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『2025年 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 ライフ・インダストリーフィルム編』まとまる(2025/3/3発表 第25022号)

モビリティやエネルギー、パッケージなどで使用される機能性フィルムの市場を調査

2030年市場予測(2023年比)
機能性フィルムの国内市場 3,758億円(113.8%)
  • モビリティ分野 315億円(167.6%)
    電動車モーター用絶縁フィルムや自動車用加飾フィルムが好調に推移
  • エネルギー分野 809億円(111.0%)
    LiBの伸びとともに需要が高まる。次世代太陽電池用バリアフィルムも市場拡大に貢献
  • パッケージ分野 267億円(109.4%)
    賞味期限延長と環境対応が両立できるイージーピールフィルムが伸長

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋 TEL:03-3241-3490 社長:田中 一志)は、自動車の電動化やペロブスカイト太陽電池の普及、サステナビリティ社会の実現に向けた環境対応、食品の賞味・消費期限の延長などによって、注目が集まる機能性フィルムの国内市場を調査した。その結果を「2025年 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 ライフ・インダストリーフィルム編」にまとめた。
 この調査では、モビリティ分野6品目、エネルギー分野5品目、ライフサイエンス分野5品目、建築・農業分野7品目、パッケージ分野6品目、バリアフィルム分野5品目の機能性フィルムを対象に、国内市場と一部世界市場の現状を明らかにし、将来を展望した。なお、エレクトロニクス分野の機能性フィルムは、「2025年 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 エレクトロニクスフィルム編」でまとめる。

調査結果の概要
機能性フィルムの国内市場
2025年 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 ライフ・インダストリーフィルム編:機能性フィルムの国内市場規模推移グラフ
 モビリティ分野は、電動車の生産増加を背景に関連部材の需要が高まっており、電動車モーター用絶縁フィルムなどの伸長率が高い。2024年の市場は194億円が見込まれる。
 今後、電動車や自動運転の普及により、駆動用モーターの搭載率増加やフロントグリルの樹脂化などが予想され、電動車モーター用絶縁フィルムや自動車用加飾フィルムなどは引き続き好調に推移するとみられる。加えて、環境対応を背景にVOC(揮発性有機化合物)削減需要が高まっており、塗装代替として自動車用加飾フィルム、内装固定用の溶剤系接着剤代替として自動車内装用両面テープなどへの置き換えが進み、2030年の市場は2023年比67.6%増が予測される。
 エネルギー分野は、LiB向けが中心であり、特に、LiBセパレーターが市場の9割強を占める。電動車におけるLiBの需要が高く、LiBセパレーターがけん引し2024年の市場は726億円が見込まれる。
 引き続き、自動車の電動化とともにLiBセパレーターの需要が高まると予想される。加えて、フィルム状のペロブスカイト太陽電池が大きく伸びることで、次世代太陽電池用バリアフィルムも伸長するとみられるため、2030年に向けて市場拡大が予想される。
 パッケージ分野は、嵌合ふたと比較し賞味期限延長と環境対応が両立できるイージーピールフィルムなどが前年に比べ大きく伸長し、市場拡大に繋がっている。一方、鮮度保持フィルムは伸びが鈍化している。青果物などの価格が高騰したことで、より安価な防曇フィルムへ切り替えが進んでいる。
 規模の大きいイージーピールフィルムの伸びが今後も市場拡大をけん引すると予想される。また、食品や医療・医薬品といった従来の用途に加え、化粧品や電子・工業分野などでの採用を目指す動きが活発になっているため、2030年に向けて市場拡大が予想される。
注目市場
自動車用加飾フィルムの国内市場
2024年見込 2023年比 2030年予測 2023年比
28億円 107.7% 89億円 3.4倍
 自動車用のインサート成形に使用される加飾フィルムを対象とする。
 高級感がでるため、塗装やメッキを代替している。金属調や新しい意匠の表現、カラーバリエーションの多彩化によって、内装材を中心に多くの自動車メーカーが採用している。ただし、原料コストの増加に伴い車体価格への上乗せが生じるため、一部では採用を控えるケースもみられる。2024年の市場は、値上げの効果もあり前年比7.7%増が見込まれる。
 塗装やメッキと比べて電磁波透過性に優れる利点があるため、自動運転が推進される中、ミリ波レーダー周辺への採用が増えている。さらに、電動車ではフロントグリルを樹脂化できるため外装材への展開も始まっている。
 中長期的には、徐々に自動車生産台数が回復に向かい需要増加が予想される。2028年頃から外装材への普及も始まるとみられ、2030年の市場は2023年比3.4倍が予測される。
電動車モーター用絶縁フィルムの国内市場
2024年見込 2023年比 2030年予測 2023年比
25億円 125.0% 47億円 2.4倍
 電動車の駆動用モーターに使用される絶縁性フィルムを対象とする。
 電動車の生産増加と共に市場は拡大している。主要材料であるアラミドペーパーの高騰を受けた値上げも市場を押し上げている。
 今後も電動車の生産は増加することから、2030年に向けて市場の続伸が予想される。また、電動車のモーターの高出力化が進むことで、絶縁フィルムを用いる分布巻きモーターの採用が増えるとみられるため、2030年の市場は2023年比2.4倍が予測される。
建築用ウィンドウフィルムの国内市場
2024年見込 2023年比 2030年予測 2023年比
136億円 109.7% 170億円 137.1%
 窓ガラスなどに貼り付けることで飛散防止やUVカット機能を付与する。また、屋内温度の調整も可能となるため、省エネルギー効果への期待が高まっている。
 2024年は、材料価格や人件費の高騰によって建築需要の高まりが鈍化しているものの、値上げの影響で市場拡大が予想される。
 2025年以降は、遮熱・断熱といった温度管理ニーズの高まりで普及が予想されるため、引き続き市場は拡大するとみられる。
イージーピールフィルムの国内市場
2024年見込 2023年比 2030年予測 2023年比
96億円 107.9% 106億円 119.1%
 ゼリーや豆腐などの食品容器のふたに採用されている。
 賞味期限延長や環境対応を目的とする嵌合ふたからの切り替えが進んでいる。嵌合ふたよりも密閉性が高い上に樹脂使用量が少なく、特にCVSは取り組みが先行している。2024年の市場は前年比7.9%増が見込まれる。デザート商品での採用が約3割を占めるが(数量ベース)、2024年は米不足を背景とする無菌包装米飯など米飯類の需要増加で食品容器のニーズも高まり、市場拡大に貢献している。
 賞味期限延長と環境対応が両立できるため、今後はスーパーマーケットの惣菜など採用の裾野が広がるとみられる。また、フードロス削減の観点から宅配弁当を含めた冷凍食品の需要が増加することなども市場拡大に繋がると予想される。
内容の詳細につきましては『2025年 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 ライフ・インダストリーフィルム編』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3241-3473(窓口:富士経済グループ本社 広報部)

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