採用が進むとみられる。材料となるアルミ合金の価格に左右されるが、比較的構造が単純であるため、安価な製品を提供する中国メーカーの参入増加もみられ、今後価格は下落するとみられる。
 現状はEV販売台数が多い中国や欧州で大型を中心に需要が大きい。北米はTeslaのEVを中心に大型が搭載されているが、車種に応じて小型の採用も多い。自動車メーカー各社は、EV専用プラットフォームを構築して生産効率を図っており、次世代プラットフォームでは床下に搭載したLiBを大型で冷却する構造が主流になると予想される。
サスペンションアーム
2024年見込 2023年比 2045年予測 2023年比
4,374億円 98.3% 5,444億円 122.4%
 ホイールの動きをコントロールするサスペンション部品である。サスペンションの種類により、搭載される形状や数が異なる。一般的には1ホイールにつき1個、車1台当たり4個搭載されるが、欧州メーカーの車種では乗り心地を重視する設計が多いため、この製品を多く使用するサスペンションを搭載する傾向がある。また、高級車や電動車では乗り心地を高めるために、数が多くなることから、2040年頃まで市場は堅調な拡大が予想される。
 現状、鉄鋼製品が9割弱を占め、残りがアルミ合金製品である。重要な保安部品であるため、信頼性と剛性が重視されることから、当面は鉄鋼製品中心の採用が続くとみられる。軽量化を目的に2035年頃からアルミ合金の採用増加が予想される。アルミ合金では軽量化と乗り心地の良さが両立できる利点があるものの、剛性に比重を置いて薄型の高強度鋼板を採用した軽量化も想定されるため、長期的にも鉄鋼製品が6割以上を占めると予想される。
内容の詳細につきましては『2025 脱炭素に向けた自動車部品市場の将来展望』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3241-3473(窓口:富士経済グループ本社 広報部)

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